聖女初期装備
そうわたくしがスキルを行使すると、わたくしは眩い光に包まれ、そしてその光が収まると先程まで着ていた魔術学園指定の制服ではなく、威厳・清楚・可憐・力強さ・美しさが下品な感じにならない絶妙なバランスで表現された衣服を着ており、何処となくマオをイメージする様なデザインである。
更に手には今来ている衣服と合う杖が握られていた。
そもそもこの杖一つとってもどれほどの価値があるのか考えただけでも恐ろしい。
「聖女初期装備だけども、初期装備だからこそのある意味で完成されたデザインは
やはり美しいな」
「う、美しいだなんて柄にもなく照れてしまいますわね」
そんなわたくしを見てマオが美しいという感想をくれる。
マオ以外の異性からは、それがたとえカイザル殿下であってもわたくしの容姿を褒められた所で何も感じなかった事など無かったのだが何故かマオに容姿を褒められるととても嬉しく、そして嬉しいと思っている事が恥ずかしいと思ってしまう。
それと同時にマオと契約したあの時の様に何故かわたくしの心臓は力強く鼓動をし始め、胸が少しだけ苦しい。
しかしその苦しさが心地良いと思え、ずっと感じていたいとも思ってしまう。
何だか不思議な気分である。
「でかしたなっ!シャルロット嬢っ!!」
「へ、ヘルカイト国王陛下様……?」
そんな、何だか甘酸っぱい様な不思議な感覚に浸っているとヘルカイト国王陛下が脂ぎった満面の笑みで身体を揺らしながらこちらへとやって来るではないか。
「息子であるカイザルの婚約破棄という辛い現実に負ける事なく良くぞここまで立ち直ってくれたっ!!むしろ想像以上であるな。しかしながらこの度の婚約破棄は初めからシャルロット嬢の才能を開花させるための粗治療でありその実あれは嘘だったのだ。この数日間はとても辛かっただろうがコレもシャルロット嬢を思ってこそであるのだ。勿論そのため我も、そして息子であるカイザルもまた心が痛かったのだよ。シャルロット嬢を騙してしまった事には変わりないのだがそれも全てシャルロット嬢のためである。しかし、コレでやっとカイザルと結婚が出来るのだから許してくれ」
そしてヘルカイト国王陛下は唾を飛ばしてわたくしの肩を叩きながら意味が分からない事を言い始める。
あの苦しかった日々がわたくしの為?
あの婚約破棄は嘘だった?
いくら何でもまだ初等部の子供たちの方がマシな嘘をつけるのでは無いか?とすら思えて来る様な内容でわたくしを騙し通せるとでも思っているのだろうか?
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