何故公爵家としての爵位になれたのか
これを後一学期も続けると思うと、その途方も無い年月に思わず心が折れそうになってしまう。
今日一日だけで幾度心が折れかけた事であろうか。
正直折れずに今日を乗り越える事ができたのはこんなわたくしにも優しくしてくださる家族と使用人達のお陰と言っても過言では無い。
「お帰り、シャルロット。カイザル殿下には何もされなかったかい?お友達達は掌を返して冷たくなっていなかったかい?言ってくれれば父さんと母さんでその家まで抗議しに行ってあげるから遠慮せずに言ってもらって良いからね」
そんな疲れ切ったわたくしをお父様が出迎えてくれるのだが少しばかり物騒な出迎えである。
そもそもお父様の事である。
貴族の者の家で有れば物理的に破壊するであろうし、カイザル殿下に至っては二回目の突撃である為王国相手に戦争を始めても別段不思議では無いと思えてしまう恐怖があった。
「大丈夫ですわお父様。何もありませんでしたから。いつも通りの日常を学園で過ごして参りましたわ。御学友達も変わらず接してくれてありがたい限りですの」
「そうか、それならばお父さんは一安心したよ。我がランゲージ家に代々伝えられて来た秘術、魔王召喚の術式を行使せずに済んで良かったよ」
「魔王召喚………?」
そしてお父様はいよいよ物騒な事を言い始めるではないか。
そもそも、魔王召喚など聞いた事もない召喚術に嘘であると分かるのだが、それでもわたくしの為ならば人類の敵である魔王を召喚すると実の父親に言わせてしまっているわたくし自身が許せなかった。
「ああそうだよ。我がランゲージ家が何故公爵家としての爵位になれたのか、という事まで遡るのだが、それはその昔に魔王を召喚する儀式魔術の術式に成功したからであり、その魔王という強大な力と、その強大な力を持ち魔王を召喚するだけの魔術技術、そしてそれら技術と力を国の為に使うと誓ったからこそ公爵家という爵位となれたと言い伝え及び我がランゲージ家の文献に記されているんだよ。その事については王族も他の貴族も知っているのだがいかんせん昔の話過ぎて今や誰も信用していないのだが、確かにこのランゲージ家には代々魔王を召喚するという召喚術式が受け継がれて来ているんだ」
そしてわたくしはお昼を余り食べていないにも関わらず今は疲れからか余り無かった食欲が、全くもって無くなって行くのが分かった。
「流石にわたくしを心配させまいという今作った嘘………ですわよね?」
「俺もこのランゲージ家を受け継ぐとなった時に聞かされたのだがシャルロット同様に眉唾物だと思ったものだ」
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