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(仮)如何にしてマコトの呪いを解くか、それが問題である。(2026.05)  作者: MAYAKO


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13/13

最終話 踊り続ける二人、そしていつの日にか!     

今晩は。

投稿です。

最終話です。


「さて、ここまでのようだな」


 黒の魔王の周囲から、禍々しい黒い霧が溢れ出す!


 ……な、なんだこの霧は!?……

 ……き、騎士団を呼べ……

 ……!?……


 霧は一瞬で晴れる。


 ……!……

 ……あの三人がいないぞ!……


 皆、ガラスの靴と、仮面、黒の魔王に注目していたのだ。


 ……どこへ……

 ……魔物だったのか!?……

 ……追え!まだ近くにいるはず!……


 勇者さえ追えなかった魔王の逃走、簡単に追えるはずもなく、黒の魔王御一行はその場から消えた。

 そしてここはマコトと黒の魔王、コガラスが最初に出会った場所。

 屋敷そばの森だ。


「マコトよ、楽しかったかい?」


 黒の魔王が尋ねる。


「はい!」


 素直ないい返事である。


「コガラスも楽しんだようだな?」


「はい!」


 マコトは仮面を外し、ガラスの靴と一緒に黒の魔王へ手渡す。


「ありがとうございました」


「!」


 異変に気が付くコガラス。


「クロさま、追手でしょうか?気配が!」


「ああ、そのようだ。マコトよ、ここは力の場所でね、大地からエネルギーが吹き出している場所なんだ」


「クロさま、これからどうされます?」


「まずは結界だな、この大地のエネルギーを利用して、と」


 ブンッ、と低い音が響く。

 すると、パチパチとマコトが瞬きをする。


「あ!?」


「思い出したか?」


「……は、はい……」


 私は……コガラスくんと、黒の魔王さまと踊った!

 自由に!

 思い残すことなく!


「あ……ありがとうございました……ありがとう……」


 そして手を握りしめるマコト。


(私、コガラスくんと踊った!)


 お城の舞踏会で踊ったのだ!

 マコトにとって黒の魔王は憧れだ。

 それは偶像である。

 でもコガラスは、コガラスだけは違う。


 黒の魔王が人の形をとった時、マコトはコガラスの後に隠れた。

 コガラスは気が付かない、それはコガラスなら必ず守ってくれる、隠してくれる、助けてくれる、そう思っての行動なのだ。

 そう、毎日リンゴを運んだのも、コガラスに運んでいたのだ。

 ダンスの時、コガラスと踊ったのが一番楽しいのは当然である。


(あああ、なんであんなこと言っちゃったかなぁ)


 思い出される言葉、『ふふっ、やはりご主人さまと踊ってる時が、一番楽しいです!』


(は、は、恥ずかしいっ!)


 真っ赤になっているマコトに黒の魔王が告げる。


「マコトよ、これからのことだ、よくお聞き」


「は、はい」


「お前の従属紋を解くには、お前の決意が必要なのだ」


「え?」


「決意が足りなければ、想い、だ。この場に、このままいても、お前に未来は無い」


「!……選んだ道なのですが……」


「それでいいの?マコトおねぇちゃん!?」


 いいわけがない、もうマコトはこの二人から離れられない。

 思い出が出来てしまったのだ。


「いいか、マコト、我が妻になるなら、その紋、消してやろう」


「「えっ?」」


「呪いを消すには、それ程の決意、意思の力が必要なのだ。我が妻になるのなら、私の魔力も通りやすい、どうだ?返答如何に」


 青ざめるマコト。

 さらに青さを通り越し、固まってしまうコガラス。


「な、なぜ従属紋を消そうと?ど、どうしてそこまで……私に親切にしてくれるのです?そ、それに……私、魔力も何も無い人族ですよ?お嫁さんなんて……」


「それは靴と仮面が、お前を認めたからだ」


「え?」


「え?ク、クロさま意思は?」


「知らないのか?真の魔王は意思ある行動をしない、それは歪んだ結果をもたらす」


「?」


「マコトは、我が妻に相応しいらしい。さぁ選べ!我が妻となり、自由になるか、屋敷や森に押し寄せる者達の慰め者になるか!」


「……え……あ……」


 マコトは祈るような気持ちで、コガラスを見る。


(マ、マコトおねぇちゃんが、ク、クロさまのお嫁さんに!?)


 え?やだ!

 コガラスの本音である。

 だが、コガラスは止めることが出来ない。

 コガラスでは呪いは解けないし、クロさまは恩人である。


(……俺……無力だ……)


「お前の決意、意思の力を示せ、その決意と俺サマの力で呪いを解く、どうだ?」


「わ、私は……」


「ク、クロさま、このまま魔物の国に行くのはダメですか!?」


「従属紋は強力だ、王都では禁呪扱いだ。それ程強い呪術なのだ、そのような危険な呪、国に持ち込む分けにはいかん」


(わ、私は……私は……)


 ……いたぞ!……

 ……あの三人だ!……

 ……捉えろ……

 ……殺しても構わん……


「マコトよ、その沈黙、了承と受け取る」


「「え?」」


「今よりお前は我が妻だ!」


 突然、炎が吹きだす!

 燃え上がる森!その業火は屋敷を包み、広がり続けた!


  ◇

   ◆

  ◇

   ◆

  ◇


 意識の焦点が合うと、そこは魔物の国だった。


「「魔王さま、よくぞご無事で」」


 出迎えたのは巨大なオーガの右近と左近だ。

 魔王城の門番で、コガラスのお友達だ。

 巨大な門が開き、黒の魔王が帰城する。

 その腕には、お姫様抱っこされたマコト。

 眠っているようである。


「よぉ、コガラス、無事だったか?」

「魔王さまの治療と警護、勲章モノだぞ!」


「コガラス、ご苦労であった」


 そう言って黒の魔王は城へ。


「魔王さまが人族の女を?」

「珍しいなぁ、今夜はお楽しみか?」


 コガラスはこの魔物の国の一市民、それも人族である。

 どんなに手柄を立てても、魔王城には入れないのだ。


「お前の診療所、再開を皆待っている、明日から忙しいぞ」

「今日はゆっくり休むのだな、褒美は後日知らせがあるだろう」


 そう言ってオーガの右近と左近は門の左右に戻った。

 コガラスは巨大な門とその後に聳え立つ魔王城を眺め、一人城下町へ向った。


 異様な街並みである。


 レンガ、木、氷、炎、様々な仕様の家が建ち並ぶ。

 そこは魔物の国らしく、混沌としていた。

 その中の一軒にコガラスの家があった。


『コガラスの診療所』


「やぁコガラス、帰ってきたか、無事でなにより」


「診療所は明日からだよ」


「そうかい、腰が痛いんだが、明日よろしくなぁ」


 かなり高齢のようだが、コガラスは意外と冷たい。


「腰?じいちゃん、いくら淫魔だからって頑張りすぎじゃないの?」


「そう言うなよ、これも魔物としての仕事じゃ」


 キィ、とドアを開ける。

 久々の我が家である。

 埃だらけの暗い部屋。

 コガラスは掃除を始める。そう、じっとしていると苦しいのだ。


 今頃、クロさまとマコトおねぇちゃん……。

 ああ、強くなりたいなぁ……。


 日が沈み、夜が来る。

 賑やかな表通り、夜は魔物の時間なのだ!

 だがコガラスは悔しくて悲しくて、立ち尽くす。


「俺は、掃除しかできないのか!くそっ!」


 ああ、今頃、クロさまとマコトおねぇちゃんは……。

 涙が零れた。


 ……いつの日にか、いつの日にか……この世界に会心の一撃を……くそっ……


 そして陽が昇る。

 コガラスにとっては、ちっとも明るくない夜明けである。


 ああ、俺はこんなにも、マコトおねぇちゃんが好きだったんだ……。


 コンコン。


 誰かがノックする。


「?」


 誰だこんなに朝早く?

 ギギッ、と軋むドアをあると、朝日が大量に差し込む。


「誰?診療所は9時からだよ」


 そこには城の門番、オーガが2名立っていた。


「え?なに?右近さん、左近さん、お城の警備は?」


「クロさまから護衛を頼まれた」


「は?護衛?」


 その巨大なオーガの後には、いつものボロボロの服を纏ったマコトがいた!


「え!?」


 驚き固まるコガラス。


「さぁ、マコトさま、ここがコガラスの家です」

「ではコガラス、確かにマコトさま、お届けしたぞ」


「え?ち、ちょ、ちょっと待って!?なんでマコトおねぇちゃんが!?」


 どしどし、と帰って行く巨大な門番。


「……」


「……」


「マ……ど、どうしたの?」


 とんでもなく心配になるコガラス。

 何があったのだ!?

 コガラスは心配顔でマコトの目を見る。


 そして……!?


「紋が消えている!?」


「はい、クロさまのお嫁さんになったので、紋は消えました」


「……よ、良かったね」


 良かったのか?

 コガラスは悔しい、その紋、俺が消したかった!


「ですが」


「?」


「……ですが……うっくっ……」


 泣き出すマコト。


「ど、どうしたの!?」


「離縁されました」


「はい?……えええええっ!?り、離縁!?」


「はい、夜、寝所で胸を……触られて……胸が硬いと言われ……好みでないと言われまして……ただ、それだけで部屋から追い出されました……」


「……」


 絶句状態のコガラス!


 ひどっ!

 いや、酷いのか!?


(好み!?な、何を考えいるの!?クロさま!?)


「げ、原因は、コ、コガラスくんの治療が上手くいかなかったからだと、言われまして……」


「え?……は?……あ、あの時の!?そ、そんなはずはないっ!綺麗に再生したはずだよ!ちゃんと見たし、触ったし!」


「…………せ……………」


「せ?」


「…………せ…………責任、とってくださいっ!」


 それは叫び声に近かった。

 マコトの想いの全てである。

 それしか言えないのだ。だから泣いたのだ。


 そう確かにコガラスは言った。

 あの、思いでの舞踏会で、何かあったら必ず守ると。


「……わかった」


 コガラスは、責任を取ることにした。


(仮)如何にしてマコトの呪いを解くか、それが問題である。


  おわり


 あ、タイトルは 『異聞 真・デ・レイラ』とかどうでしょう?

 ではまた次回作で。


 

ご愛読ありがとうございました。

きっとこの二人は寄り添って生きていくのでしょう。

そしていつの日にか、世界に対してこの二人なりの、会心の一撃を決めるのでしょう。

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