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過去編9


「さ、帰ろ帰ろ」


 阿呆なミスで死にかけたが、と言うか死んだが、おかげで大きな収穫があった探索だった。後は帰って、協会に報告をして……あ!


「そうだ、スタンピードの鎮圧で来たんだった。テンション上がって忘れてた」


 て言うか不味くね?コレ。だって私以外死んでるんだよ。これで1人帰ったら悪評たたない?コレ。協会からのペナルティは無いと思うよ。だってあんなの無理だもん。流石に死ぬまで戦えとは言わないと思うよ。でもさぁー、仲間を見捨てて逃げたって言われるかもしれない。大多数の人は分かってくれると思うよ、仕方なかったって。でも、実際私以外全滅で逃げ帰ってる事実がある訳で、一部の人間には絶対言われる。

 仲間意識の強さが悪い形で私の邪魔をする。


「どうしようかなぁ〜」


 とは言えオーガを倒すなんて無理だし、素直に逃げましたって言うしかないよなぁ〜。何か他に良い言い訳ないかなぁ〜。


「うんっ?」


 考えながらダンジョンの外に向かって歩きだそうとすると微かに此方にくる人の話し声が聞こえてきた。多分他のパーティが移動しているのだろう。ダンジョンの奥の方から聞こえて来ているという事は中堅以上のパーティだろう。


「そうだ!」


 その話し声を聞いた瞬間あるアイディアを思い付き、私は急いで引き返しオーガの所に戻る。

 そう、逃げたのでは無い。最後まで戦い、運良く助けられ生き延びた事にすれば良い。そうすれば、悲劇のヒロインとして悪評は立たず、むしろ心配され、同情を買い、より親身になってダンジョン探索に協力してくれる人が出るかもしれない。


 そうと決まれば、


「やぁ、久しぶりだね、オーガくん。30秒ぶり」


 リスクは当然ある。だけど冒険者は仲間意識が強い。成功率は高い。それに最悪手持ちのアイテムを全部使えば私1人なら逃げられるはずだ。


「あー、あー、あー、うん、よし!」


 私は拘束され動けないオーガの前で発声練習しながらメイスの素振りをする。

 ブンブンッと良い音がなる。


「それじゃ、いきます。誰か!助けてー‼︎」


 全力で叫びながら全力でオーガの顔面に向けてメイスを振り抜く!


 ガキッ‼︎


 っと音を立てて顔面を強烈に殴打する。


 そして、強い衝撃が与えられた事でオーガの拘束が解け、怒り心頭で襲いかかってくる。

 当然だろう。拘束された上に顔面を思いっきりぶん殴られたのだから。誰だって怒る。私だって怒る。


「ヒイィィー!誰かー、助けて‼︎」


 私は全力で叫び助けを呼びつつ、全力で逃げ回る。走り回りながら、闇魔術を使いひたすら命中率を下げ、攻撃をかわし透かし、時にはメイスでガードし、兎に角助けが来るまで逃げ回る。


(うぉぉー、早く来てくれー‼︎)


 そして


「皆んな!いくぞ!」


(よかった、間に合った、助かった〜)


 駆けつけてくれた冒険者がオーガと私を引き離してくれた。しかも見るからに強そう。これなら大丈夫だ。助かった〜。

 安心したら、ドッと疲れが出てきた。もう大丈夫だろう、後よろしくお願いしますね。おやすみなさい。





 そうして目を覚ましたら病院で、家に帰り今に至るわけだ。

 当初の予定だった友人は出来なかったが、それ以外に高位の冒険者との面識が出来たのがデカい!リップサービスだろうが一緒に冒険をしようとの約束もした。今後交流を深め仲を良く出来れば実際に冒険に協力してもらえるかも知れない。


 何より一番の課題だった不老化に指が掛かった。何から手をつけていいか分からず、ずっと手探り状態だったものが一気に進展したのだ。コレが一番デカい!


 彼等を踏まえてこれからどうするのか。先ず肉体奪取の術式を完成させるのを最優先目標に、私自身のレベル上げをしていこう。それが出来たら今以上の金銭の獲得と我が家の貴族としての地位向上を目指していこう。今の我が家の地位ではこの国で自由に生きるには不十分だ。


 先ずはこれ等の達成を目標に頑張っていこう。

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