メイド服
66話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
テーブルの上に服が一着。
それはフリルの付いた服で、エプロンを思わせるが、それよりも可愛さを重視したデザイン。
「き、着たの?」
恐る恐る雹に確認すると、小刻みに震えながら小さく頷く。
着たんだ…。そっか…。
「阿鼻叫喚…地獄絵図…抱腹絶倒…」
ぶつぶつ呟く雹をよそに、そのあれを綺麗に遠はたたんでいく。
いつもなら本を読み始めている雹ですら止まるということは…想像は止めておいた方が良いかもしれない…。
「あれ?」
と、メイド服をたたみ終わると、ポケットから一枚の紙が出てくる。
それはひらりひらりと空を舞い、雹の近くへと舞い降りる。
「…?」
「なんだろ?」
何回かに折られた紙を、雹は躊躇いなく開いていく。
これは彼女にとって単なる興味なのか、それとも本みたいな扱いになっているのか。
ともかく、遠も内容はちょっと気になるので彼女にスッと身を寄せる。
「せんせーの事が…好き?」
「一目惚れ…?」
「一年生…?」
二人とも、その紙に書いてある事を読み上げていく。
そして、二人してハッとして顔を見合わせる。
これって…。
「ラブ…レター?」
まさか、今のスマホ一本であらゆることが出来る時代に、なんて古風な…。
あ、でも先生の年代からしたら、案外、こっちの方が…近い?
でも、これを渡してきたのは一年生だし…。
…これは。
「…………」
「あ、ちょっと雹!これは熱心に読んじゃいけません!」
「あ………っ!」
例え雹であれ、これに関しては意地でも読ませてはいけない。
凄く睨まれてるけど、すっごい手に手が絡み付いてくるけど。
「…………」
雹が我慢なんて出来ないとは思うけど…でも、最悪これを消してしまえばいずれ諦めてくれる。
だから今は必死にこれを守り、雹の興味の対象を反らして先生がこれを彼女の目の届かないところに…!
…でもどうする。
これを二人で読んでしまった事がバレてしまえば色々と優しくしてくれた先生に対して恩を仇で返す形にならないだろうか。
かといって無闇に服の中に戻せば、彼女がそれを無理矢理に読み始め、結局の可能性だってある。
ひたすらに策を練る彼に、まるで、餌に釣られる動物のように彼の手の近くでピョンピョン跳ねる彼女。
「むー!むー!」
「うーん…どうしよう…」
「…!いまっ!」
「あっ、雹!」
遠の一瞬の油断を見逃さず、手からラブレターを奪い急いでソファの裏へとコソッと逃げる。
そんな彼女に慌てて駆け寄り、奪い返そうとする。
…と、彼でもない、彼女でもない誰かがガチャリと音を立てて、扉を開けた。
「「…あ」」




