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階段の司書室  作者: いす
59/84

炭酸

59話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

彼女が俺が持つ炭酸のサイダーを興味津々で見つめてくる。

キラキラと輝く瞳は好奇心と興味に満ちていた。

「…飲む?」

「飲みます!」

素早くペットボトルが取られ、グビッと飲み干される。

サイダー好きなのかなぁ…と、その光景を眺めていると、彼女の顔がしかめっ面になっていく。

まるで、炭酸が嫌いなようなリアクションである。

「苦手なのか?」

「うぐ…た、炭酸系は苦手です…」

「…じゃあ、なんで飲んだんだよ…」

「それは…ほら…ユキが口をつけた飲み物ですし…飲みたいじゃないですか」

「えぇ…」

「間接キスですよ!間接キッス!」

キュピーン!と、空高くペットボトルを掲げてポーズを取る。

少し残ったサイダーに、太陽が反射してキラキラと綺麗に光る。

何してるんだろ…この人…。

「さっさと帰ろう」

「えー!もっと照れるとか~、恥ずかしがるとか~、せめて嫌がるとか~そういうリアクションはないんですか?」

「ない。帰ろう。ほらペットボトル返せ。捨てるから」

「…大丈夫ですよ?ワタシがちゃんと片付けますから」

「いや、いいよ。俺が片付けるから。買ったのだって、飲んでたのだって俺だし」

無理矢理彼女から奪い取ると、彼女は不服そうにむぅ…と唸り、呟く。

「恩を着せるチャンスだったのに…」

「ペットボトル一つの恩を着せても良い事はないぞ」

「はっ!まさかユキ!そのワタシが口をつけたペットボトルを大切に保管するんですか!?するんですよね!?というかしてください!」

「普通に捨てる」

キャップを外し、ラベルを剥がして水できちんとペットボトルを洗い捨てさせてもらいます。

「むー…」

「っと…」

唸る彼女そっちのけで、鞄にキャップをつけたペットボトルをしまう。

変なことを言われ、少しペットボトルを変な目で見てしまったが、その気持ちを押し殺して鞄を閉じる。

顔を上げればどこか嬉しそうにしている彼女がこちらを見ている。

「保管するんですね」

「しーなーい。持ってくの面倒だからしまうだけ」

「はぁ…でも確かにユキが興味を示さないのも仕方ないですよね」

「…なんで」

「ユキが欲しいのは本当のキスでしょう?間接キスなんてものじゃなくて」

謎が解いた時のあの少年のような感じで、見破ったかのように彼女は言ってくる。

「違いまーす」

「仕方ありません。ユキ、唇をください。そこに熱い…!愛のあるキッスを…!」

「嫌でーす」

目前に迫っていた最後の一段を上り、先を進む。

「もう…ユキは意気地無しです…」

「ごめんなさーい」

「それじゃあ…また明日です」

「ん、また明日」

軽く手を振る彼女にこちらも答え、足を進めた。

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