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階段の司書室  作者: いす
39/84

返却

三十九話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

本の返却に来た人の対応から帰ってきた雹はソファに座り、本を持って不思議そうにしていた。

そんな彼女の姿を見て、お茶が入ったカップを置いた彼は隣に腰を掛ける。

「あの人…いつもは本の返却が遅い人だよね?何か、今回はやけに返すのが早いね」

「うん…催促しようとしても…直ぐに帰っちゃって結構困った人なの…」

聞いた彼は深いため息を吐く。

「雹も、また本の山から図書室の本見つけたよ。あの本、前に要望があって取り寄せた本でしょ?なんで雹が持ってるの」

「………………読んでなんてない…後で直ぐに棚に移動させる予定だったの…」

「しおり挟んであったけど。しかも雹がよく読みかけの本を置くスペースに置いてあったし」

「…偶然。そんなことよりもどうしてあの人、返すのが速かったのかの謎を解決すべきじゃないかな?」

本に目線を向けさせるためか、持っている本を指で軽くトントンと叩く。

「話そらした」

「私としては…お母さんからめっ!てされたって考えてる」

「はぁ…そんなんじゃなくて、学年が一つ上がるし、色々片付けたかったんじゃないかな?」

「うーん…でも私としてはやっぱりお母さん説が濃厚…」

「なんでさ…」

「あの人はよく本を借りる人…つまりきっと本好き。

本が好きな人は絶対に最後まで本を読み切ろうとする。どんなに時間がかかっても」

「うん」

それについては彼も分かる部分がある。

前に、下校時間ギリギリに長編に手を伸ばした雹を帰らすのは大変だった。

と、辛い過去を思い出した彼をよそに雹は話を続ける。

「そんな本の魔法を無理矢理に解くことが出来るのはお母さんだけ…晩ごはんだからって言ったり、お風呂だからって言ったり、直ぐに本を取り上げるから…従わないとだもん…」

「…僕もそんな感じでやれば素直に帰ってくれるのかな…」

「き、君もお母さんみたいになるの…?お母さんが二人…うぅ…」

「じ、冗談だよ…」

一割ぐらい。

「君にはずっと優しくいてほしいから…あんな鬼みたいなのになったらとっても困る…」

「鬼…」

「あれは鬼ヶ島の大ボス…桃太郎なんて通じないよぉ…」

大ボスの話をする彼女の身体は、少し震えている。

「話が少し反れちゃったけど、もしかしたら確かに雹の言うことが正解かもしれないかなって思っちゃったな」

母親に強くしかられたとかなら、考えられなくもない。

普通の高校生がそれに従うかどうかはそれとして。

「お母さんの言うことは絶対……怖い」

「だね…」

そう話に区切りをつけて、近くの本に手を伸ばした雹は本を読み始める。

すると、スッと横からその本が取られた。

「…?」

「これ、僕がさっき言った頼まれた本でしょ?」

「鬼…!」

「ちゃんと自分で借りて読んでね」

「鬼っ……!!」

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