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階段の司書室  作者: いす
35/84

借りた本

三十五話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

雹の積み重ねてきた本の背に、シールが貼ってあるものが何冊かある。

記号が書かれているということはこれは図書室からの本ということであり、雹の私物ではないということだ。

いつものように、他にもそんな本が無いかを探して、見つけるとテーブルの上に置いて一纏めにする。

そして一纏めにした本を抱えて、彼女に声をかけた。

「雹、この本図書室に返しておくからね」

「…?あっ!ダメっ!その本達はこの後読もうかなって…」

「図書室から無断で持ってきたものでしょ?」

「ち、ちゃんと借りてきたもの…」

「ほんと?貸し出し履歴を調べれば分かるよ?」

「………無断です…うぅ…」

雹は本で顔を隠す。

それを見て、彼は扉を開けて奥の図書室へと向かった。

…彼がしばらくして図書室から

帰ってくると、ソファの後ろでコソコソと何かをしていた彼女が慌てて椅子へ座る。

そんな彼女を睨むように彼が見ると、彼女は身を縮める。

「…何してた?」

「な…何も…してないよ」

裏声。

「はぁ…」

本に視線を向けながらも、定期的に彼へと視線を移す彼女は怪しさの塊であり、疑うのも容易。

「…そんな…睨まないで…」

うぅ…とより小さくなる彼女をよそに、彼はソファへと向かう。

「………」

「そこは…ダメ…!」

「あ、ちょっと雹!離して!」

彼の体に雹が先へ進ませないために抱きつく。

「やだ…!べ、別に本なんて隠してないもん…!」

「隠してるんだね!ほらどいて!」

「……っ!」

トリックが暴かれた犯人のように、驚いた顔をして雹は彼を見上げる。

そんな彼女に呆れたような顔をした彼は、無理矢理にも通ろうとする。

「どーいーてー!」

「い~やぁ~だぁ~!」 

「退いてくれないと、お菓子買ってきてあげないよ?」

「…うぅ…ん~…!………別にいい…!」

「…覚悟の上だね…!」

「うん!」

「ならこっちも!」

さっきよりも力を込めて彼は進もうとするが、雹も本気。

彼のお腹辺りに埋もれるように、力強く抱きつく。

…それをほんの少し続けていると彼女からんふふ、と嬉しそうな息が聞こえ始めた。

「…君ってすっごく良い匂い…えへへ…」

「雹…?」

「…はっ!通さないよ…!」

顔を上げ、本人は強く言ったつもりなのだろうがその口は少しにやけている。

また、雹は彼のお腹に顔を埋め、まわしている手に力を入れる。

防ぐのが一転、ただのハグになった。

しばらくこのままにしておけば元の目的なんて忘れて戻ってくれるだろうと彼は思い、

優しく彼女の頭を撫でた。

…その後、彼の予想していた通り、満足をして嬉しそうに椅子へと戻る彼女がそこにいた。

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