積もる雪
二十七話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
司書室の窓の外に雹は顔を出す。
冷たい風がストーブの温風を追い出して、本を読んでいた彼も顔を上げた。
「どうかしたの?」
「外、雪いっぱい!」
嬉しそうな顔を見せる雹に近づいて同じように、外を見る。
野球部やらサッカー部が整備された綺麗なグラウンドの一部が除けられた雪で巨大な山を造り上げている。
『塵も積もれば山となる。』
を体現している状態だった。
「まさか雹、遊びに行きたいとか言い出さないよね?」
「…!何でわかったの」
「毎年雪がたくさん積もる度に言ってるでしょ…。それで遊びに行ったら行ったで酷い目に会うし…」
何故か彼女は雪に縁が無く、遊ぼうと外に行くと何かしらの事故が起こる。
去年はそれでどうしてか雪だるまの中に収納された事もあった。
本人はその時は楽しいらしいのだが、びしょ濡れになった服やら下がる体温のせいで次第に元気が無くなっていく。
そのケアをしなければならないのがかなり、彼にとっては大変である。
「今年こそは大丈夫…!」
「去年もその前も、同じこと言ってダメだったでしょ!」
「むぅ…君、お母さんみたい…」
「ダメったらダメです!」
ふん、と鼻を鳴らして腕を組む彼を見て、彼女はむーっと唸る。
「ケチ…」
「ケチで結構!」
「何でもドーンと受け止めるのが男の子…」
「今こうして受け止めてます!」
「…君なんて嫌い」
彼の動きが止まる。
「…い、今、き、き、きら、嫌い、って…え?」
「外に出してくれない君なんて…き、嫌い」
「えっ!?」
…かれこれ17年。
長い間、なんやかんやありながらも共にいた彼女からの初めての嫌いという言葉。
それは彼にとっては絶望の一言であり、娘からお父さんと一緒に洗濯するのやだ。と同じぐらいの衝撃だった。
震える彼を見て、雹は申し訳なさそうにではあるが、ぷいっと目線を反らす。
その事がより彼を追いこむ。
「むー……」
「嫌い…嫌い…嫌い」
「………」
「……よう」
小声で彼が呟く。
「なに…?」
「かけよう…出掛けよう!外へ!グラウンドへ!」
「ほんと…!」
「うん!遊び尽くそう!」
「やったぁ!えへへぇ…大好き!」
大好き、と聞いて彼は喜びの息を漏らす。
そして、そんな自分の想いに喜んでくれた彼を見て、彼女の心もまたとてつもないぐらいに喜んでいた。




