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階段の司書室  作者: いす
12/84

ヘビ

十二話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

雲の間から、晴れの明かりが見えているこの帰り道。

ぽつんと、そいつはいた。

「…あれって」

「ヘビ、ですねユキ」

緑色のとてもヘビなそいつは、階段隅にやる気無さそうにぐでんと倒れている。

「こんな時期に出会うとは珍しい」

「はい、生きてますかね?」

「ん、お前そういうの平気なのか」

階段を上ってヘビの近くに寄る彼女は、躊躇う様子がない。

「えぇ、ワタシは平気ですよ?」

「そ、そうか…」

ヘビを避けるために、いない方の階段の端に移動すると、彼女はニヤリと笑う。

「もしかして…ユキ、ヘビ苦手なんですね?」

「違う」

「汗凄いですよ?」

「これは…はぁ…もう。苦手だよ、というか大っ嫌い」

「ユキの弱点ゲットです」

嫌悪を混ぜた目線でヘビを見ると、ちろちろと舌を出す。

「うぉっ!こいつ生きてるぞ」

「それは良かったですね!」

「良くない、全然良くない。俺がこの階段を上れなくなる」

一段、ゆっくり上るとヘビの視線も一段上に向く。

「おぉ、ユキに気があるのでしょうか」

「殺気ならあるかもな…」

「見つめ会うなんて両思いです。羨ましい」

ちゃっかりとヘビより高い段にいる彼女は、子供の喧嘩を見るような、そんな微笑ましい顔をしている。

「ねぇ、助けて」

「えぇ…もうちょっと見てたいです」

「俺がヘビに襲われてもいいのか?」

「それは、困りますけど。だからといってワタシヘビをどかす方法なんて知りませんよ?」

たかが5段、なのになぜ彼女と俺はこんなにも離れているように感じてしまうのか。

残りが4段になった。

「一気に駆け上がる…?」

「氷、気を付けてくださいね」

「………」

色々と思いだし、それは却下になった。

残り3段。

次の段がそいつの支配地。

「ほーらユキ、頑張れですよ!ファイトファイト!」

外人のくせにファイトの言い方が完全に日本人と同じ。

彼女は一年でここまで日本に呑まれてしまったのか。

慎重に、冷静に、一歩踏み出す。

ヘビと対等に見つめ会い、それが動かない間にゆっくりと…。

「シャー!」

「うぉ!ヘビ動いた!あー!ヘビ!」

突如として突撃され、心臓が突き刺されたように跳び跳ねる。

突拍子もなく動かれるのは、突然だし困る。やめて。

奴の少し上の階段を倒れ込むように上って、威嚇をしている奴を見ていると、ふわりと手が頭に乗せられ、撫でられた。

「良く頑張りました!ユキ!」

「…うるさい。ほれさっさと帰るぞ…はぁ」

「ワタシが知らないだけで、ユキも弱点がたくさんあるものなんですね」

「調べようとしなくていいからな」

にっこりと笑って彼女は誤魔化した。


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