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0197・砦防衛戦




 Side:イシス



 敵の兵士が西から攻めて来る。

 俺達は砦の東側に回って防衛する事を、前線で指揮していた第二王子と将軍に言っておいた。

 近くに王宮魔法使いの爺さんも居たし、これで俺が出る事は無いと分かったろう。


 ウェロヌ達も居てこちらを見てきたが、俺達はスルーで東側へと移動する。

 そもそも王宮魔法使いの連中が自分達に任せろと言ったんだから、そいつらに何とかさせるのが筋だ。

 俺達には関係が無い。


 それに防衛が手薄となっている場所の方が襲われる可能性は高い。

 そもそも西側の兵士が囮である可能性も無い訳じゃないんだ。

 東側の防衛を軽く見ていい理由など無いだろうに。


 そう思って輜重の兵などを中心にした防衛部隊の所へ行く。

 こちらはそこまで敵に攻められる事は無いだろうと思われているのか、雰囲気が緩く西側とは対照的な感じがする。

 それでも足場に立って見張ってはいるが。


 そんな兵士達に声を掛けて、一応こっちを狙ってくる可能性を伝えて緊張感を持たせる。

 本来は俺がやる事じゃないんだが、緊張感を無くすと咄嗟の時に動けなくなるし、そうなると瓦解する可能性が高い。


 こっち側に敵が来ていないからといって、警戒心は持ち続けないとマズい。

 そう思っていたら足場に立っていた兵士が「敵襲!」という声を上げた。



 「敵は十数人ですが、怪しいローブ姿の者達! おそらくは<死霊術士>だと思われます!!」


 「迎撃! 石でも弓矢でもいい、とりあえず敵に攻撃して牽制!」


 「「「「「「「「「「おおっ!!!」」」」」」」」」」



 ローブ姿ってどうなんだ? と思わなくもないが、味方から分かりやすくしてくれとでも言われたのかな?

 敵にも分かりやすくする意味が何処にあるのかは謎だが。

 昔の戦では敵味方を分かりやすくしていたと言うし、それと同じなんだろう。

 きっと。


 そいつらは【収納魔法】から死体を出し、それを【死霊術】でアンデッドにすると、壁を一気に攻撃し始めた。

 どうやら急造の壁だというのはバレているらしく、破壊しようと考えたらしい。


 しかもアンデッドの中に一体だけヤバいのが居る。

 かつての八本足のオルトロスに匹敵するようなヤツだ。

 今なら分かるが、アレは間違いなく体の中に呪いの何かを埋め込んでいるぞ。

 あからさまに瘴気以外の何かを感じる。

 もしかしたら八本足のオルトロスより呪いの強さは上か?



 「来るぞ! 投げろ!!!」


 「「「「「おおっ!!!」」」」」



 少ないながらも集めておいた石が投げられるが、散発的で大した威力にはなっていない。

 しかし俺達が浄化しているので、何故か敵のアンデッドはバタバタと倒れている。

 壁の内側に居るバステトとハトホルには【念話】でアンデッドの位置を教えているので、ちゃんと浄化が出来ているようだ。


 俺とヌンは出来得る限り素早くアンデッドを浄化し、相手の数をどんどんと減らしていく。

 そうしないと壁が壊される恐れが高いし、数を頼みに攻撃されると厄介な事になる。

 とはいえ、あの大きなアンデッドを放っておくのもな……。


 ちなみに大きなアンデッドはロバだ。

 いわゆる家畜の<サルグォ>だが、体が妙に大きいのと角が額から生えており、更には胴体から腕も生えている。

 奇怪なキメラになっており、どうやら呪いのアンデッドは技術として確立したらしい。


 ヌンが発展性の無い技術だと言っていたが、今現在だけを考えれば割と厄介なものとなる。

 それでも数が多いザコを先にどうにかしなきゃいけない現実があり、なかなか時間のかかる状況に少し焦ってしまう。


 そんな中、角腕ロバが体当たりをしてきた所為で大きく壁が揺れた。

 これは何度も防げるような体当たりじゃない。

 そう思った俺はバステトとハトホルにロバの位置を教えて浄化を頼む。


 俺とヌンは足場の上に立って見えているので、次々に小さなアンデッドを浄化して死体に変え倒していく。

 一度浄化されると、そう簡単にはアンデッドに出来ない。

 実際にローブどもが必死に【死霊術】を使っているが、浄化された死体がアンデッドに戻る様子は皆無だ。


 バステトとハトホルが浄化しているにも関わらず、殆ど動きが変わらないロバ。

 やはり呪いの何かが埋め込まれたアンデッドは非常に厄介だ。

 そうそう簡単に瘴気が削れてくれないので、行動が止められない。


 言葉は悪いがヴァンパイアより遥かに厄介だぞ。

 比べられたらヴァンパイが怒るかもしれないが、それでもここまで違うのはなぁ。

 そんな思考をしつつも浄化を急ぎ、何とか細かなアンデッドを全て浄化する事が出来た。


 ドガァン!!!


 それと同時のタイミングで、ロバの体当たりにより壁が破壊されてしまう。

 間に合ったかは微妙だが、それでもここからは角腕ロバに集中できる。

 そう思い足場を下りた俺は、浄化をしながら石を拾って<死霊術士>に投げつけた。


 その石は<死霊術士>に直撃し、簡単に命を奪う。

 それを見せ付けた後、俺は大きな声を上げた。



 「アンデッドは俺達に任せろ! お前達は<死霊術士>を倒せ!! そうすればアンデッドも止まる!」


 「そ、そうだ! <死霊術士>さえ倒せばいい! 俺達の手で<死霊術士>を倒すぞ!!」


 「「「「「おおー!!!」」」」」



 角腕ロバを見て恐怖に怯える兵士なんて居ても邪魔だ。

 それなら<死霊術士>という戦いやすい方の相手をしてもらった方が余程いい。


 俺は【身体強化】で一気に近寄り、ロバに体当たりを行い転倒させる。

 元々の<サルグォ>より二回りぐらい大きいだけなので、俺の体当たりでも転倒させる事は可能だ。

 警戒したのは二本の腕だが、あれは後付けなので上手く動かせないらしい。


 やはり元々の体に無かったものは上手く扱えないようだな。

 むしろ額の角は後付けだが、唯の角なので上手く使えている気がする。

 ああいう改造ならおかしな事にはならないのだろう。


 俺達が四人がかりで浄化する事で、やっと動きの制限が出来るぐらいなので、やはり相当な呪いの濃さをしている。


 そんな状況を打破するべく、俺は一度<時空の狭間>に戻って聖銀で杭を作製。

 それをアイテムバッグに入れて戻り、皆の前でアイテムバッグを下ろして中から取り出す。

 これで今まで持っていなかったなんて誰も思わないだろう。


 俺は聖銀の杭を出すと、角腕ロバの側面から【身体強化】を使って投擲。

 「ズドッ!」という音と共に角腕ロバの体の側面に突き刺さった。



 「ウェベウブゲベベベベ……」


 「奇怪な声を出しているけど、今が最大のチャンスか。一気に浄化して終わらせるぞ!」


 『了解』 『今の内です』 『分かりました』



 俺達が一気に浄化して呪いと瘴気を無くすと、ようやく角腕ロバは倒れて動かなくなった。

 ちょうど同じタイミングで最後の<死霊術士>が倒されたらしく、東側の戦いが終わったようだ。

 これでアンデッドではなく死体のままだろう。


 ようやく終わったかと聖銀の杭を抜いていると、慌てた様子で兵士がやってきた。



 「イシス殿! イシス殿はおられますか!! 居たら返事をお願いします! イシス殿!」


 「俺がイシスだし聞こえてる。で、俺にいったい何の用だ?」


 「貴方がイシス殿ですか! 早く来て下さい!!」


 「いったい何だ? こっちに分かるように説明しろ。いきなり来いって言われてもだな、ここだって守らなきゃいけない場所だぞ」


 「そんな事はどうでもいいんです! このままでは第二王子殿下が殺されてしまう!!」


 「ならそれを先に説明しろ! 第二王子は西だな?」


 「そうです!! おかしなアンデッドが現れて壁が破壊されて中に!!」


 「こっちと同じで、呪いのアンデッドかよ!」



 俺達は砦の西へと走って行く。

 ゼンス王国も色々とやってくれるもんだ。

 あっちもこっちも呪いのアンデッドで潰そうとしたんだな。

 しかしそれでも2体と数は多くない。


 有象無象のアンデッドはウェロヌ達がどうにかしてくれているだろう。

 俺達は呪いのアンデッドに集中だな。


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