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0100・ネズミとウサギと三人組と




 Side:イシス



 ネズミを倒した後も俺達はウロウロし、ウサギ一羽も含めて三匹ゲットした。

 地面の穴にはネズミだけでなくウサギも居たので、どちらが居るかは炙り出してみないと分からない。


 どちらにせよ熱で炙り出す方法で十分に効果があるし、この方法は魔力をあまり使わないので楽だ。

 流石はヌン。



 『誰でも簡単に思いつく事ですし、特にどうこうと言う事ではありませんよ。それよりも数を獲っておきましょう。お金はあって悪い事は無い筈です』



 ヌンさん照れてるじゃん、とは言わない。

 ここで揶揄からかってもヌンがへそを曲げるだけで、むしろ雰囲気が悪くなるだけだからな。


 それは横に放り投げて、ヌンが言う通りもうちょっと獲っておくか。

 ネズミにしてもウサギにしても、魔石を持つからか魔力反応があって分かりやすい。


 それに見つけるのも倒すのも然して難しくない相手なので、これで稼げると助かる。

 だがウサギはともかくネズミはなぁ……。

 多分だけど売れないと思う。


 ネズミ肉の話をしていたが、そこまで食料事情が悪そうには見えなかったし、普通に暮らしているように見えた。

 そんな村がネズミ肉を食うか? って話だ。

 流石に無いと思う。


 それでも獲れるんだから獲るけどな。

 そう思いながら魔物を探して歩いていると、近くの森から出てくる三人組が居た。

 革鎧を着ているが、同じ開拓者か?


 向こうもこっちに気付いたらしいが、何故か近付いてくる。

 襲ってくる気なのか、それとも話し掛けてくるだけか。


 見た目で分からないから警戒するけど、見て分からないというのは厄介に過ぎるな。



 「おーい! あんたはいったいここで何をしてるんだ?」


 「俺達はここで魔物を獲っている。ネズミやウサギだ」



 俺がそう言うと、三人組は顔を見合わせた後で近付いてきた。

 俺の返答に近付く理由があったか?



 「ネズミやウサギを獲ってるの? 肉が増えて助かるけど、よく獲れるわねえ。あいつらってすぐに穴に潜って逃げるから簡単じゃないのに。……もしかして魔法が使えるの?」


 「魔法? いや、使えないけど、代わりに【魔術】が使えるよ。もしかして魔法ってのがあるのか?」


 「知らないのかい? ……いったい何処の生まれなんだ、魔法を知らないなんて」


 「俺達は東から出てきたんだ。王都に行こうかと思ってるんだけど、今はその為のお金稼ぎだよ」


 「ああ、開拓地から出てきたのか。そりゃオレ達より田舎者の筈だ。魔法を知らないってのも分からなくはない」


 「で、魔法っていったい何なんだ?」


 「魔法っていうのは……何て言えば良いんだ? 魔力を使って起こす、なんか凄いものさ。それぞれの色で違うんだけどね」


 「色?」


 「色はそれぞれの者が持つ色の事だよ。生まれた時に持ってるもので、それで使える魔法が決まるんだ。極稀に色を持ってないヤツも居るけど、それは無属性っていう優秀なものだって言われてるね」


 「赤、青、緑、茶、白、黒、無。この七色のどれかを持つんだけど、たまに二色か三色という風に複数持つ人が居るらしい。まあ、沢山持ってても使いこなせないと意味が無いそうだけどね」


 「君達も色を持ってるなら魔法とやらが使えるんじゃないの? そしたらネズミやウサギぐらい獲れるだろ?」


 「オレ達が魔法を? 無理無理、使い方なんて知らないっての。そもそもオレ達が何色を持ってるかすら分からねーし、田舎者なんてそんなもんだ。そもそも町に行って調べてもらわなきゃいけないんだぜ?」


 「私は昔、親に連れられて調べてもらったけど? ちなみに緑色だった」


 「いいなぁ。町に行かなきゃいけないし、調べてもらうのにお金が掛かるんだよねー。いつか調べて魔法の使い方を習いたいけど、それがいつになるのやら……」



 そんな話をしてくる三人組を連れて探していると、中に何かが居る巣穴を発見した。

 俺は薙刀を上で構え、巣穴の奥を熱すると、中から何かが出てきたのですぐに突き刺す。



 「うぉっ! すげえ!! 中から出てきたネズミを簡単に突き刺して倒してるじゃないか。それがさっき言ってた【魔術】ってヤツか?」


 「ああ。巣穴の奥に居るから、そこを熱してやると熱くて出てくるんだよ。そこを刺して倒してるだけだ」



 そう言いつつ薙刀を抜くと、俺はビクビクしているネズミを引っ張り出して血抜きを行う。

 ある程度の血が抜けたらアイテムバッグに収納したんだが、それを見て驚く三人組。



 「それってもしかして収納鞄か? いいなぁ、ダンジョンで見つかるらしいけど、オレ達じゃ手に入る事なんて絶対に無いから羨ましいぜ」


 「魔法が使えれば収納できるんだし、やっぱり魔法を覚えるべきだよ」


 「そうそう。収納魔法を覚えれば、私達だって沢山持って帰れるんだし、そしたらお金はもっと貯めやすくなるわよ」


 「分かってるよ。でもなー、それに後どれぐらい掛かるか考えたらさー」


 「魔法っていうのには、収納魔法なんていうのがあるのか? 確かにそれを使えれば沢山持って帰れるだろうな」


 「収納鞄を持ってるヤツが言う事かよ? て、もしかしてそれ容量が少ないのか? 確か収納鞄って沢山入るヤツもあれば、大して入らないヤツもあるって聞くし」


 「まあ、そこまで沢山入ったりはしないが……それより君達はここで喋ってて大丈夫なのか? お金を稼がなきゃって言ってたろ」


 「大丈夫、大丈夫。一日や二日休んだって問題ないくらいの金は持ってるよ。ただオレ達が魔法を教えてもらえるような金が貯まってないだけだ」


 「という事は相当の金額がするんだな。大変なんてものじゃなさそうだ」


 「そうなのよ。色を調べるのだけなら一人小銀貨3枚で済むのに、魔法を教えて貰うには小金貨3枚要るの! 三人で小金貨9枚よ? そんなの簡単に貯まる訳ないじゃない!」


 「小金貨3枚って事は3000ルルか。それがどれくらい大変かは俺は知らないが、貯まるといいな」


 「いや、知らないってどういう事だ?」


 「俺は今日村に来たばかりなんだよ。だから魔物の売値とか含めてよく知らないんだ。開拓地じゃお金なんて使わないし」


 「あー、何か聞いた事があるよ。確か開拓地って物々交換が基本だって。お金があっても使われないし使う所も無いらしいよ。持ってても仕方ないって笑ってたのを覚えてる」


 「ああ。たまーに開拓地から物を買いに来るヤツって居るもんな。オレも前に見た事あるぜ? あれはオレ達<アンズル>とは違って<ボーラン>だったけど」


 「<アンズル>? <ボーラン>?」


 「そんな事も知らないんだ……。<アンズル>っていうのは私達のような種族、<ボーラン>っていうのはトカゲみたいな種族の事よ」


 「他にも<リグン>と<ソーリャ>が居るよ。<リグン>は獣みたいな種族で、<ソーリャ>は君みたいな見た目の種族だよ。って、もしかして自分の種族名も知らない?」


 「あ、ああ。すまないが、そんなのを気にした事が無いんで分からない。何となく君達の言っている事は分かるんだが……」


 「なんかアレだ、開拓地って色々スゲーんだな? 種族を気にしなくても生きていけるなんてさ。いや、だからこそ開拓に集まるヤツが居るのか?」


 「種族で見られるのに嫌気が差してる人って居るもんね。分からなくは無いかなぁ……」


 「そうなのか。っと、今度はウサギだったみたいだ。相変わらず、どっちが穴の中に居るか分からないな」


 「それは仕方ないんじゃないか? ネズミやウサギを獲る人達だって、どっちが入ってるか分からないって言ってたしな。どっちにしたって売れるんだからいいじゃねーか」


 「そうそう。ネズミ肉が好きなのも居るしね、私は苦手だけど」


 「そう? 肉が食べられるなら、どっちでもいいよ」


 「だな。野菜は飽きたわ」



 どうでもいいが、こいつらはいつまで俺と話している気だ?


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