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合宿1日目(裕視点)

トマト、キュウリ、スイカ、ズッキーニ、ナス

沢山の夏野菜が生っている後藤さんの畑の手伝いを俺たちはしている

雑草を刈り、野菜を収穫する

やってみると意外と楽しい

ミミズを見付けたりするとあちこちから

「ぎゃー!!」

「うぉっ!」

なんて悲鳴も聞こえてくる



農作業グループと合宿所の掃除グループに分かれて行動している。

しかし、人数が多いため、農作業がすぐ終わってしまった

水分補給も兼ねて、後藤さんがスイカをご馳走してくれた

一口頬張ると、スイカの甘味と水分が口いっぱいにひろがり、夏だなぁ・・・と思える味がした

もう一口食べると少ししょっぱかった


ん?しょっぱい??


隣に座っていた藤木先輩が俺のスイカに塩をかけていた

「先輩、なにしてんスか?」

「塩分補給」

どや顔で言い切る先輩

しかし、手に持っている物は、塩は塩でも塩コショウ

「何で塩コショウ?」

「スパイスもほしいかと思ってな」


ありがた迷惑だよこんチクショウ

折角のスイカが台無しだよ


言いかけたが、天然ボケの藤木先輩には通用しないと理性でなだめた。

そんなことは露知らず

「岩塩の方がよかったのか?」

なんてすっとんきょうな事を言い出す

突っ込み所が多すぎて一人じゃ処理出来ない


休憩を終えても時間が余った

満月先輩がバスケットボールを小脇に抱えて歩いてきた

「近くに野外バスケットコートあるからそこ行こうぜ

ちなみに掃除してた連中も来るからチーム分けて試合するぞ」



じゃんけんにてメンバーを決めたのだが、レギュラー、ベンチ、その他が2チームの計4グループの酷い組み合わせになった

しかし、レギュラー以外は下剋上のチャンスの為殺気立っている

普通に考えれば下剋上なんてまずない


10分ワンゲームの総当たり

一番弱いチームは合宿が終わってから1週間練習メニュー2倍

(レギュラー、ベンチは3倍)

レギュラーチームはスリーポイントシュート禁止のハンデ付き

その他には満月先輩の助っ人が入る


伊江先輩曰く

レギュラーチームからすれば地獄の10分で強敵は満月先輩

1人で3人分動き、司令塔としてもメンバー個人の能力を最大限に生かす

見方につければ最高だが敵に回せば最悪の相手

バスケに関しては鬼も裸足で逃げ出すスパルタ

噂では、プロバスケットボールの選手に勧誘されたが断った

らしい


満月先輩の武勇伝を聞き流しつつ試合を始めた



結論から言うと、満月先輩が助っ人に入った試合だけは全て1点差で負けた

一番弱かったのはベンチチームなのだが・・・


練習メニュー3倍は免れたものの、1点差負けと言う地味に嫌な思いを抱えながら合宿所に戻った。


「皆さん、お疲れ様です」

柔らかい声が帰ってきた俺たちを癒す

視線を上げると水色のウサギの模様がついた浴衣をまとった永谷さんが居た

「さやぁー、やっぱりお兄ちゃんの目に狂いはなかったよー

超可愛い、誘拐したくなっちゃうよー」

危険な発言をしている兄を冷めた目で見ながら

「兄さん、汗臭いからこっち来ないで」

抱きつこうとする兄を言葉で一刀両断する

「お風呂入れますので、入ってきてください」

にっこり笑うと部員たちを大浴場まで案内して行った。


さっきまでバスケであんなにかっこよく活躍してた人が何故妹を目にするとシスコンになるんだろう?

考えても無駄と思える事を考えながら大浴場へ行った



大浴場と言うだけあってやっぱり風呂は広い

手足を伸ばしても湯船に浸かれる温泉が好きだったりする

何より温泉にはサウナがあるサウナから出た後に腰に手をあて、首にタオルをかけて飲むポ○リは格別なんだよなー

まぁ、自分でも爺くせーって思ったりするのだが

わかっちゃいるけど止められねぇ

こんなんだから瑠伽に

「ゆー、じーじみたいー」

って指差されて笑われたりするのだろうか?

頭と体を洗い終わってじっくり湯船に浸かる

熱めのお湯が体を包んで俺の回りに波紋が広がって違う波紋とぶつかって消えた


「裕、あんまり入ってっとのぼせるぞ?」

高宮先輩に声をかけられた

「今上がります」

言うと湯船から上がった



風呂から上がり部屋に戻ると、机の上に水差しと人数分のコップ、そしてメッセージカードが乗っていた。

『ご自由に飲んで下さい』


「そういやさ、夕飯って何時からだろ?」


同室の一年でレギュラーの楠本くすもと しんが夕飯の時間を気にした

「そう言われれば詳しい日程聞いてないな・・・」

伊江先輩も続けて言う


コンコン

「どーぞー」

藤木先輩が扉を開けると高宮先輩が居た

「わり、渡すの忘れてた」

手渡してきたのは日程が書かれた紙

しかも、18:30より夕食

となっているが現在時刻は19:00


「あーきーらー」

伊江先輩が叫んだ時すでに高宮先輩は走って逃げていた。


夕食を無視した主将と怒った部員達の鬼ごっこは永谷兄妹(特に妹)が止めるまで続けられた


次の日、高宮先輩の練習量が倍になったのは言うまでもない


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