死の天使 Full version〜2〜
「怖がらないの?」
少女は震える唇で、言葉を紡いだ。
「どうして?」
心底不思議そうに少年は聴いた。
「でも私、ヒトゴロシよ」
「でも寂しがり屋だ」
僕と同じ、と少年は笑う。
「それに、実感が無いのかもしれないな。どうしても、君がヒトゴロシって気がしないんだ」
少女は少年が好きだ、と思った。
「ねえ、私達ふたりなら、もう寂しくないわ!一緒にすごしましょうよ」
久しぶりに、少女は心から笑った。
笑いあう少年少女を、戻った死の天使は見た。
少しだけ驚いた後、冷たくニヤリと笑った。
やがてふたりは恋人となり、子を成した。
少女は幸せだった。
殺さないでいいのが、何よりの幸福だった。
子がまだ物心つかない内に、少女に死の天使が取り付いた。
いや、戻ってきた、というのが正しいのかもしれない。
少女は、少年を殺した。
「いや、いやぁぁぁあああああ!!!」
少女は泣き叫んだ。涙が枯れるまで。
「ほら、人間は脆い。僕なら君と、ずっと居られるよ?」
死の天使の囁きは、やがて少女を蝕んだ。
少女は、少年のいない世界でヒトゴロシを続けた。
無情に、ただただ機械的に殺し続けた。
少女はやがて少女という歳では無くなり、それと同時に死の天使は子に取り憑いた。
「やめて!私の子にこの苦しみを受け継ぐのは、やめて!」
女性は、久しく涙を流した。
死の天使は、囁く。
「言ったでしょ?ずぅっと一緒だって」
女性は絶望し、自分の犯した過ちを悔いた。
女性は名高い陰陽師に頼み、その死の天使に二百年間続く封印を施した。
「覚えておけ、お前の一族は一生苦しみもがくだろう。原因は、お前だ」
そう言い残し、死の天使は封印された。
end




