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 23 真相は森の奥に


 みなさま、おはようございます。


 だいぶ暖かくなってきましたね。いかがお過ごしでしょうか。


 私は花粉症で毎日大変です。


 現在田舎暮らしのため、杉に囲まれた生活をしております。本当に360度、どの方向を見ても杉の木があります。


 しかも、裏山には何百本という杉林が広がっており、その麓で暮らしているものですから、過去一ひどい症状に悩まされております。


 そんな山の中に住んでいるので、野生動物もたくさんいます。


 私が実際に見たのは、たぬきさんとハクビシンさんですが、聞いた話では他にもお猿さんとか、猪さんとか、鹿さんもいるみたいです。

 

 この前、散歩で山に入ったとき、明らかに小動物ではない気配を感じました。


 目の前の、高さ2メートルほどの草むらが大きく揺れ、何かがものすごいスピードで駆け抜けていきました。


 猪か、鹿か、それとも……


 とりあえず石を2個ほど投げて威嚇しておきました。


 結局、正体は分かりませんでしたが、これは一人で来る場所じゃないなと悟りました。


 そんな経験をして、ふと頭をよぎったものがありました。


「パターソン・ギムリン・フィルム」


 みなさま、ご存じですか?  1967年にカリフォルニアで撮影された、あの有名なビッグフットの映像です。


 森の中の開けた場所。


 全身が毛に覆われた、大きな人影が歩いている。二足歩行で、明らかに人間ではない。


 そして、逃げていく途中で、カメラの方を振り返る。


 本物か、偽物か!?


 この映像、2026年の今になっても決着がついていないんです。


 半世紀以上検証され続けて、それでも答えが出ない。決定的な証拠がないまま、謎だけが残っています。


 見たことない方は、Youtubeで「パターソン・ギムリン・フィルム」と検索すればすぐに出てきますので、是非ご覧ください。


 しかし、おかしな話ですよね。これだけ技術が進んだ現代でもその真偽が分からないなんて。


 というわけで、映像に映っていたものを、私なりに検証してみたいと思います。


 現代ではないので、あの映像がCGで作られたなんてことは、まずあり得ません。


 なので、映像自体を疑うのは却下します。


 では、あの歩いているビッグフットみたいなのが偽物だった場合。

 

 答えは簡単です。


 着ぐるみを着た人間です。誰でも思いつきますよね。


 ですが、そう言い切れない点がいくつもあるんです。


 あのような精巧な着ぐるみは、現代でも簡単に作ることはできません。


 かといって、当時では本当に無理だったの?


 ここで思い出されるのが、映画「猿の惑星」です。


 あの映画、ものすごくリアルな特殊メイクでしたよね。公開は1968年。調べてみると、1966年にテスト撮影、1967年に本撮影が行われていたようです。


 そしてビッグフットが撮影されたのも、1967年。


 ほう…… 偶然ですかね?


 つまり、あの時代にはすでに、あれほどリアルな造形を作る技術が存在していたということになります。


 ふむふむ。それなら話は簡単じゃん。


 偽物に決定!


 なんて単純ではありません。


 あの映像をよく見ると、歩行の動きが自然すぎる。とても着ぐるみを着た人間には見えない。


 では、その辺りも細かく検証してみましょう。


 まず、その大きさ。


 ざっくりではありますが、7フィート前後と言われています。


 つまり、約213.4cm。


 で、でけぇ!!


 かつてロサンゼルス・レイカーズで活躍したシャックこと、シャキール・オニールさんが216cm。ほぼ同じぐらいですね。


 分かりにくいという方は大谷選手と比べてみてください。


 あの映像のビッグフットは、193㎝の大谷選手よりも20cmも大きいんですよ!


 ちなみに、この7フィートという数字は、主に映像の分析や現地の距離推定から出されたものだそうです。


 ですので、多少の前後はあっても、そこそこ信用できる数字だと思います。


 うむむ。213㎝かぁ。


 でも、いますよね。


 先ほどシャックを比較に出しましたけど、アメリカだとたくさんはいなくても、普通に目にするレベルだと思います。


 なので、大きさだけでは本物だ! とは言えませんね。


 3メートルあれば話が別ですけど。


 では次に、体のバランスを見てみましょう。


 私が特に注目したのは、腕です。腕の長さ。


 映像では歩いているのですが、前後に大きく振っているその腕が、かなり長いんですよね。


 何度か確認しましたが、なんと膝にまで届いている長さなんですよ。


 特に前腕。肘から先が長いなーって印象です。


 腕が長いというこの特徴は、人よりも、むしろ類人猿に近いと言われています。


 いやー、何度見ても本当に長い。


 もし私の知り合いなら、ボクシングをお勧めするところです。

 これだけのリーチがあれば、こまめにジャブを突いてアウトボクシングに徹すれば、世界も夢じゃない。そんな想像をしてしまうほどの長さです。


 前腕にばかり目を奪われましたが、上腕も長いです。


 そして肩。


 一見、かなりのなで肩に見えます。


 ですが、よく見ると違うんです。


 首から肩にかけての筋肉の盛り上がりがすごい。


 いわゆる僧帽筋が発達していて、そのせいで肩の位置が低く見えているだけでした。


 こちらを振り向いた時、その筋肉の厚みがよく分かります。


 そして再び前を向いた時、なで肩だと思っていた肩の位置は、それほど低くないのです。

 

 むむむむ……


 しかも、腕の振りがとても自然なんですよ。肩の付け根ごと前後に動いている。胸筋の動き、背中の肩甲骨の動きまで伝わってくる。


 着ぐるみで、ここまで細かい所まで表現できるんですかね……


 うん! つまりこれは本物のビッグフットだ!


 ……と言いたいところですが、まだ早い。


 ここで反論もぶつけてみましょう。


 腕が長いのは、着ぐるみのサイズの問題かもしれない。たまたま腕を長く作りすぎて、それが本物っぽく見えた。あるいは、類人猿をイメージして最初からわざと長くした。


 筋肉の動きも、たまたま光と影がそれらしく見えただけ。もしくは、そこまで計算して作り込んだ。


 そう言われたら、否定できません。


 ちなみに、この映像のビッグフットさん、胸が大きいんですよね。


 最初は胸筋がすごいのかなと思っていましたが、それにしては大きすぎる。


 そう、この個体はメスではないかと言われているんです。


 ですが、これも着ぐるみで説明できてしまいます。

 

 先ほども書きましたが、ただのサイズミス。偶然の産物か、計算か、あるいはその両方か……


 うーん、そう言われると厳しい……


 ですが、一連の動きをもう一度見てみましょう。

 

 腕を大きく振り、前を向いて歩いている。

 上半身ごとカメラのほうに振り向く。

 身体は前に戻り始める。

 でも、頭だけが残る。

 そして最後に、頭も前を向く。


 うむむむむ……


 この一連の動作、何回見ても自然すぎる。


 視線の名残みたいなものまで出てるんですよ。


 つまり、振り向く警戒心。その後に意識を前に戻している。


 そして、撮影者に怯えている、その心境までもが伺える。


 動きに関しては、ツッコミどころがない。


 着ぐるみだった場合、ここまで自然に見えますかね?


 ……って、思ってしまうんですよね。


 ですが、これも簡単に反論できますよね。 


 着ぐるみを着た人間の演技が上手かったんだ。何度も打ち合わせと練習をしたんだろう…… ってね。


 しかも実際に、後年になって「あの中に入っていたのは自分だ」と名乗り出た人物もいます。


 ボブ・ハイロニマスという、撮影者パターソンの知人です。


 もちろん、この証言自体にも疑いはあります。


 確定したわけではありません。


 ちなみに、彼の身長は、ビッグフットとして推定される7フィート前後には届きません。


 これは、ハイロニマス証言に疑問が投げかけられる理由のひとつでもあります。



 では次に、下半身の検証をしてみましょう。


 あの生き物、歩いているとき、常に膝を曲げているんですよね。


 もちろん人間も膝を曲げて歩きます。ですが、前に出した足は、膝が伸びて真っ直ぐになるタイミングがあるんですよ。


 でも、あの映像の生き物は違う。常に膝が曲がっている。前に出した足も、伸びきらない。ずっと曲がったまま。


 それでいて、窮屈そうでもない。歩きにくそうでもない。不安定でもない。


 まったくブレずに歩いている。


 明らかに人とは違う歩き方。


 やっぱり本物なんだ! ビッグフットだ!


 いえいえ。これも反論できますよね。人と違うように見せるための演技だ! とか。下半身の着ぐるみも大きすぎただけだとか。最初からあの作りだった。とか。


 あと、この歩行については、スタンフォード大学医学部の整形外科教授であるジェシカ・ローズさんという方が、「歩き方を人間で再現する実験をしたところ、かなり再現できた」と言っています。


 つまり、あの歩き方だけを見て、人ではないとは言い切れない。らしいです。


 まぁ、映像があって同じ二足歩行なんだから、似せようと思えば似せられるでしょうよ…… ってツッコミたくなりましたが、それは置いときましょう。


 結局のところ、すべてにそれなりの反論があって、あの映像だけでは本物のビッグフットだとは言えない。


 でも、完全に偽物とも言い切れない。


 だから、現代になっても論争が続いているわけです。


 私はどっちだと思うの? って聞かれたら、うむむむぅ。


 どっちだろう? 本物だと信じたい気持ちもあります。けどなぁ…… 


 たしかに当時、猿の惑星の特殊メイク技術はあった。でも、それはハリウッドのごく一部の話であって、一般に出回っていたのかな?


 そして、もしあれが作り物だったなら。


 世間をあれだけ騒がせたんだから、「実は作り物でした」とバラしたほうが、よっぽど儲かるんだけどなぁって思ってしまいます。


 どうやってあれほど精巧な着ぐるみを作ったのか。


 特殊メイクは誰が担当したのか。


 演技指導は誰がしたのか。


 中に入ってた人は役者だったのか。


 そこまで明かせば、それこそハリウッドが飛びついたことでしょう。


 金儲けが目的なら、そっちのほうがはるかに美味しい。


 つまり、目的がお金や注目、有名になることだったのなら、あとになって「あれは嘘でした」と明かしたほうが、むしろさらに大きな話題になったはずなんですよね。


 何度でも美味しい思いができたのに……

 

 でも、そうはならなかった。


 撮影者のパターソンは、生涯この映像が本物だと主張し続けました。1972年に亡くなるまで、一度も撤回していません。


 もう一人の撮影者、ギムリンも同じです。彼は今も存命ですが、「あの日見たものは本物だった」と言い続けています。


 1967年から59年間…… うーん……


 結局、真相は闇の中のまま。


 でも、私はそれでいいと思ってるんです。


 人間は、これまでたくさんの生き物を絶滅に追い込んできました。


 もし彼らが本当にいるという確固たる証拠が出たら、どうなるか。


 捕獲しようとする者が現れる。研究対象にされる。生息地は荒らされる。


 結局、同じ運命をたどってしまうかもしれない。


 だから、このままでいい。


 見つからないまま、論争が続くまま、森の奥でひっそりと暮らしていてほしい。


 人は、自然から大きくはみ出してしまった生き物。


 だからこれ以上、関わらないほうがいい。


 そんなふうに思っています。


 それで、私の目の前を草むらに居た生き物ですが、ちょうどその日、吉本興業の公演が同じ県内でありました。


 そうそうたる出演者の中に、オール阪神巨人の文字が。


 まっ、まさか…… 私が見たのは、巨……


 まさかね。


 もしそうなら、ビッグフットどころか、ただの営業中です。



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