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エアとジオの共同戦線


 エアが影のような黒装束の敵たちの中に飛び込んだ瞬間、地面が揺れた。

 その拍子に敵の手から落ちた剣をエアは必死で拾い上げる。

「エア、避けろ!」

 ジオの声にエアは剣を胸に抱いたまま、横に身を投げて転がる。

 ジオが金槌を振り上げ渾身の力で床に打ち付けた。衝撃と共に風圧で黒い敵たちが倒れる。

「ジオ! 家が壊れちゃうよ!」

「大丈夫だ! うちは武器屋だが防御をおろそかにしたりしない!」

 ジオがもう一度金槌を振り下ろすと、起き上がろうとした敵がもう一度折り重なる。

 そこにすかさずジオは金槌を振り上げ、敵を壁側へと弾き飛ばした。

「ロンズ鉱石か!」

 腰を低く保ったまま、ジオの方へと近く。

 ジオの攻撃によってめくれた上がった床板の下が光を反射する。

「何それ!?」

「盾とかの防具に使われる鉱石! 床の下にはシールドが敷かれてるんだ!」

 爆風と轟音に耐えながら、少しずつ前に進む。腕にはスノウを抱いたままだ。

 先ほどからのジオの攻撃のおかげで、黒装束の数は減ってきていたが、残った敵は多少の知恵があるのか、ジオとの距離を一定に保つように動いている。

「あいつら、俺の攻撃が当たらないところにいやがる。ちょこざいな」

 ジオの隣に立つと、ジオの頬を大粒の汗が流れ落ちているのが見えた。

 ジオの金槌は、威力と範囲の広さはあるが、繊細さと持久力に欠けるようだ。エアは、剣を背負うと、あたりを見回して短剣を拾い上げる。

「エア! 剣ならここにある! 私、戦えるよ!」

 スノウの声を無視して、エアは走り出す。その途中で、ポケットから出した冷却筒の冷気の出る部分を短剣で叩き割った。リミッターを解除してボタンを押す。

 黒装束たちが近づいてきたエアの背中に手を伸ばす。エアは素早く短剣の切っ先を浮かび上がっている板の隙間に差し込むと、てこの原理を利用しつつ力一杯引き剥がした。木屑が方々に散る。その木屑が床に落ちるよりも早く冷却器を床に当てると、その場を走り抜けながら叫ぶ。

「ジオ! このあたりを力一杯打ち付けて!」

 疑問を持っている暇はない。ジオは雄叫びをあげて突進しながら、大きく飛び上がった。振り上げた金槌はスローモーションのように天井とエアの頭をすれすれにすり抜けて、床を打ち付けた。

 建物が震えるほどの衝撃と共に、床の板が打ち砕かれ跳ね上がる。黒装束たちは学習したのか腰を低くして衝撃を耐える。そのまま、走り出すエアの背中を追いかけて――。

 転んだ。

 床板の剥がれたシールドの上で立ち上がろうとしては氷の上を滑るかのようにすっ転んでいる。

「エア、今度は何をやったの?」

 背中越しにスノウが問いかける。

「ロンズ鉱石は強度だけじゃなくて熱伝導性も高いんだ。だからこんな冷却器でもリミッターさえ解除すればあそこ一帯を凍らせられる」

「助かった。あのままあいつらは、まとめて滑らせておけばいいな。残りの伸びている奴を縛っておこう」

 ジオが倒れている黒装束に近く。ジオの手が伸びるその瞬間、黒い服の中で何かがきらめくのが見えた。

「ジオ!」

 エアが黒装束に体当たりをしてもつれ合う。黒装束は短剣を振り上げ、エアの顔めがけて振り下ろす。

「ダメエエエエエエー!」

 ――その刹那、緑の光があたりを覆った。

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