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御近所のドラゴン一家  作者: さゆき
9/19

その個体(ペット)は飼い主が存在(い)るか?

はい、やっとドラゴン一人(一頭?)登場です。

ドラゴンを数える時の単位って何でしょうね?


 東門へ向かうと、ちょうど街壁上の通路を一回りして戻って来たマリウスが降りて来るところだった。


「アレスさん、後片付け終わったんですか?」


 常に笑顔を絶やさない中性的な顔を柔らかい栗毛が取り囲み、軍人のドレイクより頭半分程背が高いが、手足が長く身体の線はヒョロリと細長い。

 神竜王の末子、上位竜族のメイバーこと、火竜亭のマリウスは、好戦的で獰猛なドラゴンには珍しくおっとりした性格の、のんき者だ。


「ああ、お前が街門を開けるのを、手伝ってくれたおかげでな。」

 このモヤシな体形で一人で巻き上げ機を操作していたら、目立ってしょうがない。

「お役に立てて良かったです。」

 嫌味をぶつけてやるが、コイツはとにかく天然と言うか、受け答えの間合いがおかしい。

「褒めてねえよ、何やってんだよ、人前で人間離れしたことをするな、お客さん(馬鹿貴族)も来てたんだぞ」

 実際にはリドル卿(馬鹿貴族)程度にどうこうされる程柔ではないがな。


 叱っても、気を遣ってくれてありがとうございますとか、素で発言するボケた奴だが、言うべきことは言わなくては、コイツの他の兄達は気性が荒い、リドル卿が一家に辿り付けなかったのは幸いだった。


「いやぁ、ダナディがお仕事の邪魔をしちゃいましたし。」

 職務だから騎士団の総員配置はともかく、市内の商人達は大混乱だったな。


「そう言えば、お嬢ちゃんが横取りなんて珍しいな?できれば監視塔が気付く前に、持ってってくれれば尚良かったんだが。」


 ワイバーンは亜竜、甲殻竜や飛竜は下位竜と呼ばれて上位竜の眷属と呼ばれているが、人間達に狩られても彼ら神竜は特に怒らないし、奪い返したりもしない、例えて言えば人間に対する類人猿のようなものだからだ。

 それなのに今回に限って倒される前に連れ去った、おそらく生け捕りで。


「ダナディが、住処(すみか)から引きはがされて、自分の意志でエスタルに来た訳でも無いのに、殺されるのは可哀相だって言うんですよ。」


 じゃあ何故あの魔獣はエスタルに来たのか。

 もっと強い生き物に追われて来たか?

 無理矢理連れて来られたにしても、傷が無かったから抵抗はしていないだろう。


「自分の意志じゃなくても、その後こっち(エスタル)に突っ込んで来られたらお相手しない訳には行かないんだがな。どうして魔獣は人間を見ると攻撃して来るんだ?」

 ほうり込んで来た奴に操られていたのか?魔獣の軍事利用なんて聞いた事も無い。

「野生動物には縄張りってものがありますから、生きる為の新たな縄張りの獲得を目指すのと、人間の集団が自分が暮らして行く上で、危険だと本能的に判断するから襲って来るんですよ。」

 実際魔獣にとって人間は危険な生き物だよな、あんな大型魔獣素材の山だ。



「それにしてもな、アレ元はどっから来た?少なくとも国内は勿論国境を接している三ヶ国にも棲息してないよな。」

「甲殻竜の棲息地は西の砂漠ですね。」



 ガイス大陸は東西に細長い、いびつな菱形をしている。

 フェバード王国はその南端中央に位置しており、南側は海に、北側の弧を描く長い国境線を、東からメルダ、カンガル、サヌワークの三ヶ国と接している。

 つまり王都寄りのエスタル市から、国境を越え更にサヌワークを飛び越えた、その向こうから、あの何10トンあるかわからない巨大な生き物がやって来た訳だ、途中誰にも目撃すらされずに。

 不自然極まりないだろう。



「あの魔獣、傷が無いから抵抗らしい抵抗をしていないだろう?どうやって運んで来たんだ?あのデカブツを、しかも王都では無くこのエスタルに。」

 軍事的な目的なら、王都にほうり込んだ方が、効果が高い。

「運搬手段は転移魔法ですから、当事者によれば相手に攻撃する間も無かったそうです、まあ、嫌がらせですよね。」

 当事者って、嫌がらせって、いやそれより。


「やっぱり魔族か?この距離とあの重量だから人間はもちろんエルフでも無理だよな、まったく下らない事に、どんだけ無駄な魔力を消費(つかっ)てやがる。」

「街に被害が出たら、義姉さん(ねえさん)なら気に病むどころか、痕跡を追って武器を片手に飛び出して行きますよねぇ、嫌がらせになんかなりませんよ。」

 うん、まあ、あの人ならな。



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