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御近所のドラゴン一家  作者: さゆき
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10/19

元の場所に帰し……ては困る。

なんと、二日連続の投稿になりました。

やっとヒロイン登場です。


でもこのヒロインは恋愛要素は有りません、それは既に登場している隠れヒロインの担当です。

 最近どうもエスタル市周辺はきな臭い、郊外の村々を襲う傭兵団崩れの野盗、水源地の森林火災、そのせいで迂回を余儀なくされた巡礼団の護衛と、何かと騎士団を外に引っ張り出す事件が多い。


 今回の魔獣騒動に限って言えば、火竜亭一家のお姫様を喜ばせたようだが。


 火竜亭に着くと(くだん)のお嬢さま、ダナディア嬢は革製のボールを膝の上に抱えて、半ベソをかいていた、

「お母様が、この子をうちの子にするのはいけませんって……」

 母親にダメ出しされたらしい。


 見た目は四歳児、実際成人(成竜)年齢の五分の一の幼女、白銀の髪に黄金の瞳、なんともキラキラしい。

 ウルウルの涙目には、ご近所のお年寄り連中だったなら一撃で撃墜されるだろう。

 現に隣には、なぜかガーナード家のコディ嬢がいて、彼女を慰めている。


 だが、ドレイクは敢えて同情しない、既に飼ってるペットが47匹、そのほとんどは災害級以上の大型魔獣、大半は玄孫(やしゃご)にデロ甘い高祖父の隠居所で飼育されているが限度ってものがある。さすがに女将(おかみ)さんじゃなくたって、拾ったのが子猫でも世の母親なら言うだろう。


元の場所(拾ったところ)に返して来なさい」と。


 だからといってエスタル市の門前に戻されたら困るんだが。


 閑話休題(それは、さて置き)


 店はなぜか臨時休業で、店主と女将さんがいなかった。

「マリウス、オヤジさん達は?」

 聞きたくないが、一応聞いた。

「出かけました、義姉さん(ねえさん)ペットが増えた一件(魔獣を送り込んだ)について相手(魔族)に文句を言いに行くと言って、愛用の品(聖槍)を抱えて。」

 魔道具に残されていた伝言を確認したらしく、マリウスがため息をついた。


 確かに、壁の装飾になっていた4メル(4メートル)程の一見実用的じゃない(実は非常識な)槍が無くなっている。

 そうか、もう居場所を突き止めたのか、今頃オヤジさん(火竜王)女将さん(聖竜騎士)の二人は魔大陸だな、まあ相手(魔族)は自業自得だしな。

 報告書は、表用と裏用の二部作成か。


 きつく丸まったアルマジロ風の生き物は、言うまでも無く今日エスタル市に襲来した災害級魔獣である

 周囲をウロウロと犬っぽい生き物が匂いを嗅ぎ回り、天井近くの棚の上で新入りが気に入らない猫っぽい生き物が拗ねている。

 次元魔法で縮小されて、コディ嬢が抱える家猫サイズの白い小飛竜(伝書竜)の『白雪姫』と同じ位の大きさにされている。

「コイツ何か抱えてないか?」

 真ん中の隙間に石のようなものが見える

「卵ですよ、今さっき産んだんです。」

 そうか拾ったのは、実は2匹か。50匹の大台は目の前だな。





 この子はとにかく、それはもうイロイロと前科がある。

 自身がドラゴン(最強生物)のくせに、テイマーを極めてどうする気なのか?


 隣国メルダ、コパ火山の麓のキニアス砦に、岩石火トカゲが頭を突っ込み、騎士団が討伐しようとした途端に消失、その後三日後に火山に戻っていたという事件が起きた。


 岩石火トカゲは、大きさは甲殻竜よりは一回り小さいが、常に全身から高温の火炎を吹き出している、まさに“魔”獣と呼ぶに相応しい不思議(ファンタジー)生物だ。

 冷えた溶岩を食べて、下からせりあがって来るマグマを減圧し、結果として噴火を防ぐので地元では火山の守り神と呼ばれている。


 当然、それを連れ去ったのはダナディア嬢だ。

 暖炉か店のオーブンの中で飼うつもりだった(……)らしいが、サイズだけ縮小したって、鍛冶屋もガラス職人も持て余す火力はそのままだから、『火事になったらご近所の迷惑』と叱られたらしい。

 むしろ、よく三日も粘ったもんだ。




 鋼針魔獣(シャイターム)が育児放棄?をしているので、幼体を保護しに行きたいと言い出した事もある。


 シャイタームは、一言で言えばサイズのおかしいヤマアラシで、魔獣らしくその針を飛ばして攻撃して来る。

 多産な魔獣で育児中に次の子を産むので、複数いる子供の中で一匹だけ冷遇しているように見えても、実は巣離れを促して厳しくしているのか、本当に育児放棄しているのかが傍目には解らない。

 もし親離れを促して厳しくしているだけなら、母親はまだ育児中だ、そこを連れて来たなら、こちらは保護したつもりでも親にとって(野生動物)は誘拐だ、怒り狂って大変な事になる。



 折りよく部下のハーデイが、寮暮らしのくせに子猫を4匹も拾ってきたので、離乳食までの世話を『ディーナちゃんに全力でお願いしろ』と命令した。

 時間稼ぎが功を奏して、彼女は3時間毎の授乳に追われ、親に養って貰えない子は無事独立した。


 子猫達はその後、図書館と騎士団の資料室に一匹づつ、残り二匹は納税用の穀物倉庫にネズミ捕りの任務で就職した。







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