溶ける?
次の日。
まだグレイス様は出かけているというので、私は言われた通りに本を読んでいた。
「キュ」
キュアーが起きて、私の肩に乗った。
私はキュアーの頭を撫でた。
「キューちゃん、私は本を読んでるから、大人しくしててね」
「キュ」
キュアーは分かったというように返事をする。
「キューちゃん、いい子だね〜」
「キュ」
キュアーが頭を擦りつけてくる。
私は片手でキュアーを撫でながら、本を読んでいた。
しばらく経つと、キュアーが頭をぐりぐりと頬に押しつけてきた。
「なに? キューちゃん」
「キュウ〜」
キュアーが不満そうに鳴く。
私に構ってほしいと言っているようだ。
私は本を読むのを止めてキュアーの身体を撫でた。
そうしているうちに、昨日のように心を読むのを試してみようと思いついた。
「キューちゃん、キューちゃんの心を読むの、試してみるからね」
「キュ?」
私はキュアーを両手の上に乗せて、その黄色い瞳を見ながら呼吸を合わせるようにした。
お互いをじっと見ながら、静かに呼吸を繰り返す。
キュアーの瞳が「なに?」と言うように見ている。
しばらくすると、意識がぼんやりしてきて、溶けていくような感じがした。
そして自分という意識がなくなって、ただお互いに見つめ合っていた。




