リンジー?
私はグレイス様に、キュアーの観察記録を提出した。
「キュアーの様子に変化はなさそうだな」
記録を見ながらグレイス様が言った。
「キュアーの気持ちを読み取るのは問題ないし、他の竜でも試してみるか」
グレイス様がそう言って、私たちは竜舎へと向かった。
竜舎に着くと、グレイス様は一番端の竜の所に行った。
「この竜の名は、リンジーだ」
赤い鱗の竜がキュルルと鳴いた。
「初めまして、リンジー」
私が挨拶すると、再びリンジーがキュルルと鳴いた。
グレイス様に、リンジーの心を読みとってみろと言われて、私は目の前の竜の瞳をじっと見つめた。
黄色い瞳が興味深そうに見つめている。
リンジーは、私のことが知りたいようだ。
それから、何か食べたそうに思えた。
それをグレイス様に言ってみると、彼はリンジーに「何か食べたいのか?」と訊いた。
リンジーはキュルルと嬉しそうに鳴いた。
グレイス様はポケットから何か取り出してリンジーに与えた。
それを私が見ていると、キコルの実だと説明してくれた。
キコルの実は村では高級品だ。王都ではそうでもないのだろうか。
それに、グレイス様のポケットから木の実が出てきたことにも驚いた。
(お姉ちゃんみたいだ……)
姉がよく、ポケットから出した木の実をキュアーにあげていたのを思い出して、懐かしくなった。
私が姉を思い出してしんみりしていると、リンジーが「キュルル」と鳴いて鼻を近付けてきた。
私の服の匂いを嗅いでいる。そして不満そうに「キュルル」と鳴いた。
私も食べ物を持っていると思ったのかもしれない。グレイス様から貰っただけでは足りなかったようだ。
私はそれもグレイス様に言った。
グレイス様はリンジーから期待の目で見られて、仕方なさそうにため息を吐いた。
「これだけだぞ」
そう言って、もう一つポケットからキコルの実を取り出した。




