不満?
「まだ王都で暮らすと決まったわけじゃないよ」
ライドさんにそう言われて、少しだけホッとした。
けれど“まだ”ということは、そうなるかもしれないということだろう。
とにかく今回は一度行って帰ってくるというので、先の不安については考えないことにした。
王都までは、ラファンに乗せてもらった。
初めて乗る竜の背中はとても大きかったし、ライドさんに支えてもらっていたけど、空中で落ちたりしないかとても不安だった。
キュアーはバスケットに入れて連れてきたけど、空を飛んでる最中は、自分も飛びたいのか、出してと言うように何度も鳴いていた。
しかし、ここで出して、迷子になってしまっては大変だ。
私はバスケットの蓋をしっかり押さえて、キュアーに言い聞かせた。
「キューちゃん、着いたら出してあげるから、しばらくの間我慢しててね」
「キュウ〜」
キュアーは不満そうだが、出すわけにはいかない。
「ごめんね、キューちゃん。我慢してね」
「キュゥ〜」
何度も言い聞かせると、諦めたのか寝てしまったのか、鳴かなくなった。
(ごめんね、キューちゃん、大人しく寝ててね)
キュアーのためにも、早く王都に着いてほしいと思った。




