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グレイス様?
翌日。セイジさんの家に行くと、ターナさんが出迎えてくれた。
「竜騎士さんたちなら、出かけてるわよ」
グレイスたちは、今日も森に調べに行ったらしい。
私はセイジさんに用があると言って、中に入れてもらった。
セイジさんは竜術士について詳しく知っていた。さすがセイジさんだ。
「竜術士は、竜の力を借りて、術式を完成させることができるんだよ」
術式というのは、転送獣に付けるリボンに編み込むって言ってたやつだ。
「竜術士はどうやって、竜の力を借りるんですか?」
私にもできるのだろうか。
「心を重ねて、力を借りると聞いたけど……詳しいことはグレイス様に訊いてみるといいよ」
「……様を付けて呼ばないといけないんですか?」
「グレイス様は、とても偉い人だからね」
じゃあ、失礼なことを言わないように気をつけないと。
私は、心の中でも“グレイス様”と呼ぶことにした。
「ライドさんも、ライド様って呼んだほうがいいですか?」
「ライドは“さん”付けでいいよ」
セイジさんはそう言って笑った。




