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開放の時

「驚いていないようだな。我々の要件も知っているのか?」

「もちろん、分かっているよ。大精霊はこの中だ。扉には鍵はかかってないから。」


 エルフの人たちはこちらを怪訝そうに見ている。まあ、罠かなって思うよね。


「言っておくけど、罠はないよ。僕はここの維持管理を任された技術者。防衛は僕の担当じゃない。」

「……どうだかな。大精霊様を幽閉する愚かな人間め、そこをどけ。」


 ずいぶんな怒気を放っている。幽閉と言われるとまあそうなんだけど、こちらにも言い分がある。


「幽閉はその通りだけど、それは大精霊が望んだことだよ。怒る気持ちも分からないではないけど。」

「嘘をつけ!クズ人間共が!」


 信じないか。仕方のないことだとは思うけどね。彼らの信仰する大精霊が、自らを幽閉するなんてありえないって考えるよね。


 彼らが近づいてくる。僕は扉の前から立ち退いて、部屋の隅へと移動した。


「最後にひとつだけ。そこを開けた結果について、その責任はすべて君たちに背負ってもらうから。」

「はあ?そんなものは当たり前だろう。大精霊様をお助けすること、それ全て我らの責において行うことは当然だ。」


 ドヤ顔、嘲りを含んだ口調で返答してきた。そこまで言うなら、どうぞどうぞ。

 ドアの取っ手に手をかけ、ゆっくりと開いていく。中に居たのはもちろん大精霊。男にも女にも見えるその顔には、開放された喜びなど当然ながら浮かんではいない。その代わりに、終わってしまった悲しみが浮かんでいた。


「大精霊様!!」

「ああ、開いてしまったのか……。」


 その声は弱々しく、そして悲しげだった。

 そして最後にこうつぶやいた。


「子供達よ、どうか、強く生きなさい……!」


 つらそうな笑顔を見せると、大精霊は大気に溶けるように消えた。

 エルフたちは呆然としている。突然、一人がこちらに向かって弓を放った。

 僕の目の前で弓が弾かれる。この事あるを予想して、当然手は打ってあるとも。


「貴様!大精霊様をどこへ隠した!」

「まて、矢が弾かれた。奴は魔法を使えるのか!?」


 もちろん、そんな訳はないですよ。

 僕は隠していたものを取り出した。それは、神器である盾、そのレプリカだ。


「何!?神器だと!」

「その通り。貴方がたの攻撃は無意味だから、今すぐ無駄はやめたほうが賢明だよ。」


 彼らは動揺している。神器を使える人間なんて今まで居なかったから仕方ないね。トリックだと言い張るかと思ったけど、矢を弾いたことは彼らにとっては神器を使えることの大きな証明になるらしい。

 彼らのリーダーが気を取り直して聞いてきた。


「大精霊様をどこへ隠した!」


 僕の答えはただひとつだ。


「僕は隠していない。あれは神が行ったことだ。」


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