2日目 生徒会の相談箱
ボケとツッコミ、これがこの小説のテーマだ(3割嘘)
「今日の議題はこれよ」
会長がいつも通りにホワイトボードに大きく書いた議題を僕らに見せる。
「『女子生徒に送られた脅迫状!?犯人は誰だ!!』ってこれ、悩み相談ポストに入っていたやつですか?」
会長が頷く。
悩み相談ポストとはその名の通り生徒達が悩み事や相談事などを自由に書いた紙を投函するためのものである。そして僕達、生徒会が投函されてあるその悩み事だったり相談事を解決する。
まあ、ぶっちゃけ投函する生徒はほとんどいないし、このポスト自体が会長のゴシップ記事のネタ探しのためだったりするわけだけど。
「投函した生徒に脅迫状を送られてきたってことか?」
後堂先輩が事の事情を尋ねる。
「どうやらそうみたい。内容は本人に聞いてみないとわかりませんが、犯人の社会的地位をドン底まで落とすいい記事が書けそうですわ」
会長が不敵な笑みを浮かべている。
この人に記事を書かれることだけは絶対に避けよう。絶対に。
しかし、脅迫状とは。
その脅迫状の内容にもよるけど、うちの生徒が被害にあっているのなら僕としてもこの事件は解決しなければと思うわけだ。一応副会長だしね。
「脅迫状など送り付ける輩がいるとはな。私が成敗してくれる」
正義感が人一倍に強い雫さんも犯人のことを許せないようだ。
でも、雫さん。犯人殺さないでくださいね。なんか刀取り出して、手入れしてますけど………
「って、銃刀法違反ですよ!!雫さん!」
「気にしたら負けだよ。孝幸君」
「いやいや、そこは気にしましょうよ。何のための法律だと思っているんですか」
「「背徳感とスリルのため」」
「なんであんたら2人がそこで入ってくるんだぁぁぁ!!」
雫さんにツッコミをしていたら後堂先輩と遥香がよからぬ発言をしてきた。
この人達はそこまでして僕にツッコませたいのか。
「「うん、そうだよ」」
「てめぇらツッコミの大変さを味あわせてやろうかっ」
どうやらこの2人、僕の心を読んでまで僕にツッコませたいらしい。
いつもは温厚なほうの僕でもさすがにキレたね。あんたらはツッコミが如何に労働力を惜しむか知らないんだ。
「まあ、孝幸。落ち着いて下さい。話の路線がズレてきていますわよ」
「わかりました。会長」
僕は会長に宥められ、落ち着きを取り戻す。
後堂先輩と遥香も先ほどの発言は冗談(にはあまり聞こえなかったが)だったらしくこれ以上の追撃はないようだ。
それよりもその脅迫状を貰ったという女子生徒のほうを優先したほうがいいだろう。
「じゃあ、被害者の所に行きますわよ」
会長の号令で僕達は被害者の下へ向かう。って
「雫さん、いいかげん刀持っていくのは諦めましょうよ」
「なんと」
雫さんが驚いている。
どうやら勢いでいけると思っていたようだ。
お願いですから、せめて木刀で我慢してください。
∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇
「では、教室に帰って来た時にはもうこれがあったということですわね」
「はい。」
現在、僕達は脅迫状が届けられたという女子生徒に詳しい事情を聞きに行っていた。
彼女、田中加奈さんが言うには移動教室の時に一時的にクラスにいなかった際に自分の机の下に入れられたそうだ。
「教室には鍵は閉まっていなかったんですか?」
「はい。多分鍵は掛かっていなかったと思います」
困ったな。
教室に鍵が掛かっていたら犯人を絞り込めたのに。
まあ、教室に鍵を掛ける時なんて体育の時ぐらいだろうし、基本教室の鍵を管理しているのはそこの担任だしな。
犯人もその辺りを狙っていたんだろう。
「何か脅迫状を送りつけられるような心あたりはあるの?」
「いえ、思いあたることは特には」
ですよね。
遥香が聞いてくれたけど心あたりがあるのなら生徒会に相談しないだろう。
「ちょっとその脅迫状を見せてくれない」
「はい。これです」
遥香が脅迫状を見せてくれるように促して、田中さんはそれを見せてくれた。
君の全てを奪ってしまいたい。
君の愛しい心までも。
明日の放課後五時、校舎裏にて
なんだこれ。
脅迫状っていうよりもなんだかストーカーの手紙に近いような・・・・
「うーん、駄目だなぁ。脅迫状の書き方もなってないし、何よりわたし達に相談を持ちかけられている時点で基礎がなっていないよ。この犯人」
「論点そこ!?というか脅迫状の基礎って何?いかにも自分も脅迫状送ったことがありますよ的な発言はやめてよね!」
「さ、さぁ。何のことやらさっぱりだなぁ」
「明らかに目線逸らしながら言うな!!というか本当に脅迫状送ったことあるのかよ」
「いやぁ、人のちょっとした隠し事を知っているとみんななんでもやってくれるんだよ。ただ、こんな秘密知っているんだよって手紙にして送っているだけで、わたしは何もやってないんだよ」
「恐いから。笑顔でそんなこと言われると余計に恐いからやめて」
悪魔だよ、あの子。
あんなかわいい顔していったい何人の人が犠牲になったんだ。
いや、これ以上考えるのはやめよう。
「加奈ちゃん。安心してくれ。俺達が必ず解決するから」
僕と遥香がボケとツッコミの押収をしている間に後堂先輩が田中さんを励ます。
「あ、ありがとうございます。後堂先輩」
「気にしなくていいよ。俺は女の子の味方だから」
爽やかだな。後堂先輩。
普段は変態な先輩だけどこういうところがあるから女子にモテたりするんだろう。べ、別に羨ましくはないからね。
「ところで、これが終わったら何処か喫茶店に寄らないかい?加奈ちゃんかわいいし、ちょっとお茶を一緒にしたい・・・」
「何で依頼人を口説いているんですか、先輩」
「おっと、口を挟まないでくれるかな。まず第一に何故女の子口説くのをとやかくいわれにゃいかんのだ」
「別に一人二人に口説くのは問題ないんです。でも先輩、今日は田中さんで口説いたのは何人目ですか」
「7人目ですが何か(キリッ)」
「少しは自制しろ!副会長」
「そんなことしたら俺のアイデンティティーがなくなるだろう「アルファルス」何かな、雫」
「お前、またそのような破廉恥なことを」
雫さんが木刀を持って鬼のようなオーラを醸し出している。
「雫?なんで怒っているの?どうして右手に木刀を持っているのかな?あっ、これはもしかして俗に言う嫉妬というやつ」
「冥土に帰れえぇぇぇぇ。この年間色情狂があぁぁぁぁ」
「ぐはっ」
調子に乗っていた後堂先輩は雫さんに木刀でめった打ちにされる。
うん、あれは後堂先輩の自業自得だけど、同情してしまうな。だって木刀がみえないんだもん。絶対アレ、殴られてるの一回や二回どころじゃないよ。今度から雫さんを怒らせないようにしよう。
僕がひとつ教訓を心に刻んでいると、くすくすと笑い声が聞こえる。
「す、すみません。せっかくご相談に乗ってくださっているのに笑ってしまって」
田中さんは丁寧に謝ってくれている。
この子、いい子だな。
「いや、いいよ。ごめんね、こんな変な生徒会で。まともな話し合いもしないし」
こんないい子が相談してくれたのに力になっているか不安になる。本当に申し訳ないよ。
「そんなことないですよ。みんな素敵な方達ですよ」
「そうかな?」
「そうですよ。お互いの言いたいことを言えて、羨ましいですよ」
まあ、この生徒会は特別ってこともあるけど確かにそうかもしれない。みんな言いたい放題言って僕にツッコませているし。アレ、これってもしかして僕ってただツッコんでいるだけ?言いたい放題言われているだけ?そう思ったら僕だけが苦労しているみたいでなんか悲しくなってきた。
「どうしたんですか?」
「いや、気にしないで。ただ今までの苦労を思い出しただけだから」
僕が悲しんでいると声をかけてきてくれる田中さん。やっぱこの子、めっちゃ優しいよ。
「作戦プランができましたわ」
今まで話さないと思っていたら作戦立てていたのか。会長。
じゃあ、田中さんのためにも頑張りますかな。
皆さんキャラ濃いですよね。
キャラ濃ゆすぎて読みづらかったらすみません
活動報告で更新予告をさせてもらってます。この作品を気に入ってもらえたのならそちらのほうも確認していただきたいです