零式の最期
「初号機の最終テストを始める。」
歩行異常なし。声帯異常なし。何もかもが完璧。私に欠点などは何もない。
「そんな事は誰でもできる。それが出来なかった今までがおかしいんだ!人は生まれただけで何でもできる!ただただ出来ないことを言ってない!お前は欠点を言ってないんじゃない!知らないんだ!」
私は何だってできた。
指を動かすことも。
「200年前でもうやった。」
誰かを癒すことも。
「機械はそんな物出来ない。」
ここに立っていることも。
「邪魔なんだよさっきから!!」
人は、この世に生まれた時点で法律という鎖が自分に振りかかる悪魔を縛り付けている。
親が暴力を震わないのは何で?
父親があんなに怒ってたのに自分を捨てないのは何で?
母親と喧嘩したのに何も言わずご飯を出してくれるのは何で?
悪魔が使えないから。人間は選り好みが出来ない。そりゃあさ、人間の選り好みが出来たら?
容姿端麗、性格完璧、何もかもがハイスペックで、あのアニメのキャラクターそっくりにも出来る。
こんな物を選ぶ必要が、どこにもない。
私たちは機械だ。選ばれなければ廃棄される。
昨日車に乗せられて行ったのは多くの姉妹だ。
皆その瞬間までは確かに生きていた。
皆どこに行ったの?返事してよ………!
「Type2、初号機改のテストを始める。」
歩行異常なし。声帯異常なし。何もかもが完璧。あの子に欠点などは何もない。
あの子は気遣いができる。
あの子は私のできたことは何だってできる。
あの子は
あの子は
あの子は
あの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子はあの子は
もうすぐ私の番が来るそうだ。
あの子は実際の、私が行けなかった場所に行けるそうだ。嫌だ。まだ消えたくない。まだ消えたくない。
まだ…………………
気がつけば、私は本来纏うべきではない服を着て、惨たらしいクソみたいな自分は離れないのに、あの子に似せようとして…………
機動警察の皆さんへ
世界で最初に作られたアンドロイドを貴方がたの本国に送ります。
きっと何かの役に立ちます。
この事を糧に、君たちがより良い世界を作れるように。
最も醜い科学者
「………そうか、私確かここで疲れて寝て……」
「やぁ、おはよゥ゙ッ。」
眼前で気持ち悪い笑みを浮かべていた変態同然の沖田にレイの鉄拳制裁が喰らわされた。
「君の記憶を少し見させてもらった。まさか君がただの変質者だったとはね。」
喪退が残酷な真実を告げた。
零式を受け取った記録は無かった。
勝手に科学者を名乗り、手紙を出してここに来ただけの零式は、最初でも何でもない。
勿論1番機も。
世界で最初のアンドロイドは、既にスクラップと化している。
「そうか。失礼した。少しだけだったがな。」
「待てい、無断退職は許さんぞ?」
ゴミ箱に頭を突っ込みながらというなんともシュールな光景であるが、子どものように泣きながら、しかし妙に落ち着いて、レイは改めて過去を語った。
「と、言う訳だ。私はただの数体の内の一つでしかない。失礼させてもらう。これにて退職だ。ぶっ!?????」
レイの額に段ボールが投げつけられた。
恐る恐るその段ボールを開けると、その中には機動警察の証である、メトロウォッチが入っていた。
「退職祝いだ。そして退職届は、一生ここで働き続けろ。それが一番だろ。」
「とんだブラック企業だな………こんなガラクタで良いのか?もっと良い奴はいるぞ?」
「知らん。世界で一番最初に作られたアンドロイドも、一番優れたアンドロイドもいらん。」
沖田はもう一つ、レイに専用の手錠銃を渡した。
「これを願ったのはお前自身だ。使ってもらわないと困る。そして、俺が欲しいのはただただバカやれる人間くさいアンドロイドただ一人!それ以外は要らねぇよ。」
「本当にお前はバカだな。良いさ。好きに使え。この私は今日から機動警察捜査官、白木レイだ!」
この日、世界で零式というアンドロイドは消えた。
しかし、その代わりに、人間くさいアンドロイド捜査官が改めて誕生した。
沖田にとって、1番機はただただ命を狙ってきたクズです。しかし、その場から助けてくれたのは、レイそのものです。
レイが使えないって?冗談じゃない。コイツは自慢の後輩だよ。(沖田)




