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十万円の城 ――練馬の家賃20万円夫婦が、長野に非常口を買った春――

✦十万円の城


――練馬の家賃20万円夫婦が、

 長野に非常口を買った春――


(ほんまに怖い時代いうんは、

 食料がなくなった日から

 始まるんやない。


 食料を置く場所がないと

 気づいた日から

 始まるんじゃ)


………


東京には、

便利があった。


コンビニもあった。

駅もあった。

病院もあった。


スマホの中には、

まだ何でもあった。


けれど、

ひろしとさおりの

練馬区のマンションには、

水を置く床がなかった。


家賃、月20万円。

さおりの年収、600万円。

ひろし、40歳。

就職活動中。


数字だけ見れば、

まだ生活は崩れていない。


けれど、

水2リットル6本入りの箱を

3箱置いただけで、

廊下はもう狭くなった。


その時、

ひろしは思った。


「東京の家は、

 暮らすには便利じゃ。


 でも、

 生き残るには

 狭すぎる…」


………


★目次


■第一章

 練馬区、家賃20万円の箱


■第二章

 水の箱が、廊下をふさいだ


■第三章

 冷凍食品の棚は、

 丁寧な紙で痩せていた


■第四章

 欧州の空から、

 夏休みが消えた


■第五章

 空き家900万戸という、

 日本の裏在庫


■第六章

 長野県、10万円の古民家


■第七章

 さおりは言った


 「住めない家

  じゃないの?」


■第八章

 ひろしは言った


 「誰が住め言うた。

  まず置くんじゃ」


■第九章

 クロネ◯が運んだ、

 東京に置けなかった不安


■第十章

 井戸は、

 古い設備ではなく

 命綱だった


■第十一章

 納屋に並んだ米と缶詰


■第十二章

 ソーラーカメラと、

 見せない備蓄


■第十三章

 長野の草刈りは、

 都会の会議より

 厳しかった


■第十四章

 さおりが初めて、

 この家を

 「うち」と呼んだ日


■第十五章

 東京に住み、

 長野で生き残る


❥Z世代のあなたへ

 ――非常口は、

  バズらない場所にある


★あとがき

 ホームズとワトソンの、

 やすきよ漫才風締め


………


■第一章

 練馬区、家賃20万円の箱


練馬区のマンションは、

駅から歩いて十二分だった。


築浅ではない。

けれど、汚くもない。


エレベーターはある。

宅配ボックスもある。

コンビニは近い。

スーパーも近い。

ドラッグストアもある。


東京で暮らすには、

悪くない部屋だった。


ただし、

家賃は月20万円。


さおりの年収は600万円。

ゲーム翻訳の仕事で、

在宅勤務も多い。


夫のひろしは40歳。

前の会社で心を削られ、

今は就職活動中だった。


数字だけなら、

まだ破綻ではない。


年収600万円。

家賃240万円。


手取りから家賃を払うと、

それだけで胸が少し狭くなる。


電気代。

通信費。

食費。

保険。

交通費。

税金。

医療費。

日用品。


そして、

ひろしの就職活動にかかる

見えない不安。


さおりは、

家計簿アプリを見ながら

よくため息をついた。


「600万って、

 もっと楽だと思ってた」


ひろしは、

返す言葉がなかった。


彼は弱い男だった。


いや、

本当は弱いのではない。


前の会社で、

毎日少しずつ削られて、

自分の強さがどこにあるのか

分からなくなっていた。


お局さんの声。

会議室の空気。

「普通ここ気づくよね」

という低い言い方。


その声は、

退職したあとも、

耳の奥に残っていた。


ひろしは、

求人票を見るだけで

胸が苦しくなった。


でも、

世界のニュースだけは

見続けていた。


ホルムズ海峡。

ジェット燃料。

欧州の減便。

ナフサ。

軽油。

食品値上げ。

冷凍食品。

ガソリンスタンド。

空き家。


さおりは時々言った。


「ひろしさん、

 ニュース

 見すぎじゃない?」


ひろしは笑った。


「見すぎかもしれん。

 でも、

 今の日本は、

 ニュースより先に

 スーパーの棚に

 出る気がするんだ」


その日の夜、

さおりはネットで

水を注文しようとした。


2リットル6本入り。

1箱12キロ。


防災用に

とりあえず3箱。


合計36キロ。


届いた箱を廊下に置くと、

玄関から洗面所までの通路が

少し狭くなった。


さおりは言った。


「これ以上は無理だね」


ひろしは、

その言葉を

しばらく聞いていた。


これ以上は無理。


たった水3箱で、

東京の暮らしは

そう言った。


ひろしは思った。


東京には、

何でもある。


けれど、

置く場所だけがない。


………


■第二章

 水の箱が、廊下をふさいだ


水は重かった。


2リットルが6本で12キロ。

3箱で36キロ。

10箱なら120キロ。


災害用の備蓄としては、

少しも多くない。


それなのに、

練馬のマンションでは、

3箱で廊下が窮屈になった。


さおりは言った。


「米も買っておきたいけど、

 置く場所ないよ」


ひろしは、

キッチンの棚を開けた。


米5キロ。

乾麺。

缶詰。

レトルトカレー。

味噌。

塩。

砂糖。

乾燥わかめ。

切り干し大根。

トイレットペーパー。

カセットボンベ。


全部を

少しずつ増やしただけで、

収納はすぐ満杯になる。


さおりは苦笑した。


「備蓄って、

 お金より先に

 場所がいるんだね」


ひろしはうなずいた。


「そうなんよ。

 都会は、

 買う場所はあるけど、

 置く場所がない」


さおりは冷蔵庫を開けた。


冷凍室には、

冷凍うどん、

冷凍野菜、

冷凍チャーハン、

アイスが少し。


「冷凍食品なら

 場所を取らずに

 保存できると思ってたけど、

 冷凍室にも限界があるね」


ひろしは言った。


「それに、

 冷凍食品は

 電気が止まったら弱い」


さおりは黙った。


停電。

冷凍室。

食べ物。

東京のマンション。


便利さは、

電気があることを

前提にしていた。


ひろしはノートを開いた。


そこに、

こう書いた。


「都市の弱点。

 水を置けない。

 米を置けない。

 燃料を置けない。

 畑がない。

 井戸がない。

 そして、

 全部を買う前提で

 暮らしている」


さおりは、

その字を見て言った。


「なんか怖いね」


「怖いけど、

 見えたら対策できる」


「どうやって?」


ひろしは

すぐには答えなかった。


代わりに、

スマホで検索した。


空き家。

古民家。

長野県。

100万円以下。

井戸付き。

農地付き。


さおりは笑った。


「まさか、

 家を買うつもり?」


ひろしは

画面を見たまま言った。


「家じゃない」


「じゃあ何?」


「場所」


さおりは、

その時はまだ、

意味が分からなかった。


………


■第三章

 冷凍食品の棚は、

 丁寧な紙で痩せていた


週末、

二人は近所の

スーパーへ行った。


その帰り道、

ひろしは少し離れた

ディスカウント店にも

寄りたいと言った。


「大黒◯物産系の店、

 見ておきたいんだ」


「なんで?」


「安い店の棚は、

 家計の温度計だから」


さおりは、

また始まったと思った。


でも、

ついて行った。


冷凍食品の売り場で、

ひろしは足を止めた。


冷凍ケースの一部が、

ぽっかり空いていた。


そこに白い紙が貼ってあった。


「こちらの商品は

 別の場所へ移動しました。

 棚は空にさせて

 いただきます」


丁寧な文章だった。


謝罪でもない。

欠品とも書いていない。

ただ、

商品を移動したとだけ

書いてある。


さおりは言った。


「棚替えじゃないの?」


ひろしは、

紙をじっと見た。


「棚替えかもしれん。

 でも、

 棚替えにしては

 空き方がきれいすぎる」


「どういうこと?」


「商品数が減った時、

 店は棚を寄せるんよ。

 空白を見せないように

 同じ商品を広げる。

 売れ筋だけ残す。

 種類を減らす」


さおりは、

冷凍ケースを見た。


前より、

同じ商品が

何列も並んでいる気がした。


冷凍チャーハン。

冷凍うどん。

冷凍野菜。

ワンプレート。

唐揚げ。

ハンバーグ。


種類はある。


でも、

どこか薄い。


ひろしは言った。


「食品値上げは、

 平均で一割以上なんて

 言われてる。

 原材料、物流、包装資材、

 エネルギー。

 冷凍食品は、

 全部食らう」


「全部?」


「そう。

 作るにも冷やす。

 運ぶにも冷やす。

 店でも冷やす。

 袋もいる。

 油もいる。

 肉も米も小麦もいる」


さおりは、

冷凍ケースの音を聞いた。


ブーン。


いつも聞き流していた音が、

急に高く聞こえた。


冷凍食品は、

ただの便利商品ではなかった。


電気と軽油と包装と工場が、

一袋の中に

閉じ込められていた。


ひろしは小さく言った。


「棚から消えたのは、

 冷凍食品じゃない」


「何?」


「選ぶ自由だ」


さおりは、

何も言えなかった。


………


■第四章

 欧州の空から、

 夏休みが消えた


その夜、

ひろしはニュースを

読んでいた。


欧州で、

ジェット燃料不足の不安が

広がっているという。


在庫は数週間分。

航空会社は減便。

短距離便が削られる。

夏の旅行シーズンに不安。

チケットは高騰。

一部では、

移動制限の再来という

言葉まで出ていた。


さおりは聞いた。


「ヨーロッパの話でしょ?

 日本に関係あるの?」


ひろしは首を振った。


「ある」


「飛行機に乗らなければ

 関係ないんじゃない?」


「飛行機は、

 人だけを運んでない」


「荷物?」


「そう。

 旅客機の床下には、

 スーツケースだけじゃなくて、

 薬、部品、書類、

 試薬、高級食材、

 機械の補修部品が乗る」


さおりは、

スマホを置いた。


「便が減ると、

 荷物も減るってこと?」


「うん。

 空港の床下貨物が痩せる」


ひろしはノートに書いた。


欧州の空が痩せる。

日本の棚が痩せる。

病院の小箱が遅れる。

工場の部品が遅れる。

契約書が遅れる。

薬が遅れる。


さおりは言った。


「ロックダウンみたいに

 移動しちゃだめって

 言われるのかな」


「たぶん、

 そういう言い方は

 しない」


「じゃあ?」


「運航調整。

 燃料配分。

 旅行計画の柔軟化。

 公共交通の利用。

 不要不急の移動を控える。

 そういう

 柔らかい言葉になる」


「でも、

 飛行機が飛ばなかったら

 同じだよね」


「同じ」


ひろしは、

窓の外を見た。


東京の夜空には、

飛行機の光が一つ見えた。


でもその光が、

遠い海峡の燃料と

つながっていることを、

今まで考えたことが

なかった。


ひろしは言った。


「移動制限は、

 政府の会見で

 始まるんじゃない」


「じゃあ何で始まるの?」


「欠航メールで始まる」


………


■第五章

 空き家900万戸という、

 日本の裏在庫


翌朝、

ひろしは空き家の

数字を調べた。


日本の空き家は約900万戸。

空き家率は13.8%。

過去最高。


さおりは、

その数字を聞いて

目を丸くした。


「900万戸?

 そんなに?」


「うん。

 日本には、

 人が住んでいない家が

 山ほどある」


「でも、

 東京は家賃高いのに」


「そこが変なんよ。

 東京では場所が足りない。

 地方では家が余っている」


さおりは言った。


「じゃあ、

 余ってる家を

 使えばいいのに」


「みんな、

 使い道が分からんのよ」


ひろしは、

空き家バンクのページを

いくつも開いた。


山あいの家。

農地付き。

倉庫付き。

残置物あり。

要改修。

再建築不可。

駅から遠い。

車必須。

雨漏りあり。

井戸あり。


価格は、

100万円以下もある。


中には、

10万円という物件もあった。


さおりは言った。


「10万円って、

 家電より安いじゃない」


「そう。

 でも、

 安いには理由がある」


「怖い?」


「怖い。

 雨漏りもあるかもしれん。

 シロアリもある。

 草刈りもある。

 近所付き合いもいる。

 固定資産税もある。

 登記もいる」


「じゃあダメじゃん」


ひろしは首を振った。


「住む家として見たら

 ダメかもしれん。

 でも、

 備蓄倉庫と

 非常口として見たら、

 話が変わる」


さおりは黙った。


ひろしは続けた。


「都会のトランクルームは、

 月1万円、2万円する。

 でも田舎の古民家は、

 固定資産税が年数千円から

 1万円台のこともある」


「そんなに安いの?」


「物件による。

 でも、

 あり得る」


さおりは、

画面の中の古民家を見た。


古い。

暗い。

草が伸びている。


でも、

土地がある。

納屋がある。

井戸らしきものもある。


さおりは、

ふと思った。


これは家ではない。


東京に

入りきらなかった不安を

置ける場所かもしれない。


………


■第六章

 長野県、10万円の古民家


その物件は、

長野県の山あいにあった。


売買価格、10万円。


土地、約180坪。

母屋あり。

小さな納屋あり。

古い井戸あり。

畑として使えそうな

空き地あり。

最寄り駅から車で25分。

東京から車で約3時間半。


築年数は不明。

雨漏り跡あり。

残置物あり。

現況渡し。


固定資産税は、

年間およそ5000円台。


さおりは、

画面を見たまま言った。


「怪しすぎる」


ひろしは笑った。


「怪しいというより、

 正直なんだと思う」


「正直?」


「これは、

 便利な家ではありません。

 でも、

 場所はあります。

 そう言ってる」


さおりは、

写真を拡大した。


畳は古い。

台所も古い。

風呂は使えるか分からない。

トイレも不安。

壁にはシミ。


でも、

玄関は広い。

土間がある。

納屋がある。

庭がある。

軽トラックなら入れそうな

道もある。


「ここに、

 何を置くの?」


ひろしは答えた。


「水。

 米。

 乾麺。

 缶詰。

 毛布。

 ポータブル電源。

 工具。

 種。

 簡易トイレ。

 トイレットペーパー。

 カセットボンベ」


「住むんじゃなくて?」


「まずは置く」


さおりはため息をついた。


「ひろしさん、

 やっぱり変だよ」


「うん。

 でも、

 変なことを考えないと

 変な時代は越えられん」


その言葉だけは、

さおりの胸に残った。


………


■第七章

 さおりは言った

 「住めない家じゃないの?」


二人は、

現地を見に行った。


長野の山道は、

東京とはまったく違った。


コンビニは少ない。

道は細い。

空気は冷たい。

山の影が早く落ちる。


古民家は、

写真で見るより古かった。


玄関の引き戸は重い。

畳は沈む。

台所は昭和のまま。

風呂は使えるか怪しい。

柱には傷。

天井には雨染み。


さおりは正直に言った。


「住めない家じゃないの?」


ひろしは、

しばらく黙っていた。


そして言った。


「そうかもしれん」


「え?」


「今すぐ住む家ではない」


「じゃあ、

 買う意味あるの?」


ひろしは、

納屋の戸を開けた。


中は広かった。


古い農具。

木箱。

ほこり。

蜘蛛の巣。

でも、空間があった。


東京のマンションでは、

お金を出しても手に入らない

空間だった。


ひろしは言った。


「ここに棚を作る」


「棚?」


「米を置く。

 水を置く。

 缶詰を置く。

 古いものから

 東京に持ち帰る。

 新しいものを

 宅配で送る」


さおりは、

納屋の中を見た。


たしかに、

置ける。


水の箱を20箱置いても、

東京の廊下のようには

ならない。


米30キロを置いても、

生活動線をふさがない。


トイレットペーパーを

何袋置いても、

怒られない。


さおりは言った。


「ここ、

 家というより倉庫だね」


ひろしはうなずいた。


「倉庫で、

 避難所で、

 小さな生活基地」


さおりは、

少しだけ笑った。


「三つも欲張るんだ」


「この時代は、

 欲張らないと負ける」


………


■第八章

 ひろしは言った


 「誰が住め言うた。

  まず置くんじゃ」


帰りの車の中で、

さおりはずっと黙っていた。


東京へ戻る高速道路。

サービスエリアの

ガソリン価格は、

レギュラーが

190円台だった。


ひろしは、

電光掲示板を見て言った。


「補助金があって

 これだからな」


さおりは言った。


「これから

 もっと上がるのかな」


「分からん。

 でも、

 燃料が高い時代は、

 移動そのものが

 高級品になる」


さおりは窓の外を見た。


長野の古民家は、

遠い。


でも、

東京だけにいることも怖い。


「ひろしさん」


「ん?」


「あの家、

 本当に買うの?」


ひろしは

少し迷ってから言った。


「買いたい」


「住めないのに?」


ひろしは、

ハンドルを握りながら言った。


「誰が住め言うた。

 まず置くんじゃ」


さおりは、

思わず笑った。


岡山弁のような、

どこの言葉か分からない

言い方だった。


でも、

不思議と力があった。


ひろしは続けた。


「東京のマンションは、

 今を暮らす場所。

 長野の古民家は、

 もしもの

 未来を置く場所」


さおりは、

その言葉を何度も考えた。


今を暮らす場所。

未来を置く場所。


家は一つでなくてもいい。

役割が違ってもいい。


東京の家は、

収入に近い場所。


長野の家は、

水と土に近い場所。


さおりは初めて、

古民家の写真を

自分のスマホに保存した。


………


■第九章

 クロネ◯が運んだ、

 東京に置けなかった不安


契約は、

思ったより簡単ではなかった。


売買代金10万円。

司法書士費用。

登録免許税。

交通費。

鍵交換。

最低限の火災保険。

残置物整理の道具。


全部合わせると、

30万円では少し足が出た。


けれど、

高級家電を買うよりは安い。


車を買うより安い。

海外旅行より安い。

東京の家賃2か月分より安い。


さおりは言った。


「家賃1か月分で、

 もう一つの場所を買った

 みたいな感じだね」


ひろしはうなずいた。


「そう。

 家じゃなくて、

 選択肢を買った」


最初に届いた荷物は、

米だった。


5キロ袋を4つ。

合計20キロ。


次に、

水2リットル6本入りを5箱。

合計60キロ。


それから、

乾麺。

缶詰。

味噌。

塩。

砂糖。

乾燥わかめ。

トイレットペーパー。

簡易トイレ。

防湿剤。

ネズミ対策用品。


送り先は、

長野の古民家。


宅配業者には、

玄関横の鍵付き屋外収納に

入れてもらうようにした。


週末、

二人は車で長野へ向かった。


玄関横には、

段ボールが積まれていた。


さおりは、

それを見て言った。


「すごいね。

 東京に置けなかったものが、

 ここに来てる」


ひろしは、

段ボールを一つ持ち上げた。


「東京に置けなかったのは、

 物だけじゃない」


「何?」


「不安」


さおりは黙った。


二人は、

段ボールを納屋へ運んだ。


棚を作り、

日付を書き、

古いものを手前に置き、

新しいものを奥に置いた。


さおりは、

缶詰を並べながら言った。


「なんか、

 心が落ち着くね」


ひろしは答えた。


「不安は、

 頭の中に置くと重い。

 棚に置くと、

 少し軽くなる」


………


■第十章

 井戸は、

 古い設備ではなく

命綱だった


古民家の庭には、

古い井戸があった。


ふたを開けると、

暗い水面が見えた。


さおりは怖がった。


「これ、

 飲めるの?」


ひろしは言った。


「分からん。

 水質検査がいる。

 飲み水に使えなくても、

 トイレや洗い物には

 使えるかもしれん」


井戸ポンプを調べると、

電動ポンプの交換は

10万から20万円程度。

手押しポンプを足すなら、

さらに数万円。

水質検査も必要。


家は10万円だったのに、

井戸を使えるようにする方が

高くつくかもしれない。


さおりは言った。


「家より井戸の方が高いね」


ひろしは笑った。


「これからは、

 家の値段より

 水が出るかどうかだよ」


その言葉は、

冗談に聞こえなかった。


東京の水道は、

蛇口をひねれば出る。


でも、

その水は

見えない巨大な仕組みの

最後に出ている。


ダム。

浄水場。

ポンプ。

管路。

電力。

薬品。

人の管理。


どこかが止まれば、

蛇口はただの金属になる。


井戸は古い。

面倒。

不安。


でも、

自分の土地の下にある水に

手を伸ばせる。


さおりは、

井戸のふたをもう一度見た。


それはもう、

古い穴には見えなかった。


命綱に見えた。


ひろしはノートに書いた。


水道はサービス。

井戸は可能性。


………


■第十一章

 納屋に並んだ米と缶詰


納屋には、

少しずつ棚が増えた。


最初は3段。

次に5段。

最後には壁一面。


米。

乾麺。

缶詰。

味噌。

塩。

砂糖。

高野豆腐。

切り干し大根。

乾燥わかめ。

野菜ジュース。

コーヒー。

チョコレート。

飴。


さおりは、

賞味期限を

ノートに書いた。


2027年。

2028年。

2029年。


ひろしは言った。


「缶詰は、

 魚を閉じ込めた

 ものじゃない」


「また始まった」


「時間を

 閉じ込めたものだ」


さおりは笑った。


「詩人か」


「いや、備蓄係」


二人は、

古くなりそうな缶詰を

東京に持ち帰った。


新しい缶詰を

また長野へ送った。


ローリングストック。


東京のキッチンではなく、

長野の納屋を使った

ローリングストック。


さおりは気づいた。


備蓄は、

買って終わりではない。


回すもの。

食べるもの。

入れ替えるもの。

管理するもの。


つまり、

備蓄は生活の一部だった。


納屋の片隅には、

小さな箱が置かれた。


固定種の種。

大豆。

小豆。

かぼちゃ。

大根。

にんじん。


ひろしは言った。


「食べたら減る備蓄と、

 育てたら増える

 備蓄がある」


さおりは、

種の袋を見た。


小さな袋だった。


けれど、

缶詰より

未来に近い気がした。


ひろしは言った。


「缶詰は時間を保存する。

 種は未来を保存する」


さおりは、

今度は笑わなかった。


………


■第十二章

 ソーラーカメラと、

 見せない備蓄


古民家は、

無人の時間が長い。


それが弱点だった。


ひろしは、

ソーラー式の防犯カメラを

二台買った。


玄関。

納屋の入口。


人感センサーライトも付けた。

補助錠も付けた。

防犯砂利も少し敷いた。


全部で約5万円。


さおりは言った。


「家より、

 防犯の方が高くない?」


ひろしは答えた。


「この家で守るのは、

 家そのものじゃない」


「何を守るの?」


「米と水と、

 ここまで考えた自分たち」


さおりは、

その言葉を聞いて

少し黙った。


ひろしは、

SNSに写真を上げようとして、

やめた。


外観。

山の形。

近くの看板。

車のナンバー。


場所が分かるものは危ない。


さおりも言った。


「これ、

 自慢しない方がいいね」


「うん。

 ノウハウは共有しても、

 場所は隠す」


これが、

令和のサバイバーの

礼儀だった。


映える暮らしではない。

バズる暮らしでもない。


むしろ、

目立たない方が強い。


納屋の米は、

写真に撮らない。


井戸の場所も、

地図に載せない。


備蓄は、

見せた瞬間に

請求書になる。


ひろしはノートに書いた。


これからの防犯は、

財産を守ることではない。

生き残る前提を守ることだ。


………


■第十三章

 長野の草刈りは、

 都会の会議より厳しかった


六月になると、

草が伸びた。


信じられない速さだった。


二週間前に刈ったはずの庭が、

もう緑で埋まっていた。


さおりは、

虫よけスプレーを持って

立ち尽くした。


「田舎って、

 こんなに草が強いの?」


ひろしは、

草刈り機を見ながら言った。


「会議より厳しい」


「何が?」


「言い訳が効かない」


草は、

こちらの都合を聞かない。


忙しい。

疲れた。

メンタルが不安。

東京から遠い。

ガソリン代が高い。


そんな事情は関係ない。


伸びる。


ひたすら伸びる。


ひろしは、

汗だくになって草を刈った。


前の会社では、

会議室で黙っていた。


何を言っても

否定される気がして、

心が縮んだ。


でも草は違った。


刈れば、

その分だけ減る。


目に見えて、

前に進む。


さおりは、

汗だくのひろしを見て

言った。


「なんか、

 顔が生きてる」


ひろしは笑った。


「草刈りで?」


「うん。

 東京で求人票

 見てる時より、

 ずっと生きてる」


ひろしは、

草刈り機を止めた。


長野の空は広かった。


東京のマンションでは、

不安は頭の中で増えた。


長野では、

不安は草になって伸びた。


そして、

草なら刈れる。


ひろしは思った。


自分には、

会議より草の方が

向いているのかもしれない。


それは敗北ではなかった。


自分の体が、

もう一度

世界とつながる感覚だった。


………


■第十四章

 さおりが初めて、

 この家を

 「うち」と呼んだ日


七月のある日、

東京で配送遅延が増えた。


日用品は届く。

でも遅い。


浄水器のフィルターは

入荷未定。

いつもの冷凍野菜は品切れ。

航空便の影響で、

海外製のサプリも遅れた。


さおりは、

もう驚かなかった。


その週末、

二人は長野へ向かった。


納屋には、

米があった。

缶詰があった。

乾麺があった。

水があった。

簡易トイレがあった。

毛布があった。

ポータブル電源があった。


それは、

豊かさではなかった。


けれど、

焦らなくていい理由だった。


さおりは、

納屋の棚を見ながら言った。


「うち、

 思ったよりあるね」


ひろしは振り返った。


「今、何て言った?」


「え?」


「うち、って言った」


さおりは、

少し恥ずかしそうに笑った。


「言った?」


「言った」


さおりは、

古い柱に手を当てた。


最初は、

住めない家だと思っていた。


怖い家。

古い家。

汚い家。

面倒な家。


でも今は違う。


ここには、

自分たちの不安が

整理されて置かれている。


ここには、

東京では持てなかった

余白がある。


ここには、

未来を少し待てるだけの

棚がある。


さおりは言った。


「東京の家は、

 暮らす場所。

 ここは、

 落ち着く場所かもしれない」


ひろしはうなずいた。


「逃げる場所じゃなくて?」


さおりは少し考えた。


「うん。

 逃げる場所じゃない。

 慌てないための場所」


その言葉は、

ひろしの胸に深く残った。


………


■第十五章

 東京に住み、

 長野で生き残る


ひろしとさおりは、

すぐに東京を

捨てたわけではない。


練馬区のマンションには、

仕事があった。

病院があった。

友人がいた。

電車があった。

便利があった。


でも、

東京だけに命を預けるのを

やめた。


東京に住む。

長野に備える。


東京で稼ぐ。

長野に置く。


東京で情報を見る。

長野で水と土を見る。


それは、

移住ではなかった。


別荘でもなかった。


令和の個人

サプライチェーンだった。


二人は、

毎月少しずつ

長野へ荷物を送った。


1万円分の備蓄。

5000円分の防災用品。

古くなったものは

東京へ持ち帰る。

新しいものは長野へ送る。


古民家の納屋は、

少しずつ整っていった。


棚。

ラベル。

日付。

湿気対策。

防虫対策。

水の箱。

米の袋。

缶詰の列。

種の箱。


ひろしは、

ノートの最後に書いた。


日本は、

すぐには壊れない。


けれど、

すぐには届かない国になる。


その時、

生き残るのは、

一番お金を持った人とは

限らない。


一番早く、

考え方を広げた人だ。


都会で

「備蓄できない」

と嘆く人と、


田舎に

備蓄できる場所を作る人。


危機は、

その差を静かに広げていく。


さおりは、

そのノートを読んで言った。


「この家、

 安かったけど、

 安い買い物じゃ

 なかったね」


ひろしは笑った。


「どういう意味?」


「私たち、

 家を

 買ったんじゃないんだ

 と思う」


「じゃあ何を買った?」


さおりは、

納屋の棚を見た。


米。

水。

缶詰。

種。

工具。

毛布。

ポータブル電源。


そして、

古い井戸。


「考え方」


ひろしは黙った。


さおりは続けた。


「生き残る考え方を

 買ったんだと思う」


その日の夕方、

長野の空は

東京より少し早く暗くなった。


でも怖くはなかった。


玄関には

ソーラーライトが灯った。

納屋には米があった。

井戸には水があった。

畑には小さな芽が出ていた。


東京の便利さは、

少しずつ

痩せていくかもしれない。


けれど、

二人の暮らしには、

細いけれど確かな根が

生え始めていた。


十万円の城


それは、

豪華な家ではなかった。


雨漏りもある。

草も伸びる。

虫も出る。

遠い。

面倒。

不便。


それでも、

ひろしとさおりには

分かった。


便利な家より、

止まりにくい家の方が、

これからの時代には

強いかもしれない。


東京に住み、

長野で生き残る。


それが、

二人の新しい暮らしだった。


………


❥Z世代のあなたへ

 ――非常口は、

  バズらない場所にある


ここまで

読んでくれてありがとう。


この話は、

暗い危機の話に

見えたかもしれない。


でも本当は、

希望の話でもある。


物価が上がる。

家賃が高い。

給料は増えない。

航空便は減る。

ガソリンは高い。

スーパーの棚は少し痩せる。

明日届くものが、

明日届かなくなる。


そんな時代に、

多くの人はこう言う。


「無理」

「お金がない」

「都会だから備蓄できない」

「国が何とかしてくれ」

「自分には関係ない」


でも、

ひろしとさおりは、

少しだけ違う考え方をした。


備蓄する場所がないなら、

場所を探す。


高い家は買えなくても、

安い古民家なら

探せるかもしれない。


全部は自給できなくても、

米と水だけなら

置けるかもしれない。


毎日住めなくても、

週末に整理することは

できるかもしれない。


一人では無理でも、

夫婦なら

できるかもしれない。


不安は、

頭の中に置くと重い。


でも、

棚に置くと少し軽くなる。


これからの時代、

本当に大事なのは、

年収だけではない。


どこに水を置けるか。

どこに米を置けるか。

どこに逃げ込めるか。

誰と助け合えるか。

何を自分で直せるか。

どう考え方を広げられるか。


便利な時代は、

考えなくても生きられた。


でも、

不便な時代は、

考える人を強くする。


非常口は、

バズらない場所にある。


それは、

駅前のタワマンではなく、

山あいの

古い納屋かもしれない。


それは、

高級ブランドではなく、

5キロの米袋かもしれない。


それは、

最新アプリではなく、

古い井戸かもしれない。


そして、

それはたぶん、

あなたの頭の

柔らかさの中にある。


………


★あとがき

 ホームズとワトソンの、

 やすきよ漫才風締め


✲ホームズ


どうもこんばんは。

ホルムズ海峡を調べすぎて、

ついに空き家バンクまで

国際情勢に見えてきた男、

ホームズです。


✲ワトソン


病気や!

空き家バンクは空き家バンクや!

そこにイランも欧州航空危機も

おらん!


✲ホームズ


甘いな、ワトソン君。

欧州の飛行機が減れば、

薬も部品も遅れる。

冷凍食品の棚が痩せる。

ガソリンが高くなる。

すると人は思う。


「水と米をどこに置く?」


その答えが、

長野の十万円古民家なのだ。


✲ワトソン


話が飛びすぎや!

飛行機は減便しとるのに、

お前の論理だけ

国際線なみに飛ぶな!


✲ホームズ


いや、むしろ陸路だ。

東京から長野へ、

備蓄を運ぶ物語だ。


✲ワトソン


地味やな!

でも妙にリアルやな!


✲ホームズ


今回の主人公、

ひろし君とさおりさん。

練馬区で家賃20万円。

年収600万円。

数字だけ見れば悪くない。


✲ワトソン


でも家賃だけで

年240万円。

東京怖いな!


✲ホームズ


そこへ

水2リットル

6本入りが届く。

1箱12キロ。

3箱で36キロ。

廊下がふさがる。


✲ワトソン


水で廊下が

渋滞するんかい!


✲ホームズ


その瞬間、

ひろし君は気づく。


東京には便利がある。

しかし余白がない。


✲ワトソン


名言っぽいな。

でも確かに、

ワンルームに

備蓄はきついわ。


✲ホームズ


そこで出てくるのが、

十万円の古民家だ。


✲ワトソン


いや、普通そこで

古民家買わんやろ!


✲ホームズ


普通ではない。

しかし危機の時代に

普通だけで生きるのは

危ない。


✲ワトソン


出た!

サバイバー説教モード!


✲ホームズ


聞きたまえ。

都会で

「備蓄できない」と嘆く者。

田舎に

備蓄できる場所を買う者。


この差が、

次の時代の差になる。


✲ワトソン


でも十万円の家って、

住めんやろ?


✲ホームズ


誰が住めと言った。


✲ワトソン


お?


✲ホームズ


まず置くのだ。


✲ワトソン


出た!

ひろし名言! 


「誰が住め言うた。

 まず置くんじゃ」


✲ホームズ


米を置く。

水を置く。

缶詰を置く。

種を置く。

ポータブル電源を置く。

不安を置く。


✲ワトソン


最後だけ急に詩的やな!


✲ホームズ


不安は頭に置くと重い。

棚に置くと少し軽い。


✲ワトソン


それはええ言葉や。

でも虫とかネズミとか

湿気とかあるやろ。


✲ホームズ


その通り。

だから防湿剤、棚、

防犯カメラ、

ソーラーライト、補助錠、

そして草刈りがいる。


✲ワトソン


結局めんどくさいやん!


✲ホームズ


生きるというのは

本来めんどくさいものだ。

便利すぎたから、

我々はそれを忘れていた。


✲ワトソン


急に哲学者みたいに

なりよったな。


✲ホームズ


ワトソン君、

現代の城とは何か分かるか?


✲ワトソン


そりゃ

高いマンションとか?


✲ホームズ


違う。

米があり、

水があり、

井戸があり、

納屋があり、

ソーラーカメラがあり、

誰にも場所を自慢しない

古民家だ。


✲ワトソン


映えへん城やな!


✲ホームズ


映えないから強いのだ。


✲ワトソン


SNS時代に

一番逆張りやな。


✲ホームズ


本当の非常口は、

バズらない場所にある。


✲ワトソン


それ、

Z世代にも刺さりそうやな。


✲ホームズ


さらに今回の発見は、

個人サプライチェーンだ。


✲ワトソン


なんやそれ。

また難しい言葉を出して。


✲ホームズ


簡単に言えば、

自分専用の

小さな物流基地だ。


東京で注文する。

長野へ届く。

週末に整理する。

古いものを

東京で食べる。

新しいものを

長野へ送る。


✲ワトソン


ああ、なるほど。

自分だけの

スーパーの裏倉庫を

田舎に作るわけか。


✲ホームズ


そうだ。

スーパーの棚を

信じすぎない。

政府の発表を

待ちすぎない。

自分の棚を作る。


✲ワトソン


なんか、ええな。

金持ちの別荘じゃなくて、

普通の夫婦の知恵って

感じやな。


✲ホームズ


そこが大事だ。

この話の光は、

大金ではない。


✲ワトソン


じゃあ何や?


✲ホームズ


発想の柔らかさだ。


✲ワトソン


おお。


✲ホームズ


家賃20万円の練馬で

「置けない」と泣くか。


十万円の長野で

「置ける場所」を作るか。


その違いだ。


✲ワトソン


でも古民家は草も伸びるし、

虫も出るし、

雨漏りもあるで。


✲ホームズ


もちろんだ。

だからこれは

夢物語ではない。

努力もいる。

草刈りもいる。

近所付き合いもいる。

体力もいる。


✲ワトソン


そこがリアルやな。


✲ホームズ


だが、

何もせずにぼやくよりは、

一本の草を刈る方が

前に進む。


✲ワトソン


ええ締めに入っとるな。


✲ホームズ


最後に、ひろし君は

こう言った。


✲ワトソン


何て?


✲ホームズ


「十万円の家は、

 住むためではなかった。

 生き残る考え方を

 置くためにあった」


✲ワトソン


泣かせるやん。


✲ホームズ


そして、

さおりさんはこう言った。


✲ワトソン


何て?


✲ホームズ


「東京の家は暮らす場所。

 長野の家は、

 慌てないための場所」


✲ワトソン


あかん。

ちょっと涙出るわ。


✲ホームズ


泣きたまえ。

ただし、

涙は2リットル6本入りで

備蓄しておくように。


✲ワトソン


水の備蓄に

涙を混ぜるな!


✲ホームズ


ワトソン君、

これからの時代、

大事なのは

華やかな成功だけではない。


✲ワトソン


うん。


✲ホームズ


水を置ける場所。

米を置ける棚。

逃げ込める古い家。

一緒に考えてくれる人。


✲ワトソン


それが、

十万円の城か。


✲ホームズ


その通り。


✲ワトソン


でもホームズ、

最後に一つだけ

聞いてええか?


✲ホームズ


何だね。


✲ワトソン


その長野の古民家、

トイレは流れるんか?


✲ホームズ


……。


✲ワトソン


急に黙るな!


✲ホームズ


ワトソン君。


✲ワトソン


何や。


✲ホームズ


次回作は、

浄化槽編だ。


✲ワトソン


やっぱり最後は

うん●に戻るんかい!


        完

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