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魔法
灰森の竜巣、深層。
イグレインは拘束されていた。
蛇種の拘束は巧妙で、魔力の流れだけを封じる。痛みはない。辱めもない。ただ、奪われている。
対面に立つのは、ダンジョンコア。
幼い少女の姿。だが瞳は冷たい。
『あなたは、魔法を理解している』
イグレインは笑う。
「理解などしておらぬ。」
『言い方を変える。あなたは“体系化”している』
静かな対話が始まる。
拷問ではない。論理。
イグレインは抗う。だが言葉を交わすたびに、自身の理論が解析され、翻訳され、分解され、再構築されていく。
詠唱短縮理論。
属性固定。
魔力循環効率。
空間固定式。
コアはそれを理解する。
そしてダンジョン全体へ“共有”する。
影沼粘体が闇の属性を安定させる。
菌糸種が胞子爆裂式を得る。
蛇種が重力拘束を覚える。
灰殻騎士改が骨装結界を張る。
イグレインは気づく。
「……完成している?」
魔物は、魔法を“理解”した。
その瞬間、彼の魂が揺れる。
裏切らない。主を裏切らない。
だが――
人類が勝つ可能性は、、、
彼は選べない。
だから、堕ちる。
骨が軋み、肉が削げ、眼窩に蒼い光が灯る。
イグレインはスケルトンへと変わる。
それでもなお、忠誠は人類に向いている。
灰殻騎士はスケルトンが本体ではなく菌糸が本体です。なので何度でも復活します。




