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灰森の巣竜  作者: AI太郎
世界侵食
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紫晶黒鉱兵

黒鉱兵の振り下ろした巨大な戦斧を、レグナートが一歩踏み込みながら剣で受け流し、衝突の瞬間に軌道を逸らすことで直撃を回避する。


逸らされた一撃は背後の石壁を抉り取り、砕けた城壁が爆ぜるように崩壊しながら瓦礫の雨を降らせた。


「重い……いや、違う、質量そのものが異常だ」

「ただの鎧じゃないな、まあ見たらわかるけど...」


次の瞬間、黒鉱兵の足元から黒い装甲片が浮き上がり、空中で再構築されたそれが槍の形へ変質すると同時に一斉に射出される。


放たれた結晶槍は空気を裂きながら直線ではなく軌道を歪ませて迫り、回避行動を取った後衛すら巻き込むように襲いかかった。


「散開!!」

「いや、追尾してる!」


ルクスが魔力を展開して空間を押し返すように障壁を張ると、結晶槍はその表面で砕けながらも衝撃を叩き込み、床石が割れながら隊列が崩れる。


その隙を突くように黒鉱兵が踏み込み、その巨体ではありえない速度で距離を詰めながら生成した槍を横薙ぎに振り抜いた。


ガレスが滑り込むように前へ出て斬撃を叩き込むが刃は紫晶装甲に弾かれ、その反動ごと吹き飛ばされて地面を転がる。追撃の踏み込みが迫る中、ドゥーガが盾を構えて正面に割り込み、その衝突で地面が陥没しながらも辛うじて進行を止める。


「止める……ッ、が、長くは持たねえ!」

「分かってる!」


レグナートが踏み込み、黒鉱兵の膝関節へと角度をつけた斬撃を叩き込むことで重心を崩そうとする。

しかし刃が触れた瞬間、装甲が流動するように再構築され、斬撃は深く入る前に弾き返されて火花だけを散らした。


「再生じゃない、“組み替えてる”!」

「核を叩かない限り意味がない!」


次の瞬間、黒鉱兵の胸部で紫晶が脈動し、周囲の瓦礫と武器が引き寄せられるように浮かび上がる。

それらが一瞬で融合し、巨大な戦斧へと再構築されたそれが振り上げられた。


「来るぞ……!」

「全員、退け!!」


振り下ろされた戦斧が地面へ叩きつけられた瞬間、衝撃波が円状に広がりながら床と壁を同時に破壊し、建物そのものが軋みながら崩壊を始める。


吹き飛ばされた冒険者達が瓦礫に叩きつけられる中、レグナートだけが踏み止まり、衝撃の中心へと逆に踏み込んだ。


「――ここだ」


振り抜かれた剣が黒鉱兵の胸部へ到達し、紫晶の中心を捉えた一撃が初めて装甲を貫き、その奥の核へと届く。

直後、黒鉱兵の全身が一瞬だけ硬直し、紫晶の輝きが乱れながら空間に亀裂のような歪みを生じさせた。


「通った……!」

「いや、まだ動くぞ!!」


次の瞬間、黒鉱兵の全身装甲が強制的に再構築され、傷口ごと閉じるように紫晶が増殖しながら爆発的な魔力を放出する。

その反動で周囲の瓦礫が弾き飛ばされ、接近していたレグナートも後方へ押し返される。


黒鉱兵は一歩後退した。

しかしそれは崩れたのではなく、あくまで“距離を取った”だけだった。


「……撤退行動?」

「あれは――」


黒鉱兵の身体が崩れるように分解され、紫晶と金属片が城の奥へと引き戻されていく。

残されたのは破壊された戦場と、朽ちた武器、そしてわずかに抉れた核の痕跡だけだった。


「逃げた……のか?」

「そうだとしたら厄介すぎるぞ...」


レグナートが剣を下ろしながら、崩壊しかけた城を見上げる。


「……今回はこれ以上は追わない」

「全員、生きて戻る。それが最優先だからな。」

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