2話目
まったり更新です。次話は書き上がり次第更新します。
穏やかな波の音が聞こえる。
手に当たる感触、これは…砂だろうか。
ゆっくりと目を開けるととても綺麗な空が目に入った。
「綺麗…。」
「そうでしょう?この景色は国の中でも一番綺麗なの。」
突然聞こえた声に驚いて起き上がると隣に美しい女性がいる。
「えっと…どちら様で…。」
「あら、私を知らない方がいるなんて。私はアビスリア国第二王女のユリエルよ。あなたのお名前も聞いていいかしら。」
「…るい、です。」
アビスリア国、王女、聞き馴染みのない言葉に異世界に転移できたことを確信する。
「ここはアビスリア国というところなのですね。そしてあなたは第二王女様。」
「そう。散歩していたらあなたが倒れていたのよ。私の力じゃ運べないし、隣で見守っていたの。」
「…ありがとうございます。」
辺りを見渡すも兄がいない。転移しても一緒に来るというわけではないようだ。
まずは兄と合流するのが先決か。
「おね…、兄を探したいのですが。」
「兄?お兄様と一緒だったの?」
「えっと、こちらに来る際にはぐれてしまったようで…。」
転移、と素直に話しても信じてもらえるかどうかわからない。
はぐれたということにしておいた方が話を進めやすいだろう。
「あの、ユリエル王女。この国で目印になるようなものはありませんか。兄もきっとそこに来ると思うんです。」
昔、姉とゲーム内で目印になるようなところでまずは合流という決まりがあった。
今となっては有難い決まりだ。
姉もとい兄が覚えているといいのだけれど。
「この国で目印になりそうな場所?うーん、そうねぇ…あ、私のお城はどうかしら。」
「お城…?」
「そうね、それがいいわ。さっそく行きましょう。こうして出会えたのもきっと何かの運命だわ!一緒にお茶でも飲みながら話しましょう。」
突然の王女からの申し出に困惑したが、きらきらと少女のように目を輝かせている王女に手を引かれては、ただ付いていくしかなかった。
「ここが私のお城よ。」
「わ…。」
砂浜を抜け、庭園のような豪華な花畑を抜け、目の前に現れたのは大きく立派な昔絵本で見たそのものの城だ。
「本物…。」
「そんなに驚いてくれて嬉しいわ。あ、ジョセ!お茶にするから準備をしてくれるかしら。」
王女にジョセと呼ばれこちらに来た人は執事なのだろう。
整った空気を纏い、惚れ惚れするほどカッコ良い。
一度は本物の執事を見てみたいと思っていたが、こんな所で叶うとは素直に嬉しいことだ。
「好きに見ていいのよ?私がいればお城のどこへだって行けるわよ。」
王女の欲をくすぐる言葉にぜひと言いそうになったが、今は兄のことが先なのでぐっとこらえジョセさんの到着を待った。
「さて、用意もできたことだしお茶にしましょう。」
「は、はい。」
目の前には白いクロスが掛かったテーブル、白い椅子、綺麗な花、誰もが子供の頃に絵本で見ていた世界そのものだ。
少し圧倒されながらも席に着き、お茶を頂くことにした。
「まずは、うーん…これは私の勘になってしまうのだけれど、あなたはここの王国の人ではないのではないかしら。」
「え…。」
ピタリと当てられたことに驚きを隠せなくなりつつも王女の言葉に耳を傾ける。
「まず、私のことを知らなかったわ。それに…今までは信じていなかったけれど、お父様も異世界から来た人間なんだって昔から言っていたのよ。もしかしたらあなたも、と思って。」
「お父様が転移者?」
王が転移者かもしれないということに驚いたが、私の考えそのものの言葉が後ろから聞こえてきたことにもっと驚いた。
「えっ?」
「きゃっ。」
一瞬固まりかけたが王女の悲鳴に身体が反応して王女を庇う体勢をとる。
「誰だっ。」
振り返るとそこにはゆるやかなクセのかかった髪の背の高い男が立っていた。
「お、驚かせてごめん。私だ、るい。」
初めて会ったであろうこの男が何故名前を知っているのか。
「何故名前を…?」
「何故ってそりゃるいの兄ちゃんだからだろ。」
話し方や兄という言葉を聞き、疑念が確信に変わっていく。
「お姉…お兄ちゃん…?」
確信しようと一歩近づいたところでくぐもった鈍い音が聞こえた。
「危ねっ。」
「ジョセ!」
王女の悲鳴を聞き駆けつけたのか、ジョセさんが兄に殴りかかり兄がそれを防いだ音だった。
「ちょ、ジョセさん待ってください!その人、私の兄です!」
王女もジョセさんを止め、無事に落ち着くことができた。
「先程はジョセがごめんなさい。私を守るのが役目だから悪気はないの。許してあげてくれるかしら。」
「大丈夫ですよ。私が急に声をかけたのが悪いので。」
王女が兄に謝ると、ジョセさんも頭を下げた。
「それで、あなたがるいのお兄様なのね…?」
「そうですね。るいなら私との決まり事を覚えていると思ったので、目印になるであろうこの城に来させてもらいました。」
ふわりと微笑みながら話す兄に今までの姉とは違う雰囲気に違和感を感じつつも兄と会えたことに安堵した。
「まぁとりあえず無事で良かったよ、るい。」
「うん、そうだね。お互いにね。」
お互いの無事を確認しユリエルが第二王女様だということを話していると、王女が口を開いた。
「無事、出会えて良かったわね。それでだけど、先程話していた続きをいいかしら。」
「王女様のお父様が転移者かもしれないということですね。」
「そう。昔から口癖のようにお父様が言っていたのよ。私には異世界というものが何なのか全く分からなかったけれど、あなた達が話せばわかるかもしれないわ。」
真剣な表情で話す王女に私も兄も見惚れていたが、王女の言葉に疑問が生じた。
「ん…?お父様と私達が話す…?」
「そうよ。直接話した方が早いじゃないかしらと思うのだけれど。」
「そんなに気軽に王と話せるものなのですか…?」
私の見ていたアニメでは王と会うなど一大イベントだ。そう易々と会えないのが普通だろう。
この世界では気軽に会えるものなのだろうか。
ふふっと王女が笑い、話し始めた。
「あなた達運がいいのよ。私のお父様、この国の王は毎日民と話す時間を設けているの。もう少ししたら始まるから向かいましょう。」
急な展開に戸惑う私達を尻目に王女は微笑みながら私達の手を取り歩いていく。
「王女様、ま、待ってください。どこへ向かうのですか?」
「決まってるじゃない。王の間よ!」
「「お、王の間!?」」
王の間こそ気軽に入ることのできない場所なのでは…と思いつつも王女に手を引かれながら、私たちは王の間へと向かった。
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読んでくださりありがとうございます。誤字脱字ありましたら、教えていただけると助かります。
暖かい目で見てください。主、豆腐メンタルです…。




