~平賀源内・便利屋~
~平賀源内・便利屋~
俺たち三人はアトランティスへと戻り、次の冒険の準備をしていた。
「あー北斎さん、回復薬を仕入れに行くでござるが、一緒に行きますか?」
「あー、あのマズイ薬か! 行くぜ行くぜ。おもしれぇことがありそうだ。」
「武士さんも行くでござるか?」
「某、刀の修理があるゆえ行けぬ。」
♢♢♢♢♢
しっかし、不思議な町だねぇ。
獣耳の町人が歩き回り、見たこともねぇ生き物が荷を運んでいる。
忍者に案内され、冒険者ギルド近くの石畳を歩く。
石造りの店が並ぶ中、一軒だけ妙な店があった。
洋風の建物の入口に揺れる、一枚ののれん。
【平賀源内・便利屋】
「平賀源内……?」
「源内先生かーー!!」
「生きてやがったのか!」
「北斎さん、ご存知だったんですね。
源内さんは薬学にも詳しく、今はエルフから回復薬を仕入れているでござるよ。」
「知ってるも何も。
俺ぁガキん頃から源内先生の名ぁ聞いて育ったんだぜ!」
「うるせぇな!俺の店の前で騒いでるのは!?」
のれんをくぐり、奥から一人の男が姿を現した。
「おー、忍者か!仕入れか!?隣のヤツは初めて見る顔だな。」
「あっしは葛飾北斎、絵師です。源内先生。」
「俺のこと先生って……。おめぇも江戸っ子かい?」
「ちょうどよかった。おめぇ絵師なんだろ?」
「おう。」
源内は棚から分厚い本を取り出した。
ページをめくると、一枚の写真が貼られている。
「このサーペントを描いてくれ。」
「へぇ。構わねぇぜ。サーペント?蛇だな。」
さらさらさらさら……
モノの数分。
俺は蛇の絵を描きあげた。
「どうでぇ?!源内先生。
生きてるみてぇだろ?」
「腕は確かだな。」
少し絵を眺める。
「……だが、駄目だ。」
「これじゃ売れねぇ。」
(売れねぇだと?)
「いやな。サーペント肉が売れなくてよぉ。
おめぇには看板を描いて欲しいんだよ。」
「なんでぇ!看板なら看板と最初に言いやがれ!」
「いやぁ!おめぇの絵力、試しただけだ。」
「これでも俺ぁ!江戸ではそこそこ売れてたんだぜ!」
「見ればわかる。おめぇ、判じ絵って知ってるかい?」
「おおっ、判じ絵か!俺もよく描いてたぜ。うなぎの看板なんか、何枚描いたことか。」
「……あっ!」
「源内先生だったなぁ!うなぎ流行らせやがったのは!お陰で仕事ぁ途切れやしなかったぜ!」
「北斎!おめぇ俺の仕事手伝ってくれねぇか?」
「仕事?」
「一緒に来い。説明しながら案内してやる。」
「ぁあ?先生も強引だねぇ!」
忍者くん?は先に帰ったみたいだし。俺と源内先生とで向かうか。
困ってるヤツぁほっとけねぇよなぁ。
【平賀源内】
江戸時代中期に活躍した発明家・本草学者・戯作者です。
「土用の丑の日にうなぎを食べる」という宣伝を考案した人物としても広く知られています。
本作では、多彩な才能を持つ平賀源内を、アトランティスで便利屋を営む人物として描きました。




