~葛飾北斎の異世界チート伝説①百鬼夜行~
「初めまして!本作は、とある異世界を舞台にした葛飾北斎の物語です。本編『~プラトンよ!君は正しかった! ~49日間のアトランティス生活~』と同じ世界観ですが、時代が全く異なり、本作単体で100%楽しめる独立したストーリーになっています。お気軽に楽しんでいってください!」
真っ白な世界に、一つの声が響く。
「お前は死んだ。これから、転生・消滅・この世界への永住の三つから、今後の生き方を選んでもらう。」
俺ぁ死んだのか……齢八十八。大往生じゃねぇか。
……いや。
俺ぁ、まだ描いていてぇ!
「そうか! ならば北斎、お前に転生チートを授けよう。」
ちーと? よく分からねぇが、描き続けられるってことか?
「全盛期の肉体。そして、描いた物を実体化させる力じゃ。」
ん? よく分からねぇが……面白そうじゃねぇか!
数日後。
冒険者ギルドで紹介されたのは、同じ転生者だという二人。
少し前にこの世界へ転生してきた、武士と忍者だった。
【第479世界・モンスタラ】
……ここが異世界か?
見上げるほど高い木々が空を覆い、見たこともねぇ草花が風に揺れている。
鳥の声は聞こえるが、その姿はどこにも見当たらねぇ。
「……こりゃあ、描きがいがありそうじゃねぇか。」
「北斎さん、ここはオーガがたくさんいるらしいですよ。」
「オーガって?」
「鬼ですね。」
「ちと、ちーと能力ってぇのを試して見ていいかい?」
「では結界貼りますね。」
忍者はそういうと魔道具ってのを起動した。
「これで、敵から見えてませんよ。」
……百鬼見参……
さらさらさらさら
おぉ。中々いい出来じゃねぇか。
実体化?どうすりゃいいんだ?
俺がそう思った瞬間。
ぞろぞろぞろぞろ
着衣鬼、念仏鬼、小鬼、大鬼。
どどどどどどどど
絵から抜け出した鬼たちが、オーガの群れへ一斉に襲いかかる。
「某の出番は無さそうだな。」
武士は刀を鞘へ戻した。
「拙者もでござる。」
忍者は結界の維持だけに集中している。
オーガが消え去った後も北斎は描き続けていた。
さらさらさらさらさらさらさらさらさらさらさらさらさらさらさらさら
「異世界の森に百鬼夜行か……中々いい一枚じゃねぇか。」
【葛飾北斎】
江戸時代後期を代表する浮世絵師であり、稀代の天才絵師として知られています。
風景画や美人画、妖怪画など幅広い題材を描き、独創的な表現で日本美術に大きな足跡を残しました。
【百鬼夜行】
百鬼夜行とは、日本に古くから伝わる「妖怪たちが夜の町を列をなして練り歩く」という伝承です。
本作では、この伝承をもとに、北斎が描いた妖怪たちが実体化し、異世界で百鬼夜行を繰り広げる物語として描きました。




