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賢くない賢者と勇気のない勇者⑫

「いらっ、いらっしゃいまふぇ〰」


情けなく尻切れトンボになって掻き消えた挨拶は、もはやその役割を果たしてはいなかった。ふぇーってなんだよ。ふぇーって。


消えたいほど恥ずかしくて耳のあたりまで顔が紅潮してくるのを感じる。耳が赤くなるのは好きな子と隣同士の席になった時以来かもしれない。


俯き加減だった顔をおずおずと上げながら、挨拶がどのように伝わったかをゆっくりと確認する、宝くじの当選番号を1文字ずつゆっくりと確認するように。


クスクスと女子高生の二人組がこちらを見ながら笑っているのを確認して、『やっぱりか』と心の中で呟く。


残念ながら宝くじには当たっていなかったようだ。絶対年下だけど、恥ずかしいものはやっぱり恥ずかしい。


助けを求めて隣のレジの女子店員に視線を向けるが、こちらもやはりクスクス笑っていて助けてくれそうにない。


このコンビニでバイトを始めてもうすぐ3時間だが、全くもって慣れない。苦行だ。


全く経験値の上がらないバトルを延々繰り返しているような焦燥感に取りつかれる。


いつも周りの冷ややかな目が気になって情けない結果になってしまう。


くそ!


お前らなんかギルティワールドの世界だったら、俺の足元にも及ばないくせに。


こうやって現実逃避することで心のバランスを保っている。


くそ! くそ!!


大体俺にバイトなんて無理なんだよ。


どうしてこうなった?


どうやったらクリアできる。


追いつめられた心に、昨日の悪夢が甦ってくる……




だけどそこで、ふと我に返る。この道を選んだのは自分なのだ、と。


『必要なのは勇気と賢さ』


そう心の中で唱えながら、強い心で次のお客様を迎え入れた。

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