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36話

 昼休みが終わった後、一年A組の生徒たちは教室を移動して、実習室へ。

 実習室は広く、並んでいる机も大きい。


「服飾造形に使う部屋って感じだね」


 小里が呟いた感想が聞こえたが、満景には『服飾の部屋』というものに心当たりがなかったので同意はできなかった。

 その代わりに思い出したのは、小学校中学校で化学実験を行った際の教室。あれを一回り大きくしたら、この実習室になるのではないかという感想を抱いた。

 実習室の教壇に、鬼瓦先生が立った。


「呪具製作は、グループでやってもらう。仲が良い奴で、それぞれの机に集まれ」


 そう言われて、満景は『仲が良い奴』がそれほどいないことに気づく。

 これはまずいと、慌てて少ない友人の一人である小里に声をかける。


「小里さん。一緒にやらないか?」

「あれー、満景ってば、そんなに私と課題したいん~? ならさ、頼み方ってもんが~」

「この通り。お願いします」


 満景が頭を下げてお願いすると、小里は意図を外されたという顔で後ろ頭を掻きだす。


「いやさ、いまのは冗談だから。真面目に返されちゃうと困っちゃうんだけどー」

「なら?」

「良いよ、分かった。いっしょにやろう」


 話がまとまった二人に、力雄が一歩近づいてきた。

 その歩み寄ってきた意味を、満景が性格に把握する。


「力雄も一緒にやりたいってことだよね。いいかな、小里さん?」

「ここでダメって言ったら、私が悪者になるじゃんかー。いいよ」

「……感謝する」


 力雄は相変わらずのしかめ面だが、どことなく安堵した感情が顔に現れている感じがあった。

 これで三人組ができたので、グループの体裁は整った。

 そう満景が思っていると、鬼瓦先生に連れられて新たに二人の生徒が近づいてきた。

 一人は狩衣を来た黒い長髪の少女で、もう一人は側頭部に反り込みの入った五分狩りの男子。

 この二人について、満景が見覚えがあった。


(入学式のときに小里さんに教えてもらった、一時期子供陰陽師として名をはせた若槻ちゃんと、霊なら全部殴り飛ばして彼岸を渡らせる武装集団閻魔寺の息子くんだっけ)


 満景が二人の情報を思い出している間に、小里が鬼瓦先生に疑問をぶつけていた。


「その二人を、どうして鬼瓦先生が連れて歩いているんですか?」

「二人ともあぶれていたからな。ここに合流させてやってくれ」

「そういうことらしいけど、どうする?」


 小里に問いかけられて、満景は賛成の頷きを返す。困ったときはお互い様だし、鬼瓦先生からの要請なのだから拒否する理由がないからだ。

 力雄も、小さいながらも同意の頷きを見せた。


「じゃあ、お二方を歓迎しまーす。ほら、座った座った」

「お邪魔しますね」

「ケッ。呪具製作だなんて、まどろっこしいぜ」


 若槻ちゃんと閻魔寺の息子くんが合流し、五人組になった。

 満景は、こっそりと力雄に近づいて、内緒話をする。


「あの二人の名前って、何だっけ?」

「……自己紹介の際に覚えなかったのか。女子は、若槻ももか。男子は流山歯車男ながれやまギヤマンだ」

「ギヤマン? 珍しい名前だ――って、ああ。閻魔大王が持っているっていう、ガラスの鏡にかけた名前か」


 ともあれ、これでグループになった全員の名前を、満景は把握することができた。 

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― 新着の感想 ―
歯車男でギヤマンとは…うまいと思ってしまった。
学校側ができるだけ縦横のつながりを作ろうとしてる感じですね。人手不足なので長生きしてほしいということでしょうか。
ペア作れじゃなかっただけ良かったですねー にしても先生のお手本を元に個人で黙々と作るとかそんなんじゃないんだなあ
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