ep.29
【ギルバートSide】
アリシアがご令嬢のパーティに行くと屋敷のメイドが言っていたのを聞いたとき、もうそんな時期なのかと、僕はびっくりした。自分の中のアリシアの時は赤ちゃんで止まっていたが、もう一人で、ご令嬢のパーティに行ける年になってしまっていたのだ。
僕はすぐさまお父様のもとに行き交渉し、どうにか理由をつけて、僕も一緒に行けるように手配してもらった。お父様は過保護だから、アリシアを一人にすると危ないと言うと、すぐによかろうと言ってくれた。年に数回開かれるこのパーティは、ご令嬢のパーティといえど、多くのご令嬢が両親や兄弟を連れてきて、僕たちにとってのとっておきの交流会ともなっている。そのパーティにお父様は僕がウルフ家として出席するということにしてくれた。
僕は、ずっとみんなのことをを避けていたから、当然、アリシアと馬車に乗るのもこれが初めてだ。うれしい。そうわくわくしながら、僕は玄関まで足を早めた。すると、玄関にはアリシアが既にいた。黄色いドレスが似合っていて、今日はとびきり可愛らしい。「アリシア!」と声をかけると、アリシアはびっくりした顔をしてこちらを見てきた。ふふ、この顔を見れただけでお父様を説得した甲斐がある。その直後、「結構です!」というアリシアの声が響いたが、聞こえなかったことにした。
それから、嫌だと言い張るアリシアを言いくるめて、一緒に馬車に乗った。馬車の窓から外を見るアリシアの顔はニコニコしていて、ああ、これが天使なのかと思った。
アリシアの顔を見てると、すぐにパーティ会場である屋敷に着いてしまった。チッ、もうちょっとアリシアの顔を眺めていたかったのに。そう思いながらも、僕は馬車から先におり、アリシアに手を差し伸べた。
屋敷の中に入ると、僕はこのパーティに参加している人に挨拶をしなければならず、胸が張り裂けそうになりながらも、アリシアに別れを告げた。しかし、アリシアという存在をを一人にしておくのはとても危険だ。ご令嬢だけのパーティといえど、どこで変な虫をつけてくるかわからない。僕は最速で挨拶を済ませることにした。




