ep.27
それから数日が経ち、ついに、ノエルちゃんがお屋敷に遊びに来る前日になってしまった。そんな状況下で私が今何をしているのかというと、ノエルちゃんのためにケーキを作っている。この前、ノエルちゃんがケーキが好きって言っていたからだ。
「リック!混ぜ終わったわよ!」
「おお!いい感じですね、アリシアお嬢様!」
「ええ、あとは焼くだけね!ノエルちゃんが喜んでくれたらいいな」
リックとはあれから何度かギルにぃとのお茶会用にお菓子を作っている。リックは本当に教え上手で、難しいはずのレシピでも簡単に感じてしまうくらいだ。
この世界に来たときは、料理が口に合わなかったらどうしようと考えていたものだったが、このゲームが作られたのが日本だったからなのか、この世界の食事は日本に似ていた。特に、納豆に似た豆が出てきたときは思わず笑ってしまった。
なので、ケーキも大体作り方が同じなのかなと感じながら料理長のリックからケーキのレシピを聞くと、私の知っているものとほとんど一緒だった。この、日本が感じられない世界で日本と同じようなものを発見すると、なんだが嬉しくなるんだよなぁー。レシピが違うなら足をひっぱっちゃうかもと考えていたが、これなら私もリックのことを手伝えそうだと思い、嬉しかった。
「待ち遠しいわね!リック!」
「そうですね!」
私はスポンジケーキが焼けるまでオーブンの前で待つことにした。
そういえば、私はここ数日で、ノエルちゃんとの会話方法を見つけた。その名も、話す言語がないならば作ってしまえばいいじゃない作戦だ。寝る間も惜しんで考えたおかげで、やっとすべての言葉にそれぞれの形を当てはめることができたのだった。
いやー、よくやったよ自分。小さい頃はよく自分だけの言葉を作る遊びがよく流行ったものだったが、私はもう立派に成人している身だ。そう易々とは作り出せなかった。しかも、何らかの記号を文字で表すだけなら簡単なのだが、手だけで表現するとなると、これまた難易度が上がるのだった。すべての言葉を作るだけで手一杯だったので、流石に動作などの言葉はまだできていない。とりあえず、スポンジケーキが焼き上がるまで、動作の復習をして待っていよう。




