3.ダンスレッスン
ダンスレッスンがこれほどまでに嫌いだと思ったのは初めてだなと思った。あぁ、面倒だな。早く帰りたい…。
「久しぶりだね、アンネル。元気だった?こうして君に会えて嬉しいよ。最近は中々忙しくて会えなかったからね。来月のパーティーのためのダンスレッスンを口実に君に会いに来たんだ。」
にっこりと笑ってつらつらと言葉を並べるこの青年は、私の婚約者であり王太子でもあるレオナルド=シュタール殿下だ。レオナルド殿下は白銀の髪にメープル色の綺麗な瞳を持ったとてつもない美青年だ。貴族に限らず平民でさえも若い女の子達は一目で彼に恋に落ちるだろう。だが、私はこの殿下がどうにも苦手なのである。彼の胡散臭い笑顔があまり好きでは無いのだ。
「お久しぶりです…。殿下の足を引っ張らないように頑張りますわ。」
自分でもわかるほど下手な返し方だ。
これには殿下もクスクスと笑っている。あぁ、特に興味もない相手に特に興味もないダンス…。こんなに退屈なことがあっていいのかと自分に問いかけて、ダンスレッスンを乗り越えた。どうやったら自由になれるのだろうとひたすら考えていたこの時の私は、あんなことになるとは思いもしなかった。
美青年の殿下に1ミリも興味のないアンネルですが、殿下はアンネルに好意を示していますね。わざわざ口実を作って会いに来るのはよっぽどです。




