8.月日が経つのは早いよね
窓から光が射し込み、白い部屋を照らす。
〔うーん、よく寝た〜。〕
私はベッドから体を浮かせた。
私がこっちに来てから3年が経った。こっちの生活にも慣れてきて、毎日が楽しみで仕方がない。
魔導書は3歳になると、“念話”という魔法を覚えて、会話ができるようになる。私の場合、1週間前に覚えた。
今日は魔導書にとって大事な2つの儀式のうちの1つ、名付けの儀がある。名付けの儀は、3歳になったら絶対に参加しなければいけない儀式で、その名の通り、名前をつける儀式だ。魔導書に名前なんか必要なのかと思ったけど、かか様曰く『名前は個別に認識するための、大っ事なものなの。名前は生きているものにとって生きていくために必須。魂の中心となるものなんだから!!』だそうだ。
魔導書の名前のつけ方は5つあり、まず1つ目が、ご主人様つまり自分の持ち主である神に決めてもらう方法。
2つ目は、もともと名前があるもの。この場合、魔導書自身が生まれたときから知っているらしい。
3つ目は、神に気に入られて授けられるというもの。
4つ目は、神が出した案の中から自分で選んで名前にする方法。
5つ目は、自分でつける方法だ。
そうそう、この前教えてもらったんだけど、私には名前がある。ステラスは生まれたら、かあ様達が名前をつけてくれるらしい。さっき言った5つの中では2つ目に入るのかな。
ただ、名前を授けられたとしても、名付けの儀までは仮のものらしく、名付けの儀でちゃんと名前だって認められる。
っと、もうこんな時間。早く塔に行かなきゃ、儀式に遅れちゃう。
バンッと、扉を壊す勢いで私は塔へと向かった。
塔というのは、儀式をするための特別な塔です。
名前は……ない(笑)
“名付けの儀”ともう1つの特別な儀式の“選びの儀”は、ここでやります。