表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第1編 Justice of Bullet  作者: SEED
第4章 I'm Here
26/28

終末の光



β NETからログアウトし、隣の結衣を見る。結衣はまだディスプレイを見つめている。


「結衣。」


声をかけると気がついたように返事をする。


「な、なにっ?」


「どう思う?」


「そうだね。・・・・・FBIの上にけしかけた人物がいるのかどうかわ分からないけど、たぶんFBIでなんらかの動きがあったのは確かだと思うよ。」


「・・・・・そうだな。よし、ならFBIのサーバに侵入して何か資料がないか見てみよう。」


「でも、ここからハッキングするのは危険じゃない?もし足がついたりしたら・・・」


「大丈夫だよ、そんなへまはしない。それにここにあるマシンのパワーを借りるからこのノートPCでも出力は十分だ。」


そう言って俺はマシンをケーブルで連結させて電源を入れた。海外サーバを何個か経由しし、防壁を潜り抜けるとFBIのホストサーバにたどり着いた。その中からさまざまなキーワードを使って絞り込む。すると『日本』『日本人』『テロ』『JoB』で結果が一つヒットした。そのフォルダを開くとそこには一つの文書ファイルが入っていた。タイトルは『JoB日本テロによるアメリカへの損害』と記してあった。俺はそれを適当なサーバにコピーし、FBIのサーバからログアウトした。さっきコピーしたサーバへ侵入し、今度は自分のパソコンへコピーする。


「よしっ、ミッションコンプリート。」


「相変わらず結構なお手前で。」


冗談を混ぜながらも俺はそのファイルをウィルススキャンした。検出はされなかったので開く。するとそこには今回のテロの概要が一から書いてあった。


『このテロが成功することで日本は先進国からも離脱し、中東のような内紛状態に陥ると思われる。その結果、様々な物が輸入できなくなり、輸出もできなくなる。それに同じくデフレを通り越しハイパーデフレーションを起こす。それによりアメリカも多大な損害を得ると考えられる。』


「これFBIから取ってきたんだよね?」


「納得できる話だな。アメリカも他人ならどうでもいいかもしれないが。友好国、しかも貿易先だもんな。介入してくるのも当たり前だろう。」


「でもほとんどはあってると思うよ。」


「ああ、そうだな。ということはFLEETの言う事は正しいと言う事か。さすがだな。」


「うん。でもこれからどうするの?」


「おそらくヤツらの計画は最終段階に入っている。俺たちもしかるべき時にチェックをかけるしかないだろう。」


「とりあえず私たちはリキさんのお店に行かない?」


「そうする方が賢明だろうな。」


β NETのゲートから出て電車に乗りリキの店を目指す。電車を乗り継いでリキの店に向かった。店に着くとリキは整備しておいた銃などを渡してくれた。お礼を言って店から出るとすでに外は薄暗くなっていた。結衣に手を差し出すと結衣は破顔しながら手を握り返してきた。


ホテルの部屋に戻ると一気に疲労が襲ってきた。


「明日はクリスマス・イブか・・・・・おそらくあいつらのテロは明日が実行日なんだろう。」


「心してかからないとね。」


「ああ。」




なんとなく気分だった。防衛省のサーバに侵入していると改ざんされている痕跡を発見した。そこから追跡してみるとある建築会社に行き当たった。


「結衣、この建築会社ってなんかあったっけ?」


「え〜と、この会社はアレだね。東京ファイランドツリーの建設に携わってる会社だよ。」


東京ファイランドツリーというのは去年からプロジェクトとして国が東京に大きな観光用タワー建設計画のことだ。そしてその性格な図面がコピーされた可能性。つまり、明日のクリスマス・イブで決行されると思われるデスティニー・プランの決行場所は、東京FTだ。


「結衣、準備いそげ!」


「うんっ!」


慌ただしく準備し俺と結衣は日付が変わっ3時間後にホテルを急いで出発した。走って東京FTの下まで行くとそこには警備員になりすましたテロリストの見張りと思われる者が3人ほどいる。


「ビンゴだな。結衣、俺は近くの屋上からハッキングでシステムを奪う。結衣は地下駐車場から侵入しろ。」


「了解。あそこのテロリストは?」


「俺が押さえる。GO!」


そして結衣は横にある地下駐車場内にアサルトライフルを持って走っていった。俺は横に回り込み、へカートを構えた。


「3人はちょいと厳しいが、アサルトよりはいいだろ。」


直線距離にして約760メートル。引き金を引くとスコープの先にいた1人が崩れ落ちる。そしてすぐ銃弾をリロードし再度発砲。さらに次も。そして30秒とかからずに3人は命を落とした。


それを確認したあとに手頃なビルにのぼりノートPCを起動する。まずは気づかれないように地下駐車場内のカメラだけをハッキングする。次に建設会社から図面を入手。


「結衣、こちらも確認できた。そこの角を横に曲がって20メートル行くと左にドアがある。そこから侵入できるぞ。」


「了解。」


結衣の侵入を確認したあと俺も正面玄関から侵入。カメラで先を確認しながら進む。エレベーターに乗り、管理コンピュータがある場所へと移動する。しかしエレベーターは4階で停止した。


「なんだ?」


一応カメラでエレベーターの先を確認するとそこには誰もいない。すると突然PCから警告音が発せられた。ディスプレイを見ると攻撃を促すメッセージが表示されている。まずいと感じた俺はすぐに迎撃する。端末内のユーザ領域すべてに隔壁を展開。ウイルスの侵入を防御、別挙動で送信先をトレース、が失敗。異常パケットを切断。すると突然ウインドウが開き、メッセージが表示される。


『Hello Trike. I know you. Do you know me?』(こんにちは、トリック。私は君を知っている。君は私を知っているか?)


「こいつ、Assaultか?!」


再びトレースコマンドを打ち込む。しかし相手はそんな物がないかのように行方をくらませた。


「くそっ!こいつ一体誰なんだ。」


俺はイラつきなんがらもへカートを隠してAK-47とPCを持って立ち上がった。結衣も順調に上にたどり着き、俺も結衣に追いつくとそこにはFLEETの情報通り敵のアジトらしき場所が広がっていた。


「なるほど。まだ建築中だったからな、建設業者さえ買収しちまえばばれることはないってことか。結衣、なにか手がかりがあるか探してみよう。」


「うん。」



部屋の中を警戒しながら探しまわると、奥の一室に一つのデスクトップPCを発見した。俺はそれに自分のUSBを差し込み起動する。独自OSが起動したところでコマンドを入力していく。ログを漁るとそこには東京都庁への侵入履歴と改竄履歴が残っていた。


「都庁?なんでまたこんな場所に・・・まさかッ!?」


天翔はさらにコマンドを追加していく、すると『都庁が始まりと終わりの場所』とかいてあるメールを送信しているログを見つけた。


「結衣!」


俺はたまらず無線に叫び結衣を呼ぶ。俺の声を聞いた結衣は走って俺のもとにかけつけてきた。


「ここを見てくれ。」


さっきのメールを見せる。


「これって・・・・・!?」


「ああ、おそらく核は東京都庁だ。」


「都庁、確かにそうかいてあるね。ってことは桐生もそこにいるのかな?」


「おそらくそうだろう。・・・よしっ、向かうぞ。」


「うん。」















俺と結衣は銃を大きなボストンバックに入れ、タクシーを捕まえて都庁の前までやってきた。時刻はすでに深夜だ。都庁で働いているのは誰もいない。警備がいたとしても生きているのかは分からない。それに明日はクリスマスだ。明後日まで誰も都庁に入る予定はないだろう。


「カケル、どうするの?一回からしらみつぶしに探すのは時間的にも無理だよ。」


「そうだな。だけどおそらくあいつらは最上階にいる。」


「ほ、本当に?」


「ああ。」


俺には確信があった。なぜなら最上階には一番重要な機材、書類、金品。すべてが保存されている金庫があるためにセキュリティシステムが最強なのだ。ネットワーク的に最強ということではなく。言葉通りに『最強』遠隔操作で操作できるマシンガン、トラップ、カメラなどがそこらかしこにあるのだ。つまり、ハッカーの巣ということだ。


「俺は10階のサブ管理室からアクセスする。結衣はそのまま最上階に向かってくれ。」


「うん、分かった。」


「死ぬなよ。できるだけセキュリティシステムは俺が妨害するが、完全に大丈夫とは言えないからな。相手はシステムだ。無挙動で銃弾を放ってくる。気をつけろ。」


「分かった。私を甘く見ないでよねっ。」








俺たちはそれぞれわかれ階段を上っていった。



階段を上っていき、10階に差し掛かったところで俺は結衣の肩をたたき、非常階段からフロアに入っていく。結衣はさらに上の階へと走っていく。俺は10階にあるサブ管理室に向かって走っていると横の道から敵が数人走ってくる。


「次から次へと!」


アサルトライフルを構えて引き金を引く。複数の破裂音がして前方にいる敵が崩れ落ちる。そのスキにサブ管理室へと走りこむ。


「ふうっ。やっとここまでたどり着いたか。よいしょっと・・・」


自分のノートパソコンを取り出し、管理者パソコンへと有線で接続する。次々と流れる文字列を確認し、コマンドを入力していく。まずは管理者権限を確立し、15階から20階への監視カメラに接続を試みる。


接続は簡単に終了し、結衣の位置を確認した。


「結衣、監視カメラの接続完了。今6階にいるな?」


『うん!』


「そこの角を曲がって直進しろ、そうすれば7階にいける。」


『了解!』


「さてと、その間に俺はAssualtと正体を突き止めてやるぜ。」


ハッカーとハッカーが戦った場合。どちらが先に相手がわのシステムを破壊できるかが鍵となってくる。いくらそのハッカーが強かろうと自身の武器となる知識を攻撃に変換する装置が無くては意味がない。











しばらくの間攻撃の応酬があったが深夜11時を超えた辺りから攻撃がぴたりと止まった。その間に俺は結衣のナビゲートと自分がメイン管理室に向かうために進んでいた。


「結衣、今何階だ?」


『現在8階のメインフロア!敵の銃撃戦を受けている。』


「了解。こちらは9階までクリアを確認。・・・俺が後ろから行く。注意しろよ!」


俺は8階と9階が繋がっている階段を一気に駆け下りた。すると目の前に敵の一団がメインフロア反対側に銃撃している。右側の敵にグレネードを放り、その間に左側の敵を全員片付けた。


「結衣、無事か?」


「うん。ありがとっ。あとは9階と10階だけだね。」


「ああ、行くぞ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ