第五話 暴言、愛の如し
――またせたな
『お兄ちゃん?』
――あぁ待っててくれてありがとな!
『別にゲームしてたから暇じゃなかったよ!』
――・・・・・・・・・・
オレはお礼を言って損をしたような気がした。
「そろそろ妹にもお前の姿が見えるはずだ!」
「か、神様!」
「あぁ、実に不覚だった・・・・・まさか大天使が七年前のことを根に持っていたとはなぁ・・・・・」
「七年前?」
「あぁ、七年前大天使の目を盗んで大天使のタイヤキをネコババしちゃったんだよ!ずっとそれを根に持ってたみたいでさぁ〜」
「それで地獄に落とされたんかい!」
「お兄ちゃん?」
「お!見えるようになったか」
「誰?このキッコロは??」
キッコロというのはもちろん愛地球博のイメキャラのキッコロで無く短縮言葉だ!時間が無いが説明しよう!
キ = キモくて
ッコ = 殺したいほど口臭のキツイ
ロ = 老人
となる!
「キッコロかぁ・・・・・うれしいなぁ!」
やはりこの人KYだ!
「へぇ、キッコロって言って喜んだのおじさんが始めてだよ!」
陽菜もKYかい!神様がキッコロの意味知らないの感覚で分かれよ!
「ま、私はキッコロじゃなくて神様だがね・・・・」
「お兄ちゃん、この人逝っちゃってない?」
「五分の四位は・・・・・」
「さ、時間が無いのでさっさと『神宝』を探しに行きますよ!」
「でも神宝はもう・・・・・・・」
「まさか自分がイリオスっちゃってるとでも思ってる系?」
「違うの?」
確かに閻魔様はオレに「イリオスの力を授ける!」とまで断言はしてなかったな・・・・・・・・・
「じゃ、行こうよ!」
陽菜の声で現実に引き戻される。
「よし・・・・・」
「行こうかね」
そう言うとなぜか神様はナメクジのように這って進んでいる。
「と、言うわけで、そこの二人、と言ってもパートナーなだけだけどね。」
「うるさい、バカ、だまれ、キッコロ。」
さっそく無表情に暴言来た。
「でさ、変な人」
「変な人じゃないだろ。この人は神様だ。」
「ふーん。でさ、変な人。」
僕の言った事を無視する。そして、妹が神様に暴言を連打することにより、神様は六分の五位逝きそうな勢いだったが、あまりにも早いと言わざるを得ない早さで立ち直った。
「さっそくだが、このキャンペーンは対象の体と誰かの体を入れ替えることでやっと効果が出るんですがね。はい。っていうか陸の妹さん〜聞いてますか〜?僕たちここまで来るのに超苦労したんですけど〜?その苦労わかってますか〜?」
「うるさい。変な人。」
はい、この一言で会話終了。
かわいそうな神様を見捨てて置けなくなった僕は語りかける。
「ごめんなさいね。陽奈は無表情に暴言を吐くやつですから。」
「陽奈っていうのね。もう本当にかわいそうだよ。俺。人生九百万年ぐらい過ごしてきたけど、今までで一番、本当にかわいそうだよ。」
「あ〜かわいそうですね。残念ながら陽奈は僕に対して暴言はあまり吐きませんから。その代わり『キッコロ』に出会うと、すっげえ暴言吐きますよ。」
陽奈のいやなところを少しだけ話した。本当に嫌なやつでしたから。
「で、その『キッコロ』ってなんなのさ?」
僕に言われた。とりあえず、かわいそうだけど、訊かれたからには言わないとね。僕も半分神様いじめてるつもりだけど。
「え〜と、確か略語で、『キ』がきもくて、『ッコ』が殺したいほど口臭のキツイで、『ロ』は老人。だったような気がします。」
「きもくて殺したいほど口臭のキツイ老人。ねえ俺老人に見える?これでも九百四十三万年と五千二百十年過ごしてきたけど、肌の手入れはちゃんとしてるよ。なのに老人って・・・。」
きゅうひゃくよんじゅうさんまんごせんにひゃくじゅうねん。うはー、平仮名めっちゃなが。それに比べて9435210年、なんという読みやすさ。素晴らしきかなアラビア数字。
「ねえ、息も臭くないでしょ?」
「いや、臭いです。ニンニク臭いです。ぎょーざ食べた?」
「き、昨日の夕飯・・・。」
とのこと、やはり息が臭いのは今まで我慢してきたが、臭い。めっちゃ臭い。
「ほら、ガムあげますから。臭い息もとれるミントのガムですよ。」
「ありがとう。本当にありがとう。」
と、言われる。ガム一枚でこんなに感謝されることって滅多に無いんだが・・・。
「でさ、いい加減にしようぜ。無表情で暴言吐くのやめようぜ。陽奈。」
とりあえず、陽奈に言っておく。キッコロに出会ったときは必ず言う。そして、いつも通りに陽奈は答えた。
「嫌です。無理です。断ります。暴言は文化です。暴言は正直さを表すものです。暴言は私の宝物です。私を殺すつもりですか?」
でた、基本的暴言の尊重。これは人権を暴言に言い換えたもので、その中身も暴言しか尊重されてない。これは僕が名づけたもので、妹も納得してくれた。
でも、よっぽどのことが無い限りコイツの暴言は直らないだろう。目上の人にも、同級生にも、下級生にも幼稚園生にも気に入らなかったら暴言を吐く。なんという暴言好きだ。こんな妹、この世に一人だろうよ。
「変な人。いい加減帰っていいですか?暇です。」
「ねえ、なんで君はそんなに暴言吐いているのに暇になるの?気持ち良かったりしないの?ねえ、聞いてる?」
神様がなんだか今までに無い妹の負け方をしてこのままでは納得いきそうに無い模様。
「これが日課ですから。もう飽きちゃいました。」
「じゃあやめようよ。なんでやめないの?」
泣き狂いそうな神様はそう言う。無駄だとは思うけどなぁ・・・。
「無理です。癖になっちゃいましたから。人間そう簡単には変われませんよ。わかりましたか?」
テレパシーで話している時の性格とは有り得ないほどの違いだ。コイツ、ヤバイ。意味不明な暴言で神様を泣かせちゃってるよ。
「ねえ、君。目的わかってる?」
「うるさいです。変な人。でも一応答えましょう。『神宝』というものを手に入れてお兄ちゃんを生き返らせるんですよね。お兄ちゃんから聞きました。」
「じゃあさ、僕の言うこと聞いてくれない?そうでもしないと『神宝』手に入らないよ?」
と、言う。たしかにそれはそうだろうと、陽奈は納得したようで、歩くのをやめて、こう言う。
「じゃあさっさとそれを言えよ。変な人。」
「変な人じゃないですよ。無表情でそんなこと言う人初めて会ったよ。たぶん。で、とりあえず、ここから移動したいと思う。その場所で『神宝』を探すことが出来るから。」
もう手に負えない陽奈の話し相手を神様に託したところで、神様があの真っ暗な空間を利用して移動しようと、言った。
そして、陽奈が首をコクリと動かしたところで、目の前が真っ暗になる。そして、目が開けたところにはある光景。
電池メンの巣だった。
「何処ココ?」
と、陽奈が言う。
「ああ、さっきも来たんだが、電池メンの巣と言ってな、電池が住んでる。」
「ふーん。あっそ。」
やっぱりこの妹ひどい。絶対ひどい。
「で、神様、今度はリーフ電池の次に何を?」
「ここには『神宝』のパーツがある。三つのうちの一つだ。そのついでに、リーフ電池と電池メン単一型に着いてきてもらう。」
とっさにリーフ電池に関連付く単語を思い出す。そして、神様に質問。
「というと、陽奈の物理分身を?」
「その通り、聖なる水はまだあるしね。それと、単一型の能力で『ヨクト』の世界まで飛ぶように頼む。『ヨクト』には俺の力では飛べないんだ。」
「『ヨクト』にも『神宝』のパーツが?」
とりあえず、勘付いたことは適当に言っておく。そうでもしないと何もしゃべれなくなってしまう。
「ああ、違う。『ヨクト』には俺に代わる次の神様がいる。だからソイツに会って、俺はそこで元の仕事に戻る。そうなるのさ。」
ということは、この神様とはもうすぐで別れということになる。やっといい加減な神様から離れられそうだ。
「ちなみに言うと、今のでちょうどジオルの時間で一日経った。だから、あとリアルの時間で三日以内に『神宝』を探さなきゃそのまま死ぬ。わかってるな?」
「わかりました。じゃあ入りましょうか。」
何も口出ししていなかった陽奈は、ちょっと目をキラキラさせて、ここに入る。そういや陽奈はなぜこんなところに来ても驚かなかったのだろうか。
「こんにちは、私は電池メン単二型です・・・。またいらっしゃったんですか。それとそこのお嬢さんは?」
相変わらず単二型がここを任されているようだ。
「単二型、とりあえずここに置いてある、『神宝』を取りに来た。許可をいただきたい。」
「わかりました。では単三型に任せさせてください。」
そして、また五つもある笛の一つを吹いて、単三型だと思われるやつがやってくる。
「こんにちは、俺は単三型、『神宝』のありかを途中まで教えてやるぜ。着いてきてくれ。」




