プロローグ
キーッ!ガッシャーン!
交通事故だ。それだけは理解できた。
加害者、ドライバーの人。被害者、自分。
急いで救急車もやってきたようだが、勢い良く頭を打ったせいか、失神状態でその場に恐ろしい姿で寝込んでいた。
病院に運ばれて、妹、陽奈の声を聞いた気がしたが、いつの間にか自分が起き上がったときはそこに現実という空間は存在しなかった。
「どこだ?ここは・・・。」
と、独り言を呟く。下には青く見える透明な道、それが駐車場のようにくるくると上のほうに上がっていくように見える。そして、その後ろ、崖のように下が真っ暗なとてつもなく大きな穴が開いていた。
あえて下に落ちるという手もあるが、そんなことしたらたぶんだが、どうにも
ならないだろう。この場合は上に、上にひたすら登り続けるしかない。
しばらく滑って転び落ちそうなくらいの急な坂を歩いていると平らな所に着いた。そこにはとてもきれいな青い液体が流れていて、何やら、人が白い宗教のような服を着ていて、笑顔で自分を迎える。
そこには、船とオールがある。その青い液体の先に何があるかはここから見てもわからない。渡るのか?そして僕は後ろを振り返る。
「道が、無い!?」
再び前を向くと白い宗教のような服を着た人が手招きをしている。早くしなければ今自分の立っている道まで消えてしまうのだろうか?僕は白い宗教服を着た人の乗った船に乗る。
――よくいらっしゃいました
頭に誰かが語りかけてくる。
――私は神様です
なんて悪い夢だ。確かに僕は交通事故にあった。しかし今は病院の真っ白なベットに横になっているはずだ!
「どうぞ」
白い宗教のような服着た人は無表情のまま言う。そして目の前にはヒガンバナの花畑。
――さぁ、ここは天国です
神様らしい人はヒガンバナの花畑を天国と呼ぶらしい。縁起が悪い事だ。ま、直にこんな夢覚めるだろう、天国とやらを満喫してやろうと思う。
「っ!」
夢か・・・。
そう思って起きたつもりが、今いるのはベッドではなく、青く見える透明な道だった。死んじゃったのかな?僕・・・。
そう思ってもしょうがないので、再びこの長い道を登り始めた。




