名探偵達の考察
ぐふぐふ気持ち悪く笑う、『町長のガデイム』さん。防衛団『団長 バラル・ダイン』さんと、『副団長 ラルフ・ダイン』さん。ぷっくりお腹の3兄弟? 違ったみたい。ただの太ったおっさん達だった。そんなお腹で防衛なんて出来るのか?
結局、作る予定の地下施設は、北側にある衛兵待機所に1つだけ。それも規模は出来るだけ抑えて、20人程の施設という事に決まった。
アシャズでは、色々込みで30人規模で500万エーンで販売したからね。今回はどうしましょ。皆さん脂臭いから、大サービスで、同価格の500万エーンに決めました。出張料と言う事で納得してね? オイラ、優しいでしょ? 照れるじゃないかぁ。もう何も出さないよ? 臭いから。ぐふぐふ笑うの止めようね? ガデイムさん。
少し値切り交渉もあったりしたんだけど、そんな気持ち悪い相手に、オイラが甘い顔などするはずもない? 『土魔法の匠』が作る施設だよ? 何年もつと思ってるの? これでも安いと思うけど? 他の町での評判も聞いてるでしょ? はい。お仕舞い。ぐふふ。
しっかりお金も頂戴し、服に臭いが染み付く前に、とっとと宿に向かう事にした。これもなぜか、護衛付き? 団長と副団長の2人が直々になんて、贅沢な事なのか?
これまた、連行されてるような気もするけど、気のせいか? 臭いけど? 守れるの? はっ! 臭い攻撃か! スカンク的な? 口臭弾! ぐっはぁ! オイラはやられそう? 一瞬の油断が命取り? でも、次の攻撃が続かないよね。このお腹じゃね。
他にも決まった事は、地下施設の作成は明日の1日だけ。完成後の施設の様子を見る時間を半日置いて、明後日の夕方に完成祝いのお食事会を行うという事だけ。まあ、それで十分ですけどね。ちゃんと前金でもらってるし。
「皆、お疲れ様。それにしても、臭かったね。あの3人とも。最初は平気かなって思ったけど、3人揃った途端に堪えられなくなってきたんだけど、俺だけだった?」
「お疲れ様なのじゃ。あのニオイは酷かったのじゃ。途中から、肉と卵が腐ったようなニオイがして来たのじゃ。あれは、わしもダメなニオイなのじゃ。まだ臭いのじゃ」
ミラもそうだったか。確かに肉とか卵とか、混じり合ったような腐ったニオイもしたな。
「はい。お疲れ様でした。あれは、酷いニオイでした。私には特に効きました。悪い意味で効きました。もうあの3人には近付きたくないです。このニオイ。まだ取れません。勘弁して欲しいです。ぐすっ」
アリーを泣かせてくれるとは、許せんな。あのクサクサ3兄弟。犬人族には辛いニオイだよね。御免よアリー。もう、一緒に来なくていいからね。よしよし。もふもふ。
「お疲れ様。ええ、あのニオイは酷かったわね。まだ、何か残ってるような気もするわ。何を食べればあんなニオイが発生するようになるのかしらね。出来れば、そんな食材は口にしたくはないわ?」
確かにそうだ。好物を聞いてみて、それは口にしないようにしようかな? うん。それも良いアイデアだ。グッジョブだ! リーン。
「まったくだよね。念のために、皆に《洗浄》と《殺菌》しておくね? まだニオイも残ってるみたいだし、臭い菌とか繁殖してくるのも嫌だから。皆こっちに集まって」
まとめて両手《洗浄》×2 サァー×2
続けて両手《殺菌》×2 ふゎ~~ん×2
「あっ! これヤバいやつだった」
両手を皆に向けてかざし、〈殺菌〉を発動したみたら、あ~ら不思議。うっすらと、本当にうっすらととではあるけど、皆の服に紫色のモヤモヤが見えた。
「すかさず、も1度両手《殺菌》×2」
ふゎ~~ん×2 スヮーー!
そう。これは、『ジャンボシイタケ』の毒抜き作業の時と同じモヤモヤだ。このニオイが毒素でもあるって事だよね? そこまでのニオイだったのか? 本人達は大丈夫なのか? 実は皆さん毒人間?
でも、このモヤモヤが溜まれば、禍々しい筋になったりするんだよ? それなのに、あのおデブな3人は普通にしてたしな。何だろな?
「ふー。あれは危ないニオイだったんだね。この残ってたニオイも毒持ちだったみたいだよ? もう〈殺菌〉出来たから大丈夫だと思うけど、皆平気?」
「おお。そうか。これは、毒のあるニオイじゃったのか、どうりでいつまでも嫌な感じがしておったのじゃ。じゃが、お陰で嫌なニオイも取れたのじゃ。ありがとうなのじゃ。ふふふ」 ガバッ
「はい! ニオイもすっかり取れました。もう大丈夫です。ありがとうございます! えへへ」 ガバッ
「え、ええ。確かにニオイも取れたわね。こんな魔法も使えるなんて、また規格外を体験できた訳ね。これでニオイの心配もなくなったわ。か、感謝してるわよ? わ、私もいいかしら?」 ガバッ
おう。マジで良かったよ。そこまでの毒性はなかったから、全く気が付いてなかったよ。この『毒の征服者』を相手に、毒攻撃をしてくるとはね。やってくれたよ、やられたよ? 少しだけとは言え、大切な人達に毒を浴びせられた事になるからね。俺ってば。やられたらやり返す! 何倍返しにしましょうか?
「う、うん。皆平気そうで良かったよ? さっきの団長や副団長の対応も何かおかしかったからね。色々気を付けるようにしようか。この町に居る間はね。よしよし、よしよし、よしよし」
サラサラ もふもふ スベスベ
俺の正面にミラ、右側にアリー、左側にリーンと言うポジショニングですね。丁度ぴったりハマってる気がするのは気のせいか? ちゃんとミラの頭にも手が届くからね? ナイスだね。皆、グッジョブだ!
* *
ちゃぽーーん!
結局、あの毒攻撃が故意なのか無意識なのか分からないからね。取り敢えずは保留にして、要警戒。皆怪しく見えてくるからね。不思議な町だ。食事にも気を使い、毎回〈殺菌〉する事にした。その方が安心できるからね。怪しきは疑え、徹底的に?
出来る事からコツコツと? 俺は、俺の出来る事をやっていく。ミラとアリーにも、毒のニオイには要注意してもらう事にした。俺もそうだけど、毒に意識を向けられれば、何となく分かるレベルではあるんだよね? 雷無双のお陰だね? 俺の前では、毒殺なんかさせないんだかね? 覚悟しなさいよ?
ちなみに、俺の背中流しは無事に一巡したからね、今日はお休みだよ? 宿のお風呂は狭いから、1人ずつ入る事になりました。うん。やっぱり落ち着いて1人で入る風呂も良いね。風呂は正義だからね。例え1人でも、混浴でもね?
う~ふぅ~ふぅ~ふぅ~ふ。僕、どざえもん! ざっぱ~ん!
さ、上がろ。いい湯だった。
* *
皆それぞれにお風呂に入り、寝る前の作戦会議をする事にした。『第1回デフーリンの町を色々調査してみる打ち合わせ』。
明日は、俺は地下施設の作成がある。あまり早く完成させるのも、皆が自由に動きにくくなるかもしれないから、ゆっくり丸1日くらい掛けて作成する事にした。
俺が町の北側の施設に居る事から、皆は町の外を見て回る事にした。ミラは、主に南側を担当。アリーは、主に東側を。リーンは、主に西側を担当する事にした。町の中は、明後日、俺も含めて動けるからね。まずは、町の外の様子見から。より警戒され難いとの判断もあったりしてね。敷地も広いから。
作業要員としての奴隷が多い地域を、見学を装って出来るだけ回ってもらう事にした。かなり範囲は広いけど、無理せず出来る範囲まで。奴隷はどれくらい居るのか、その奴隷はどんな感じの人達か、どんな仕事をしてるのか、素直に感じ取ってきてもらえれば良いのかな。ゆっくり見てきてもらっても良いし、じっくり1つの所で見てても良い。
俺がやったように、1人で居る奴隷を見付けたら、話し掛けても良いからね? ジェスチャーによるコミュニケーションは、『ちゅん鳥』達でも修得済みだから、皆大丈夫だよね。なにかと役に立つものです。
まあ、後はそれぞれの感性に任せる事にして、明日の夕食までに帰る事。危険を感じたら、即お逃げ。即行の町で学んだからね。出来るよね? 安全第一でよろしくお願いします。
* * *
ちゅん、ちゅん、ちゅん
ちゅん、ちゅん、ちゅん
「ん。おはよう。今日も爽やかな朝の鳴き声をありがとう。お前達は『毒』の影響はないのかな? この町にある食材には気を付けるんだよ? 中には毒の有る食材もあるみたいだからね」
……コテン? ちゅん!
「まあ、一応念のために〈殺菌〉しておくから、こっちにおいで」
……ちゅん!
おお。やけに聞き分けがいいな。さては、何か心当たりがあるのかな? まあいいか。
「よし。じゃあ《殺菌》するからね?」 ふゎ~~ん
「うん。大丈夫そうだね。毒の影響は受けてないみたいだ。良かったよ」
……ちゅん! ちゅん!
「ははは。良かった良かった。でも、これからも気を付けるんだよ? 特に臭いニオイには要注意だからね。判別できるかどうかは分からないから、珍しい物とかも一応警戒はしておきなよ? 体の調子が悪くなったと思ったら、遠慮せずに呼びに来るんだよ? すぐに処置してあげるからね?」
……ちゅん!!
「おはようございます。朝から『ちゅん鳥』ちゃん達の毒の確認をしていたのですね。優しいです。流石、旦那様です」 ちゅっ
「おはようなのじゃ。まったく、何事もなくて良かったのじゃ。場合によっては、皆死んでしまうかもしれんからの。お前達も気を付けておくのじゃぞ?」 ちゅっ
「おはよう。その『ちゅん鳥』達が無事で何よりだけど、そうするすと、いよいよあの3人が怪しく思えてくるわよね? 町長と団長、副団長まで揃ってだから、変な思惑とか無ければ良いけどね?」 ちゅっ
「おはよう、皆。そうだよね。あまり考えたくはないけど、もしかすると、そういった『毒』のある食材の方が美味しいのかもしれないし、多少の毒なら許容範囲的な? 人体にも影響が少ないとかね? そういうのが好きな人達かもしれないよ?」
「わっはっは。面白い事を考えるのじゃな。そういう考え方も出来るのかもしれんのじゃが、さすがにあのニオイはマズイと思うのじゃ。あれだけ臭ければ、人体に影響がないとは考えられんのじゃ」
「はい、そうです。あの臭さは異常です。あんなニオイがするのなら、いくら美味しい食材で栄養があったとしても、私は食べたくありません」
「そうよね。あのニオイは無いわよね? 私も嫌だわ。あんなニオイが私からするなんて、考えただけでも吐き気がしてくるわ?」
「うん。そうだよね。流石にそれはないか。あのニオイだけでも異常だよね。ははは。俺もあのニオイは勘弁してもらいたいかな。でもそうすると、やっぱり、俺達にとって悪い方に考える事になるんだよね? まさか、そんな事は無いと思いたけどさ」
「ふん。どちらかと言えば、あの風貌から判断すれば、奴らは『黒』なのじゃ。『顔』にはその人の性格が反映されると言うからの。正にその通りの結果になるかもしれんのじゃ。もちろん、まだ決まった訳ではないのじゃが、そう考えて動いた方が良いと思うのじゃ」
「はい。私もミラさんの意見に賛成です。あの風貌は怪しいです。笑い方も気持ち悪かったですし、毒性のあるニオイまで加わっているのですから、もう100%と言っても良いかもしれません」
「うん。そうね。アリーの言う事も一理あるわね。私も2人の意見に賛成だわ。要警戒どろこじゃなくて、もう『黒』とし扱って動いた方が良いと思うわよ?」
「ははは。やっぱりそうなるよね。うん。俺もそう思えてきたよ。『顔』には、その人の為人が出るって言うからね。『人相学』なんて言う分野もあるくらいだから。あながち間違ってはいないのかな。
あの汚い眉毛の形とか、イヤらしい目つき、開けっ放しでだらしがない口元、人相学って言う前の段階でもアウトだよね。少し気を使えばそれなりに整えられる所でも、あれだったからね。思い出すだけでもやれやれだよね。
それにあの体格と笑い声、ニオイ、もう外見じゃあ良い所は無かったんじゃないのかな? 言い過ぎか?」
「わっはっは。その通りなのじゃ。何も間違っておらんのじゃ。人相以前の問題なのじゃ。それでわしらに毒まで使ってくるとはの、もう救いようのない悪人という事でよいのではないかの」
「はい。賛成です。もうギルティです。あの風貌だけでも犯罪です。私達に毒を使って弱らせてから、言う事を聞かせようとしていたのかもしれません。確か、そういう種類の毒もあったはずです」
「そうね。アリーの言う事が正しいのかもしれないわね。確か、『癒やしの薬草』だったわね。傷の回復用にも使われる薬草ね。ただ、特殊な加工をして、更に魔法で調合してやる必要のある薬草なんだけど、戦争なんかでは、その加工方法を変えて、恐怖心を薄めたり、痛みを一時的に柔らげる為に使うって聞いた事があるわ。
確か名前が、『従属薬』だったわね。加工の仕方によっては、怖い使い方もされている『薬』なんだとか。実物は見た事がないから分からないけど、もしかしたらその『薬』を使って、人を弱らせてからコントロールしてるとか? 考えるだけでも怖いわね」
おいおい。そんな『薬』があるのかよ。こっちの世界も怖い世界なんだね。恐怖心をなくしたり、従属させたりできるって、ヤバくない? 普通の健常者には効き難いから、少し毒で弱らせてから使うとか? 2段構えの攻撃か?
少し油断させておいて、ドンっとかね。巧妙なやり方だな。極めて巧みなやり方ね。『匠』を相手にやってくれる。《冷風》 でも、あのニオイでバレると思うけど? 風貌も怪しいし? 権力者だからこそ出来る罠なのか?
ふー。それが『隷属の首輪』に匹敵するようなモノなら、更に問題が大きくなって行くんですけど? あれれ~~?
『奴隷狩り』に加えて、『奴隷作り薬』まで? なんじゃそりゃ! 『薬草』とは言え、『毒』にもできる『薬』なのか。使う人からすれば、有効な効用のある『薬』だけど、使われる方からしたら、正に『毒』でしかない、口にしちゃいけない『薬』だな。
「そんな怖い『薬草』があるんだね。加工の仕方で効用が変わってくるなら、『隷属』させる事も簡単にで出来るのかな? 『従属』よりも、もっと効果の強い『薬』とか?
薬の効果があるうちに、一時的にでも言う事を聞かせておいて、『隷属の首輪』を着けてしまう事も出来るよね? それなら、無力な人でも簡単に出来そうだよね。まあ、『首輪』が手に入ればだけど。
その、『癒やしの薬草』って言うのは、その辺で簡単に採取できる物なのかな?」
「まったくじゃ。なんて怖い使い方を考えるのじゃ。それなら、誰でも簡単に奴隷にされてしまう恐れがあるのじゃ。怖すぎるのじゃ。それが本当の事なら、これは大事になるのじゃ。一層気を引き締めて動かんといかんのじゃ」
「はい。怖過ぎます。でも、その『癒やしの薬草』なら、森で見つける事はできますよ。綺麗な水源のある所では普通に自生してますし、田舎では栽培している所もありました。広く使われている『薬草』です。
でも、そんな怖い使い方ができる『薬』になるなんて知りませんでした。怖いです。これからは、見方が変わってきます」
「そうよね。一般的に広く使われている『薬草』ですからね。どこでも手に入る物に違いはないわ。ただ、その加工の仕方と調合次第って事もあるから、一部の人しか知らない事かもしれないわね。私も知ったのは、両親から少し聞いただけだから、普通の人達には、耳にも入らない事かもしれないわね」
おう。そんなディープな情報までお持ちだったのですね、ご両親? 元気にしてるかな? してるよね。きっと。流石エルフの一家だね。
情報の宝庫、生きる百科事典? 亀の甲より…… ん? 危ない危ない。『マーチル』さんの『瞬冷』のチカラは半端ないからな。これくらいの距離なんか関係ない? 《全身空調》強めとこ。
朝からすっかり空気が重たくなったよね。これも仕方がないけど、調査が必要だ。はあ。これは、やれやれな町での活動になりそうです。




