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中央の町 アシャズの爆買い



「ちょっとあなた! これってどういう事なの? ここじゃ人目があるから、ちょっとこっちに来て」


 おう。リーンさん? 待ち合わせで人の顔を見るなり、第1声がそれですか? いきなり『あなた』呼ばわりですか? ちょっとドキッとしちゃったよ? 流石ツンデレ属性持ち。何を言っても様になる?



「ほう。まだ親にも認めてもらっておらん『暫定妻』の分際で、いきなり街中で、わしの旦那様を『あなた』呼ばわりとはの。なかなかやってくれるのじゃ」


「はい。今のはやられました。まだ『暫定妻』なのに、私の旦那様に向かって、いきなり『あなた』呼ばわりはないです。ちょっと私がドキッとしてしまいました。やってくれました」


 あっ。最恐タッグが怒ってる? アリーまでドキッとさせるとは、流石、本家本元? でも、仲良くなったんじゃないのかな? あれか? ご両親からの了承が得られて無ければ、まだこの2人は『妻』としては認めてないというスタンスなのか?


 それも一理あるのかな? その理論。結婚するって事は、その相手の家とも繋がるって事だ。家族になるんだからね。元々の家族の了承が無ければ、正式には結婚は認められた事にはならないと。うん。2人とも深いね。正しいのかも。


 でも知らないよ? 俺は悪くないからね。折角、昨日は色々あって落ち着いてくれたのに。また炎を灯しちゃダメだよね?



「え、え? ちょっと、2人とも。違うわよ。今のはそういう意味で言ったんじゃないから、勘違いしないで。ごめんなさい。そんなに怒らないで。悪気はなかったの!」


 あれ? もう白旗ですか? リーンさん? どうしたの? らしくない?


「ミラ、アリー、ちょっと落ち着いて。何か事情があるみたいだから、リーンの話を聞いてからにしようか」


「あい、分かったのじゃ。まあ、『あなた』と言っても、普通の呼び方ではあるからの。少し気を張り過ぎていたのかもしれんのじゃ。悪かったの、リーンよ」


「はい。そうでした。よく考えたら『あなた』って、普通の呼び方です。えへへ。ごめんなさい。リーンさん」


「ま、まあいいわ。分かってくれたなら良いわよ。ミラもアリーも、ごめんなさい。突然私が変な呼び方したのも悪かったわ。


 それより、この『誓いの指輪』、アイテムボックスになってるじゃないの! 『認証の指輪』って何なのよ! 変な名前が付いてるし。しかも、容量も『0/40』ってなってるわ。


 これ、幾らすると思ってるの? いきなりこんなの渡してくるなんて、あなたが本気なのはよく分かったけど、びっくりしちゃったじゃない!


 母さんにもびっくりされたわよ。どんな相手なのよってね。もう! 嬉しい事してくれるじゃない。流石、私の旦那様になる人だわ。ふふふっ」



 あれれ~~? 指輪の説明してなかったっけ? うーん。覚えてないな。まさか、それって、『スペード』のナンバー『10』が着けてた指輪だったなんて、言わない方が良いのかな? 


 実は、元軍人の戦闘マニアのムキムキ戦士で、防衛団団長のランバールさんと闘って、壮絶な最期を迎えたって。しかも死因は、拷問器具に串刺しになったのだって。


 おう。自分で言っておいて何だけど、それは言わない方が良いよね。俺は間違ってないはずだ。モノには悪意はないからね。呪われてもないから、普通に使える便利グッズだし? 有効活用しない方が勿体ないんだよ?



「何を言っておるのじゃ、リーンよ。その指輪は、元『スペード』の持っておった物なのじゃ。誰の物かは覚えておらんのじゃが、わしのもアリーのも、出所は同じじゃぞ?」


「はい。容量の違いはありますけど、みんな元『スペード』が着けてた指輪です。旦那様が、私達それぞれに似合う色の指輪を選んで着けてくれたんです。えへへ」


 おう。ヤッパリそうなったか。そんな気がしてたんだよね。2人とも嘘はつけないし、隠し事なんてする気もなさそうたしね。あはは。


 ま、人を傷つけるような悪意のあるウソはいけないけど、誰も傷つかないような、思い遣りのある嘘なら、どうなのかな? うん。まあ、死因までは言う必要もないからね。


 そんな事言ったらミラの指輪だって、無気力で、『即死判定』で苦しんで死んだ奴のだし。アリーの指輪だって、拳銃マニアで、俺が頭を吹き飛ばした奴のなんだよね。あはははは。


 うん。それ以上掘り下げるのは止めとこう。『土魔法の匠』は、掘り下げる加減を分かっているのであります。



「え? そうだったの? まあ、それは良いんだけど。何にしても、買ったらそれなりに高い物なのは間違いないでしょ? それでびっくりして、一言言いたかったのよ」


 えー。まあ、それは良いんだけどって、良いんだ。出所なんて気にしないんだね。うん。間違ってないね。皆さんたくましいね? あはは。


「うん。そうなんだ。そりゃあ、いきなり指輪がアイテムボックスだったら、びっくりしちゃうかな? 事前に言ってなかったみたいだね。驚かせて悪かったよ。リーン。ごめんね。


 でも、それは『報酬』として俺が受けとった物だから、値段とかも気にしなくて良いからね。


 ミラとアリーにも言ってあるけど、『家族』に対する考え方として、共有出来る物とかは共有した方が良いと思うんだ。お互いに便利になるし、変に気を使わなくても大丈夫でしょ?


 俺の物はミラやアリーの物。ミラやアリーの物は俺の物。俺達の物は俺達みんなの物。そんな感覚で良いと思ってるんだよね。だから、リーンもここに入るつもりなら、そう言う意識でいて欲しいかな」


「……も、もう『家族』って言ってくれるのね。あ、ありがとう? あなた達の考え方は分かったし、ミラやアリーからも聞いてたけど、凄く素敵な考え方だと思うわ。私もその中に入れてもらえるなんて、凄く嬉しいわ。感謝してるのよ? ふふふ」


 おう。変則バージョンもあるのか? 感謝してよね? じゃなくて、感謝してるのよ? ですとぉ。自分に向けても『ツンデレ属性』を発動させるとは、流石、二つ名持ち。『ツンデレリーン』だ。



「まあ、旦那様がリーンを家族として迎え入れるつもりなのは良いのじゃが、まだリーンの両親には、結婚を認めてもらっておらんのじゃ。


 リーンの家族の了承が得られるまでは、『暫定妻』に変わりはないのじゃ。まだ、油断はするでないのじゃぞ? 何があるか分からんからの。それが世の常なのじゃ」


「はい。旦那様がリーンさんを家族として迎えるのは良いと思いますが、リーンさんの家族から結婚を認めてもらうまでは、『暫定妻』のままです。油断は禁物です」


 おう。やっぱりそうだった。2人なりの線引きだ。別に仲良くないって訳でもない。迎え入れるつもりはあるけど、リーンの両親から結婚を認めてもらうまでは『暫定妻』。これは譲れないって事だな。よく分かっていらっしゃる? これもこっちの世界の常識か? あっちの世界でも常識だわな? はは。



「勿論分かってるわよ。私だって挨拶はしっかり済ませたいわよ? それが済むまでは『暫定妻』って事でも構わないけど、今日の夕食会までの話よね?


 それに、私の両親も別に反対なんかしてないわよ? もう話はしてあるし、その辺の所も確認済みなんですからね。感謝しなさいよ?」


 照れながら言う『感謝しなさいよ?』って、凄いね。うん。凄い攻撃力だ。口撃力ね。いつになったら慣れるのかな、オイラ?



「そっか。一応両親には確認済みなんだね。ありがとう、リーン。ちょっと安心したよ。ご両親に挨拶するなんて、俺にとっては初めての事だからね。嬉しいよ。はは」


「おお。それなら、リーンの1番は『両親へのご挨拶』という事でも良いかもしれんのじゃ」


「えっと、ミラさん? 折角『今後1番長く想い続けられる人』って言う、素敵なリーンさんの1番が決まっているのに、それはちょっと、どうなんでしょう」


「そ、そうよ。そんな1番なんて、私は嫌よ? 『両親へのご挨拶』なんて、私が主役じゃないじゃない。『今後1番長く想い続けられる人』の方が、私らしくて素敵だわ。ねえ、アリー」


「はい。その方がリーンさんらしくて素敵だと思います。ミラさんの冗談だと思います。何か旦那様に似てきたかもしれません」


「わっはっはっ。すまんのじゃ。旦那様が、昨日から緊張しておったからの。少し気持ちを(ほぐ)すつもりで言っただけなのじゃ。それなのに、旦那様に似てきたとな? そっちの方が嬉しいかもしれんのじゃ。わしもドキッとしたのじゃ。ふふふ」


「あー。やっぱりワザとだったんだ。もう。ミラったら、そんな冗談はやめてよね? 私までドキッとしちゃったじゃないの」


「えへへ。やっぱりそうでした。ミラさんの冗談でした」


「わっはっはっ。すまんのじゃ、すまんのじゃ」


「もう! ははは」「わっはっはっ」「えへへ」



 秋の空と何とやらは変わりやすい。うん。女心は難しい? コロコロころころと、大概にしとかな、いかんよ? ついて行けん!


 でも、皆してドキッとしたりして、仲が良いんだよね? 俺もドキッとしちゃったし?



  * *



 俺、ミラ、アリー、リーンの4人による、お買い物と言う名の爆買いは続いた。そう。リーンが加わった事により、お店選びも、買い物のスピードも効率的になった。流石ジモッティ、ジモティーか? この町で生まれ育っただけの事はある?


 ツンデレ属性のはずのリーンは、実は買い物好きな女の子? いつもの属性どこいった? 溶けちゃうの? 『氷結のリーン』改め、『爆買いのリーン』? 


 リーンの教育と言う名の意気投合を終えている3人は、正に一塊となって店から店を飛び回る? 食べ物意外に興味はないと思っていたミラ、買い物自体にそれ程興味もないように思えたアリー、俺の勘違い?


 うん。思い違いだったみたいだね。楽しそうに、嬉しそうに買い物を続ける3人。俺を入れれば4人? 一応、所々で気を使ってくれて、どっちが良い? なんて聞いてくるけどさ。


 それって、既に正解は決まってる究極の選択ってヤツだよね? こちらから言わせれば、冷や汗ものの質問なんだよね。止めてよね? 今日は皆居るから助かるけどさ。


 両方似合うと思うけど、今の雰囲気なら、こっちかな? 両方似合うと思うけど、ミラには、こっちかな? アリーはどう思う? それも良いと思うけど、こんなのもあったよ。これなんてどう? えー、難しいなぁ。この際両方買っちゃうか? こっちは、気分を上げたい時用? それでこっちは、冷静に過ごしたい時用? それは俺には難しい質問だね。リーン先生、ジャッジをお願いします。なんてやったりしてね?



 おう。みんな笑顔が眩しいよ? その笑顔はプライスレス! グッジョブだ! いいね、いいよ、まだ買うの? パトラッシュぅ、オイラ、疲れたよぉ。助けてーー! じっちゃん!


 流石、名探偵の諸君、買い物袋は、いつも1つ! なんてならないね。皆アイテムボックス持ってるし? ふー。



 ベッド、テーブル、イス、棚などの家具は、明後日の受け取りに。今後の事を考えて、きっと必要になるであろうと思う、俺が欲しい分の数が足りなくてね。こんな時でもないと買えないし? こんな買い方できないし?


 足りない分は今から作成しても間に合うそうだ。流石アシャズだね。職人さんも多いし、即行の町だけに。



■『フラナガン・マネー』の使い道■

 アシャズ滞在中に支払った『フラナガン・マネー』


■『10万フラナガン・マネー』     100枚

   項目             枚数

・ビール、ワイン代金        15

・酒造りの設備一式     ×4   50

・前払い材料費           10

・当面の運転資金          10

・ジャンタケプレス作成依頼     10

・テーブル 特大      ×5   5

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 『10万フラナガン・マネー』   残 0枚



■『1万フラナガン・マネー』    1000枚

   項目             枚数

・ミラとアリーが使った食料費     3

・飲食代金(お土産代含む)      8

・『誓いの儀式』依頼料2組分     2

・滞在中の飲食代           3

・追加の食料費            15

・キングサイズベッド一式  ×2   100

・ダブルサイズベッド一式  ×2   50

・シングルサイズベッド一式 ×5   50

・テーブル 小       ×5   25

・イス           ×30   30

・棚 大・中・小      ×5ずつ 80  

              (50・20・10)  

・住居用の扉一式      ×100  300

・食器類一式        ×10   50

・服代 俺              30

・服代 ミラ、アリー、リーン    180

・パブロ達へのお土産用 服等     74

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 『1万フラナガン・マネー』    残 0枚



  * *



 ふー。さてさて、いよいよ今日の本番か? 心身共に疲れ切ったオイラだよ? 更に気疲れしちゃうのか? 女性陣はまだまだ元気ハツラツ? 飲んでるの? オロナミンなCのやつ?


 そのままの勢いで行っちゃうつもりだね。やるね。リーンの両親の事なんて、全然気にしてないみたいだし? もう自分達の家族として認定してるのか? やけにリラックスしてるよね?


 これが女性のチカラ? 男のオイラには理解できない感性なのかもしれないね。はぁ。 



  *



 なんて事思ってたのは、何だったんでしょうか。オイラ、やっぱりただのデリケートなお兄さん? 役立たず? チキン? もう許して下さい。ちゅん!



 少し緊張してたオイラにも、特に気を使うでもなく、いつも通りに接してくれてるみたいだね? うん。すっごい、うえるかむ? ウェルカム! ようこそって感じの満面の笑みで迎えられました。ありがとう?



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