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疑惑 2 『フラグ』



 あの後、薄い炎に包まれたかのように見える2人から、『シスター』関する事を問い詰められた。俺ってば、いったい何なのさ? こんな酷い仕打ちを受けるもの? モテ期だー! って調子に乗ってたのがいけなかったのか? はあ。疲れたよ。


 久しぶりの、パトラッシュ~、オイラ疲れたよぉ。何だかとても眠いんだぁ。でも、寝かせてくれないよぉ。どうしよう?



「シスターの名前は、『セシリア・ファイルド』。天然な所もあったドジっ子キャラ?


 俺の記憶では、外国語も話せる『リーレイの町』の早口チャンピオンで、人の幸福を心から想っている人。朝日を浴びての笑顔が眩しかったって印象かな?


 それと、いつも楽しそうにしてたかな? あ、でも、何かの病気持ちだったかもしれないよ? 背中を向けて何か苦しそうにしてたのかな? ブツブツ言いながら、耳を赤くしてたから。


 でも、やっぱりシスターさんだからね。言動に優しさがある人だったのは確かだね。うん。それくらいかな?」



「ぐっ。わしからすれば、この『シスター』の方が怪しく思えるのじゃが、言っても『シスター』じゃからの。こちらからその教会に行かなければ、ま(・)さ(・)か(・)会う事もないじゃろうし、『疑惑』とまでは言えん可能性もあるのじゃ。まあ、この『シスター』の事は、放っておいても大丈夫じゃろうの。良かったのじゃ。ふふふ」


「はい。私もそう思います。さっきの『エコー』ちゃんよりも、こっちの『シスター』さんの方が怪しいと思いますけど、ミラさんの言うように、言っても『シスター』ですからね。こちらから、その教会に行かなければ、ま(・)さ(・)か(・)なんて事もないでしょうし、私も、放っておいても大丈夫だと思います。良かったです。えへへ」



 えー。何それ? 怪しいって? 何が? そう言うのって、『フラグ』になったりするんだよ? 俺は悪くないからね? 『フラグ』を立てたのは、あなた達だよ? 知らないよ?


「ミラ、アリー、そう言うのは、『フラグ』になるからね? 『まさか』とかって、あまり話さない方が良いと思うよ? まあ確かに、リーレイの町の教会で『シスター』やってるはずだから、よ(・)っ(・)ぽ(・)ど(・)大丈夫だと思うけど、世の中何が起こるか分からないって言うのが世の常なんだよ? だから、気を付けようね?」


「ぐっ。『まさか』がまさか、『フラグ』になるとはの。タビトの方こそ、それが『フラグ』になるのじゃぞ? おぬしが言ってしまったら、それは『フラグ』になるのではないのかの?


 それに、その『よっぽど』も『フラグ』ではないのかの? はあ、やってしまったのじゃ。わしは知らんのじゃ。せっかく『疑惑者』が1人居なくなったと思ったのじゃが、やれやれなのじゃ。はぁ」


「はい。タビトさんが言っちゃったら、それは『フラグ』になる可能が高くなります。これは正に、『まさか』な『よっぽど』の展開があるかもしれません。はあ。やってしまいましたね。これでは、『疑惑』のある候補者を放っておけなくなりました。その『シスター』は『疑惑持ち』です。はあ」



 ぐっはー。そうくるか。2人とも、やるね。この短期間で使いこなしてるじゃないか、『フラグ』の扱いを。よくぞここまで。しかも、『疑惑持ち』なんて言葉まで作ってしまうとは。もう俺を超えてるな? オイラは嬉しいよ? 鳴いちゃうか?


 いや、止めとこう。2人とも、グッジョブだ! いや、グッジョブか? 『セシリア』さん、何かごめんね?



「えー。そんな事言っちゃったら、余計にヤバいよね? こうやって、この話しを続けてる事自体もヤバいのに。はあ、大丈夫かなぁ。知らないよ?


 一応覚悟はしておいてよね。俺も含めて、何が起こるか分からないからさ。それが、『フラグ』。立てるも折るも、天の神様の気分次第? 流れに乗るか、逆らうか?


 まあ、でも俺は、ミラとアリーが、いつも笑顔で一緒に居てくれる事が1番嬉しいからね。そんな顔してないで、笑って欲しいかな。あはははは」



「ふむ。まあ、その通りなのじゃ。もう『フラグ』を弄(いじ)るのは止めるのじゃ。わしらの笑顔が1番か、さすが旦那様じゃ。良い事を言うのじゃ。ふふふ。じゃから好きなのじゃ!」 ガバッ!


「はい! 私もそう思うので、もう『フラグ』を弄るのは止めにします。私も、笑顔が1番だと思います。そんな旦那様も大好きです!」 ガバッ!


「おっと。2人とも、もう少し弱めにお願いね? 俺も《身体強化》させてるけど、2人の〈身体強化〉も結構強力だからね? 支えられなくなるのも格好悪いから、これからは弱めでよろしく頼んだよ?」


「あい、分かったのじゃ。これからは、もう少し優しく抱き付くのじゃ。ふふふ」 ギュッ


「はい! 分かりました。これからは、もう少し優しく抱き付きます! えへへ」 ギュッ


「うん。よろしくね。ありがとう?」


 よしよし、よしよし


 サラサラ もふもふ


 あー。良いね。この撫で心地。2人とも、グッジョブだ! いや、俺がグッジョブか?



  *


 俺は、なんとか落ち着いた2人から抜け出して、お風呂へGO!


 俺が風呂に入っいる間も、ミラとアリーは、その『疑惑者出現問題』について話し合ったていたらしく、めでたく? 無事に? 『エコー』と『シスター、セシリア・ファイルド』については、『疑惑持ち』認定。更に進んで、こう決まったらしい。


『エコー』の1番は、あくまでも可能性として、『最初に頭を撫でられた人』か『最初に名付けられた人』。


『シスター、セシリア・ファイルド』も、あくまでも可能性として、『最初の運命の出会い』か『最初に惚れた人』。


 あくまでも、俺からの話だけだからね。想像だけで、そこまで考える? その順番とか、相手の気持ちとか、変に考え過ぎだと思うんだけどね。この2人、『名探偵』の看板背負ってるからね。手強いんだよね。こういう『勘』ってやつ? シックスセンス? オンナの勘は恐ろしい?


 はっ! 風呂に入っているのに、ヒヤッとするなんて。まさか、リーンの氷結が? いや、こんな所まで届くはずがない。


 これは、ミラとアリーの仕業だな? 2人のタッグは、ここまでやれるようになったのか? 正に、最恐タッグ。恐れるモノなど何もない? はうっ! 冷たぁっ!



 結局、俺の『フラナガン・マネー』の『金遣い』問題は? どうなった?


 金遣いも、やってきた事も規格外、まだ知らない、気付いていない『疑惑者』や『候補者』が居るかもしれないから、今後も要注意? まとめて『疑惑持ち』って事にするって? はあ。


 金遣い? そんなの大した問題じゃない。最低限の暮らしでも、継続して楽しく生活できるなら、自分で稼いだお金をどう使おうと文句はない。ご自由に? へー。


 え、何それ。だったら、こんな話にまでならなかったって事じゃないの? あれれ~~? それもこれも、リーンの『暫定妻』問題から始まってたからね。くっそー。明日が思いやられるぜ? ふー。



  * *



「じゃあ、もう寝るよ? 明日も色々予定があるからね。朝からリーンと合流して、みんなで買い物に行くんでしょ。


 そこで服とか家具とか見に行って、気に入った物があったら『フラナガン・マネー』を使ってどんどん買っちゃって、夕方にはリーンのお家に行って、食事会という名の、リーンの両親に結婚の挨拶をするっていう一大イベントも待ってるからね。結構忙しくなると思うんだよね」


 あっ、挨拶で思い出した。オイラ、服装は? お土産の準備は? どうしよう?


 予めリーンからは、いつもの俺を見てもらいたいから、服装は普段着で、食事は、皆で普段の夕食をするだけだから、変に気を使わずに、手土産も要らないって言われてたけど、どうなんだろ?


 やっぱり、何かしらの準備はするべきか? これも一般常識だからな。俺の常識? こっちの世界の常識? エルフの常識? リーンの家族の常識か? うーん、悩ましい。


 ミラとアリーの2人に聞いても、気を使い過ぎだとしか言ってくれないし。2人ともいつもの格好で行くらしい? 一張羅なんて持ってないし、何なら明日、買っちゃうか?


 まあ、そういう事にしておくか。流石に、もう疲れたからね。いい加減に、もう寝たい。


 パトラッシュ~、オイラ、本当に疲れたんだよぉ。何だかとても眠いんだぁ。だから、こんな時こそ〈光闇魔力循環の癒やし〉。目を瞑って発動させれば、あっという間にそこは天国なんだよぉ? 皆で仲良く眠っちゃうよぉ? 裸の天使の皆さんは、迎えに来てくれないけどね?



「じゃあ、まずはミラからね」


《光闇魔力循環の癒やし》

「あい、よろしくお願いするのじゃ。

 んっ、…………


 あぁ。やっぱり気持ちが良いのじゃぁ、全身を優しい魔力が暖かく包んでくれるのじゃぁ


 ふ~~

 この魔法は、良い魔法なのじゃぁ、このまま眠るのが1番なのじゃ、ふふふ、お先に、おやすみなのじゃぁ………… すー」



「おやすみ、ミラ」 おでこに、ちゅっ


「じゃあ、次はアリーね」


《光闇魔力循環の癒やし》

「はい。お願いします。

 ん、…………


 はぁ~~。やっぱり気持ちが良いですぅ~

 暖かくて優しい魔力です。疲れも抜けていって、心も穏やかに落ち着いてきます。えへへ


 この魔法は、良い魔法ですぅ、私もお先に、おやすみなさぃ………… すー」



「おやすみ、アリー。ふふふ」 おでこに、ちゅっ



 よしよし、よしよし サラサラ もふもふ


 本当、この魔法は凄いよね。一撃入眠魔法だよ? 心と体も癒されて、目覚めすっきり回復も万全だよ? やったね、俺。明日は大丈夫かな? うん。違った。明日はホームランだ!


「よし。俺も寝よ」《光闇魔力循環の癒やし》


「ん、……。やっぱり声は、まだ抑えられないな。


 まあ、いいや。本当に気持ち良いんだよなぁ、あぁ、やっぱりこのまま眠るのが1番だぁ、……パトラッシュぅ………… くー」




  * * *



 ちゅん、ちゅん、ちゅん


 ちゅん、ちゅん、ちゅん



「おっ。今日も良い鳴き声だね。

 おはよう。ちゅんちゅん鳥達。今日もありがとう」


 ちゅん、ちゅん、ちゅん 『コクコクコク』


 ふふふ。コクコクと首を縦に振りながらの挨拶鳴きか。やるね。グッジョブだ! 


「よし。今日も、『ジャンタケ』食べるか? それとも、新作の仮名『ジャンビー姿焼き』を試してみるか? 試食用だから、少ししかないけど、どっちが好きか教えてもらえるかな?」


『コテン』 …… ちゅん! 『コク』


「おお。試してみるのか。よし。じゃあ、両方食べてみて、好きな方に移動してもらえるかな?」


『コクコク』


 おお。コイツら、やっぱり頭が良いな。ここまで理解できるのか。もうこれで、俺がちゅん鳥の鳴き声を理解できれば、ペットの域とか超えてない? まあ、難しいとは思うけど。


 チョコチョコ啄(ついば)む姿も可愛いな。ははは。まあ、ゆっくり食べると良いよ。



「おはようございます。旦那様。今日も、私よりも早起きです。昨日もよく眠れました。もうグッスリで、スッキリです! えへへ」


「おはよう。アリー。良かったね。グッスリ眠れるのも1番だからね。あはは」


「おはようなのじゃ。今日も早起きなのじゃな。おお。もう、ちゅんちゅん鳥達に餌をやっておるのかの」


「うん。おはよう、ミラ。昨日言ってた、仮名『ジャンビー姿焼き』を試してもらっているんだ。ミラもアリーも、結局昨日は食べなかったでしょ。だから、早起きの『ちゅん鳥』達に、今までの『ジャンタケ』とどっちが好きか、試食してもらってる所だよ。ミラもアリーも、一緒に試してみる?」


「おお。勿論試してみるのじゃ。昨日は、本当は食べてみたかったのじゃが、それよりも大切な問題があったのじゃ。仕方がなかったのじゃ」


「はい! 私も、食べてみたいです。昨日も気になってたんですが、それよりも大切な問題がありましたからね。仕方なかったです。えへへ」


「う、うん。そっか。じゃあ、これどうぞ。試食用だから、もうこれしかないからね。はい」



 結局、昨日は2人とも試食しなかったからね。夜も遅くなっちゃったし、ミラの食欲以上に気になる話だったという事だよね。『疑惑持ち』問題ってば。あはは。



【仮名『ジャンビー姿焼き』の試食結果】


 ミラ、アリーは、両方あり。凄く美味しいと思う。また、癖になる食べ物を作り出してしまった。在れば在るだけ食べてしまうので、管理をしっかりしないとマズいらしい。あ、味は美味しいんだよ? また言ってるね?


 食事の1品として食べるなら、既存の『ジャンタケ』、間食するのに丁度良いのは、新作の仮名『ジャンビー姿焼き』の方かな。という事らしい。


 ちゅんちゅん鳥達は、2対2に分かれた。どれがどれだか分からないけど、まあ、好みに違いがあったという事だ。うん。それだけでも新発見? 他にも色々食べてるみたいだから、こっちがジャンボシイタケに拘る必要もないのかな。


 仮名『ジャンビー姿焼き』。押し潰しちゃえば、『傘』も『柄』もカリッカリになるからね。この食感は、素焼きとは違った楽しみの1つだね。



 さてと、朝の支度をしましょうか。


『エコー』と『シスターのセシリア・ファイルド』さんか。まあ、エコーは子供だから、あれだけど、シスターの方は、どうだったかな? それなりにおっとり系? 意識して見てなかったからなぁ。可愛いかったっけ? 


 ドジっ子キャラのシスターってどうなのさ。頭の回転は早くて、できる人って感じもしたけど、やっぱりあれか、印象が、『リーレイの町』の早口チャンピオンだからなぁ。笑顔は眩しかったけど、うーん。おっと。何かヒンヤリしたか? 気のせいか?



「そうだったのじゃ。危なかったのじゃ。今日も夢を覚えておったのじゃ。話すのを忘れてしまう所じゃったのじゃ。ふー。


 昨日はまた、アリーと一緒に森の中で食材の採取をしておったのじゃが、何と、ジャンボシイタケの群生地を見つけたのじゃ。もう嬉しくなってしまっての。アリーと一緒に沢山採取するという夢だったのじゃ。ふっふっふ。


 どうじゃ。こうやって話していけば、段々夢も鮮明に思い出せるのじゃろう? また明日も報告する事にするのじゃ。どんな夢になっていくのか、今から楽しみじゃ」


「えー。ミラさんが羨ましいです。私は、何も覚えていないみたいです。残念です。でも、ミラさんの夢に、私も登場できたのなら良かったです。なんか夢でも一緒に採取してるなんて、嬉しくなっちゃいます。えへへ」



「そっか。また食材の採取をしてたって所が、ミラらしいよね。ふふふ。しかも、ジャンボシイタケの群生地を見つけたって言うのなら、それは、ミラにとっても凄く嬉しい事なんだから、良い夢だったって事だよね? これからどうなっていくのか、俺も楽しみにしてるからね。また報告よろしくね」


「あい、任せておくのじゃ。今日も寝るのが楽しみなのじゃ」


「私も、明日こそは嬉しくなるような夢が見られるように、頑張って寝る事にします」


「ははは。寝るのに頑張っちゃったら、興奮して大人しく眠れないんじゃないのかな? ふふふ」


「アリーは面白い事を言うのじゃ。寝るのに頑張ったら、良い夢は見れんのじゃ。大人し眠るのが1番なのじゃ。わっはっはっ」


「あー。そうでした? えへへ」



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