表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/84

朝から何やってんの?



 ちゅん、ちゅん、ちゅん

 ちゅん、ちゅん、ちゅん



 おっ。今日は2羽いるな。(つが)いかな? 見分けは付かないけど、仲が良さそうに鳴いてるね。


 爽やかな朝。ほのぼの雰囲気も良いものだ。


「おはよう。今日も爽やかな朝の合図をありがとう」


 ちゅん、ちゅん、ちゅん

 ちゅん、ちゅん、ちゅん


 返事をしてくれたみたいに、2羽で仲良く鳴いてくれてるね。言葉が分かるのかな? ふふふ。まさかね。そうだと良いかもね。俺には何て言ってるのか分からないけど、感謝の気持ちが伝わればいいんだよ。


「よし。じゃあ、今日もジャンボシイタケ食べるかな? 2つ置いておくからね。仲良く食べるんだよ? ははは」


 昨日来たのと同じ『ちゅんちゅん鳥』かも分からないけど、同じかもしれないし? もしかしたら、コレが欲しくて鳴いてたか?


 ちゅんちゅん鳥さえも(とりこ)にしてしまうジャンボシイタケ、略して『ジャンタケ』。うん。やっぱりコレは、良いモノだ。




「おはよう。ミラ、アリー。ふふふ。今日も良い笑顔だね」


「おはようなのじゃ。ぐっすり眠れたからの。今日も1日、笑顔で過ごすのじゃ。おぬしの方こそ良い笑顔じゃぞ。よく眠れたみたいじゃの」


「おはようございます。タビトさん。私もぐっすりでしたから、また1日、笑顔で過ごします。えへへ」


「そうか。みんな笑顔が良いよね。じゃあ、今日も1日よろしくね」



 勿論、俺は1人部屋。ミラとアリーは2人部屋。念の為に、いつもの防御壁も忘れずに設置した。勿論宿の主人の了解ももらったから、なんの問題もない。俺が少し早起きして回収すればいいだけの話だ。


 1度安心出来る防衛手段を構えると、なかなか止められそうにないんだな。闇の組織『カーズ』、奴隷狩りの実行部隊の『スペード』、もしかしたら本当に居るかもしれない『ジョーカー』の存在。


 最強のチート持ちで制裁を加える執行部隊。真偽不明の存在だ。その制裁が、仲間内だけに向かうのか、それとも敵対勢力に対しても向かうのか。


 どんな能力があってもおかしくない。ここは魔法の在る世界。俺達が真っ先に狙われるなんて事は無いと思いたいが、警戒しておいても損はない。やれる事はやっておきたいタイプです。

『ネオタイプ』。人はそう呼ぶ。そう、俺が気に入って呼んでるだけだけど?



 朝食後、俺はお仕事で『北の衛兵待機所』へ。ミラとアリーは芝刈りへ。いや。訓練と検証、お肉の調達を兼ねた狩をしに森へ向かう事になっている。一石三鳥の三重殺ね。


 そういう流れになってきた。うん。早くもそう言うルーティンが出来てきた。これはこれで良い感じ? それぞれにやる事がある。やるべき事を見つけて実行する。そして、その行動が次にも繋がっている。お肉の確保も出来るしね。


 有り難い事に、お金が貯まっていく一方だ。勿論それなりに使ってはいるけれど、ほぼ食費。しかも、それよりも多くの収入があるものだから、貯まってしまうと言う事だ。


 これを運用出来たら良いんだけど、俺達は今、仕事をしながら旅してるから、そんな所まで気が回らないし、出来たとしてもやらないかもね。


 だってしょうがないじゃないかぁ。どこに投資する? 誰に金を掛ける? いや賭ける?

 大好きなビールの製造を始めようとすれば、スッゴいお金が掛かると思うから、今は貯蓄中? その時が来たら、一気にぶち込んでやるのです。ふふふ。待っててね? ドワーフさん?



 森へ行く準備を終えたミラとアリーに聞いてみた。


「前から気になってたんだけど、アリーはアイテムボックスとか持ってるの? ミラは前に持ってるって聞いてたから知ってるけど、アリーの荷物とかはどうしてるの? 今更だけどさ」


「私ですか? 私はアイテムボックスなんて高価な物、持っていません。元々荷物なんて、着替えくらいしか在りませんから、いつものこのリュック1つで十分です。狩りの後の獲物の回収は、全部ミラさんにお願いしています」


「おお。そうじゃったの。アリーは、まだアイテムボックスを持っておらんのじゃ。荷物もほとんど無いからの。

 食材なんかは、ほとんどおぬしが収納しておるし、わしも、もちろん食料は収納しておるのじゃが、まだ余裕はあるのじゃ。今の所問題はないと思うのじゃが、あの指輪かの?」


「うん。よく分かったね。流石ミラだ。名探偵。察しがよくて助かるよ。今回、また2つも増えちゃったから、アリーに1つ渡しておこうかなと思ってね。便利だし、これがあった方が何かと助かるでしょ?」


「当たり前なのじゃ。おぬしの考えそうな事くらい、正妻のわしから見ればすぐに分かるのじゃ。わっはっはっ」


 そこは正妻は関係者ないと思うけど、ここは《スルー》するのが漢だね? よく理解してくれてるって事で喜んでいいのかな?


「えっ? アイテムボックスをいただけるのですか? 私、そんな高価な物はいただけません。それはタビトさんが使って下さい」


「まあ、確かに買ったらそれなりの金額はすると思うけど、使わないのも勿体ないよね? まだ在るし? それに、俺の物は俺の物。アリーの物はアリーの物だからね。当たり前だけど。


 俺達はもう家族なんだから、共有出来る物とかは共有した方が良いと思うんだ。お互いに便利になるし、変に気を遣わなくても大丈夫でしょ?


 俺の物はアリーの物。アリーの物は俺の物。勿論ミラもね。俺達の物は俺達みんなの物。そんな感覚で良いんじゃないかな?」



「おお! おぬし、『俺達はもう家族』と言ったのじゃ! 『家族みたいなモン』でなく、『もう家族』とな!


『一生付いて来て欲しい』『運命の人だ』宣言から、今度は『もう家族』宣言なのじゃ! これはまた、朝から嬉しい事を言ってくれるのじゃ!」 ガバッ


 ちょ、ちょっとミラさんや。まだ部屋の中だから良いけどさ。ちょっと恥ずかしいよ? 俺が話した事を、そんな宣言として認識されてたの? あらまあ。俺も嬉しいよ? うん。ありがとう。 ギュッ



「そ、そう言う事でしたら、喜んでいただきます。いえ、喜んで使わせていただきます! 私達、『もう家族』ですから! 家族なら、共有するのは当たり前です。私の物は、何でももらって下さい!」 ガバッ


 ちょっと、アリーさんや。『私の物は、何でももらって下さい』ってどういう意味なのかな? うーん。深い意味はないんだよね? 流石に個人の私物までは共有しないけど、共有出来る物はした方が良いのは確かだからね。うん。そう言う事だろう。


 喜んでくれて、俺も嬉しいよ。アリー。 ギュッ



「2人ともありがとう。これからもよろしくね」


「もちろんなのじゃ。こちらこそ、末永くよろしく頼むのじゃ!」 ギュッ


「はい! また嬉し過ぎて涙が出てきました。えーん。不束者ですが、幾久しくよろしくお願いします」 ギュッ


 よしよし、よしよし。


 サラサラ、もふもふ。


「うん。よろしくね」


 サラサラ、もふもふ




「うん。やっぱりアリーには『赤』や『青』よりは、『緑』の方が似合うかな? 収納出来る最大数は『20』で、1番少なくなっちゃうけど、穏やかで優しい笑顔のアリーには、コッチの色の方が似合うから、この『緑の指輪』でどうかな? 俺が見てしっくりくる色が『緑』かな」


「はい! ありがとうございます。私も、その中なら『緑』がいいなぁと思いました。それに、お2人が居ますから、私のアイテムボックスには、収納数はそんなに必要じゃないと思います。タビトさんも選んでくれた、この緑の指輪を大切に使いたいと思います。えへへ」


「うん。喜んでくれて嬉しいよ。じゃあ、この緑の指輪をアリーには使って欲しいかな。俺からのプレゼントって形にはなるけど、これも、俺達みんなの物だからね。遠慮せずに使って欲しいかな。ははは


 ミラは、指輪は要らないんだよね? 前に、邪魔になるから指輪は要らないって言ってたし。もしミラが着けるなら、火魔法を連想させる『赤の指輪』が似合うと思うんだけど、どうする?」


「おお。わしには『赤』が似合うのじゃな。確かに、赤はわしの得意な火魔法を連想させる色じゃからな。わっはっはっ。 覚えておくのじゃ。


 じゃが、わしには指輪は必要ないのじゃ。アイテムボックスは持っておるしの。戦いに邪魔になる指輪を着ける気にもなれんのじゃ。じゃから、その気持ちだけ受け取っておく事にするのじゃ」


「分かった。じゃあ、今回はアリーだけに渡しておくね。アリー。着けてあげるから手を出して」


「は、はいっ! よろしくお願いします!」


「えっと、どっちの手が良いのかな? 利き手? それとも逆の左手?」


「あ、えっと、出来れば、左手のく、薬指にお願いします!」


「うん。分かった。左手の薬指だね」


 んと、こっちの世界でも、指輪を薬指に着けるって意味は一緒かな? 今更どうこう思う所はないけどさ、なんか緊張するね。この瞬間? ミラも、なんか息を呑んでガン見してるし。



「ん。…………はい。これでよし。どう? 似合ってると思うけど?」


 流石、魔法の在る世界の指輪だよね。サイズの自動調整機能付き。着ける時にもたつく事もないし、サプライズ演出してもサイズを気にする必要もない。なんて便利な機能ざましょうか。


 あっ。〈エフェクト〉入れるの忘れてた。感動的にピカッと、こうねぇ? 何かやれば良かったな。うん。俺とした事が。いや、俺だからか? やれやれだ。


「はい! 凄く良いです! タビトさんに指輪をはめてもらえました! えーん。嬉しいです。これで私も、正式に『2番目』って事になれました! えへへ。えーん」


「おお。そうじゃの。これでアリーは、正式に『2番目』という事になるのじゃな。


 と言う事は、あれじゃな。わしにも1度、指輪をはめてもらわんといかんのじゃ。どうせ邪魔になるから、すぐに返すからの。形だけでもやっておくのじゃ。これも必要な儀式なのじゃ」



 え~。まさかの演出だけ希望きましたよ。邪魔になってすぐ返すから、指輪を1度だけはめてくれってさ。それで良いならやるけどさ。別に普段着ける分には着けとけば良いのにね。戦う時だけ外すとか? そこは武闘家としての拘りがあるのかな?


 まあ、パンチが繰り出し難くなる気持ちも分かるかな? メリケンサック式の指輪? 逆に指にダメージ入っちゃうのかな? そんなのずっと着けときたくはないからな。あはは。


 ここは、ミラのお気に召すままに?


「はい。ミラ。手を出して。


 …………はい。これでよし。どう? やっぱりミラには『赤』が似合ってると思うけどね?」


「おお! 確かにこれは嬉しいものなのじゃ! タビトに指輪をはめてもらえる日が、こんなに早く来るとはの…………。


 わしも涙が出てきたのじゃ。……ありがとう。タビト。これでわしも、正式に『正妻』になれたのじゃ」



 流石に、ミラにだけ〈エフェクト〉入れる訳にはいかないしね。今回は堪えました? 演出したいだけ星人?


 2人とも、これで正式に『正妻』とか『2番目』とかって言ってるけどさ、そう言うもんなの? ただ、指輪を直接左手の薬指にはめちゃうと、そう言う事になっちゃうの? アルシンドになっちゃうの?



「はい。良かったですね。ミラさん。これからもよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくなのじゃ。アリー。同じ『妻』として、これからもよろしく頼むのじゃ。

 よし! 今日は盛大に乾杯するのじゃ! その為にも、肉を沢山狩ってくるのじゃ! ふんっ! いつもより気合いが入るのじゃ!」


「はい! 今日は盛大に乾杯です! いただいたアイテムボックスいっぱいに、お肉を収納して来ます!」



 え~。やっぱり、そう言う事なんだね。それが常識って事なんだね。気を付けよう。軽い気持ちで指輪を着けてあげたらダメなんだ。まあ、そんな機会はそうそう無いとは思うけどね。


「うん。2人とも、程々にね? 喜んでもらえるのは俺も嬉しいけど、だからと言って無理しちゃダメだからね。ちゃんと笑顔で、無事に帰って来てよ?」


「あい、分かっておるのじゃ旦那様。子供ではないからの。そんなに心配せんでも、できる範囲で狩ってくるだけなのじゃ」


「はい。旦那様。心配してくれるのは嬉しいですけど、できる範囲でしか狩りませんし、無理もしません。私は、ジャンボシイタケの採取の方を頑張りますから」


「う、うん。それなら大丈夫かな?

 でも、旦那様って? 何かちょっと、いきなりそれってどうなの?」


「何を言っておるのじゃ、旦那様。旦那様は旦那様なのじゃ。これもそのうち慣れるのじゃ。気にするでないのじゃ。ふふふ」


「はい。旦那様。旦那様は旦那様です。早く慣れて下さいね。えへへ」


 う、うん。慣れるのか? 様付けってのはどうなの? へい旦那とか、そうですぜダンナ。とかって呼ばれるよりは良いのかな?


 まあ、それで2人が納得してくれてるなら良いのかな? こっちの常識なら、慣れるしかないのかな? あはは。


 でも、嬉しいぞ? 今日のお仕事は頑張れそうですね? いつもの3割り増しでいけるかも?



 アリーには、特大麻袋を10枚渡しておいた。『ジャメン』からの押収品ね。またまた役に立ちました。俺の物は、ミラとアリーの物。ジャメンの物は俺の物。ありがとう?


 あると便利だからね。1つずつ収納するよりは、纏められる物なら、1袋にしちゃった方が沢山収納出来るから。当たり前だけど、結構ばかにならないこの方法。収納数に制限があるんだから、出来る範囲で有効活用しないとね。



「うん。じゃあ、俺もお仕事に行ってくるから、ミラとアリーも気を付けて行ってきてね」


「あい、分かったのじゃ。旦那様も気を付けて行って来るのじゃ」


「はい。旦那様。旦那様も気を付けて行って来て下さいね」



 さあ、お仕事だ! 幾らでも掛かって来いやぁ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ