朝から何やってんの?
ちゅん、ちゅん、ちゅん
ちゅん、ちゅん、ちゅん
おっ。今日は2羽いるな。番いかな? 見分けは付かないけど、仲が良さそうに鳴いてるね。
爽やかな朝。ほのぼの雰囲気も良いものだ。
「おはよう。今日も爽やかな朝の合図をありがとう」
ちゅん、ちゅん、ちゅん
ちゅん、ちゅん、ちゅん
返事をしてくれたみたいに、2羽で仲良く鳴いてくれてるね。言葉が分かるのかな? ふふふ。まさかね。そうだと良いかもね。俺には何て言ってるのか分からないけど、感謝の気持ちが伝わればいいんだよ。
「よし。じゃあ、今日もジャンボシイタケ食べるかな? 2つ置いておくからね。仲良く食べるんだよ? ははは」
昨日来たのと同じ『ちゅんちゅん鳥』かも分からないけど、同じかもしれないし? もしかしたら、コレが欲しくて鳴いてたか?
ちゅんちゅん鳥さえも虜にしてしまうジャンボシイタケ、略して『ジャンタケ』。うん。やっぱりコレは、良いモノだ。
「おはよう。ミラ、アリー。ふふふ。今日も良い笑顔だね」
「おはようなのじゃ。ぐっすり眠れたからの。今日も1日、笑顔で過ごすのじゃ。おぬしの方こそ良い笑顔じゃぞ。よく眠れたみたいじゃの」
「おはようございます。タビトさん。私もぐっすりでしたから、また1日、笑顔で過ごします。えへへ」
「そうか。みんな笑顔が良いよね。じゃあ、今日も1日よろしくね」
勿論、俺は1人部屋。ミラとアリーは2人部屋。念の為に、いつもの防御壁も忘れずに設置した。勿論宿の主人の了解ももらったから、なんの問題もない。俺が少し早起きして回収すればいいだけの話だ。
1度安心出来る防衛手段を構えると、なかなか止められそうにないんだな。闇の組織『カーズ』、奴隷狩りの実行部隊の『スペード』、もしかしたら本当に居るかもしれない『ジョーカー』の存在。
最強のチート持ちで制裁を加える執行部隊。真偽不明の存在だ。その制裁が、仲間内だけに向かうのか、それとも敵対勢力に対しても向かうのか。
どんな能力があってもおかしくない。ここは魔法の在る世界。俺達が真っ先に狙われるなんて事は無いと思いたいが、警戒しておいても損はない。やれる事はやっておきたいタイプです。
『ネオタイプ』。人はそう呼ぶ。そう、俺が気に入って呼んでるだけだけど?
朝食後、俺はお仕事で『北の衛兵待機所』へ。ミラとアリーは芝刈りへ。いや。訓練と検証、お肉の調達を兼ねた狩をしに森へ向かう事になっている。一石三鳥の三重殺ね。
そういう流れになってきた。うん。早くもそう言うルーティンが出来てきた。これはこれで良い感じ? それぞれにやる事がある。やるべき事を見つけて実行する。そして、その行動が次にも繋がっている。お肉の確保も出来るしね。
有り難い事に、お金が貯まっていく一方だ。勿論それなりに使ってはいるけれど、ほぼ食費。しかも、それよりも多くの収入があるものだから、貯まってしまうと言う事だ。
これを運用出来たら良いんだけど、俺達は今、仕事をしながら旅してるから、そんな所まで気が回らないし、出来たとしてもやらないかもね。
だってしょうがないじゃないかぁ。どこに投資する? 誰に金を掛ける? いや賭ける?
大好きなビールの製造を始めようとすれば、スッゴいお金が掛かると思うから、今は貯蓄中? その時が来たら、一気にぶち込んでやるのです。ふふふ。待っててね? ドワーフさん?
森へ行く準備を終えたミラとアリーに聞いてみた。
「前から気になってたんだけど、アリーはアイテムボックスとか持ってるの? ミラは前に持ってるって聞いてたから知ってるけど、アリーの荷物とかはどうしてるの? 今更だけどさ」
「私ですか? 私はアイテムボックスなんて高価な物、持っていません。元々荷物なんて、着替えくらいしか在りませんから、いつものこのリュック1つで十分です。狩りの後の獲物の回収は、全部ミラさんにお願いしています」
「おお。そうじゃったの。アリーは、まだアイテムボックスを持っておらんのじゃ。荷物もほとんど無いからの。
食材なんかは、ほとんどおぬしが収納しておるし、わしも、もちろん食料は収納しておるのじゃが、まだ余裕はあるのじゃ。今の所問題はないと思うのじゃが、あの指輪かの?」
「うん。よく分かったね。流石ミラだ。名探偵。察しがよくて助かるよ。今回、また2つも増えちゃったから、アリーに1つ渡しておこうかなと思ってね。便利だし、これがあった方が何かと助かるでしょ?」
「当たり前なのじゃ。おぬしの考えそうな事くらい、正妻のわしから見ればすぐに分かるのじゃ。わっはっはっ」
そこは正妻は関係者ないと思うけど、ここは《スルー》するのが漢だね? よく理解してくれてるって事で喜んでいいのかな?
「えっ? アイテムボックスをいただけるのですか? 私、そんな高価な物はいただけません。それはタビトさんが使って下さい」
「まあ、確かに買ったらそれなりの金額はすると思うけど、使わないのも勿体ないよね? まだ在るし? それに、俺の物は俺の物。アリーの物はアリーの物だからね。当たり前だけど。
俺達はもう家族なんだから、共有出来る物とかは共有した方が良いと思うんだ。お互いに便利になるし、変に気を遣わなくても大丈夫でしょ?
俺の物はアリーの物。アリーの物は俺の物。勿論ミラもね。俺達の物は俺達みんなの物。そんな感覚で良いんじゃないかな?」
「おお! おぬし、『俺達はもう家族』と言ったのじゃ! 『家族みたいなモン』でなく、『もう家族』とな!
『一生付いて来て欲しい』『運命の人だ』宣言から、今度は『もう家族』宣言なのじゃ! これはまた、朝から嬉しい事を言ってくれるのじゃ!」 ガバッ
ちょ、ちょっとミラさんや。まだ部屋の中だから良いけどさ。ちょっと恥ずかしいよ? 俺が話した事を、そんな宣言として認識されてたの? あらまあ。俺も嬉しいよ? うん。ありがとう。 ギュッ
「そ、そう言う事でしたら、喜んでいただきます。いえ、喜んで使わせていただきます! 私達、『もう家族』ですから! 家族なら、共有するのは当たり前です。私の物は、何でももらって下さい!」 ガバッ
ちょっと、アリーさんや。『私の物は、何でももらって下さい』ってどういう意味なのかな? うーん。深い意味はないんだよね? 流石に個人の私物までは共有しないけど、共有出来る物はした方が良いのは確かだからね。うん。そう言う事だろう。
喜んでくれて、俺も嬉しいよ。アリー。 ギュッ
「2人ともありがとう。これからもよろしくね」
「もちろんなのじゃ。こちらこそ、末永くよろしく頼むのじゃ!」 ギュッ
「はい! また嬉し過ぎて涙が出てきました。えーん。不束者ですが、幾久しくよろしくお願いします」 ギュッ
よしよし、よしよし。
サラサラ、もふもふ。
「うん。よろしくね」
サラサラ、もふもふ
「うん。やっぱりアリーには『赤』や『青』よりは、『緑』の方が似合うかな? 収納出来る最大数は『20』で、1番少なくなっちゃうけど、穏やかで優しい笑顔のアリーには、コッチの色の方が似合うから、この『緑の指輪』でどうかな? 俺が見てしっくりくる色が『緑』かな」
「はい! ありがとうございます。私も、その中なら『緑』がいいなぁと思いました。それに、お2人が居ますから、私のアイテムボックスには、収納数はそんなに必要じゃないと思います。タビトさんも選んでくれた、この緑の指輪を大切に使いたいと思います。えへへ」
「うん。喜んでくれて嬉しいよ。じゃあ、この緑の指輪をアリーには使って欲しいかな。俺からのプレゼントって形にはなるけど、これも、俺達みんなの物だからね。遠慮せずに使って欲しいかな。ははは
ミラは、指輪は要らないんだよね? 前に、邪魔になるから指輪は要らないって言ってたし。もしミラが着けるなら、火魔法を連想させる『赤の指輪』が似合うと思うんだけど、どうする?」
「おお。わしには『赤』が似合うのじゃな。確かに、赤はわしの得意な火魔法を連想させる色じゃからな。わっはっはっ。 覚えておくのじゃ。
じゃが、わしには指輪は必要ないのじゃ。アイテムボックスは持っておるしの。戦いに邪魔になる指輪を着ける気にもなれんのじゃ。じゃから、その気持ちだけ受け取っておく事にするのじゃ」
「分かった。じゃあ、今回はアリーだけに渡しておくね。アリー。着けてあげるから手を出して」
「は、はいっ! よろしくお願いします!」
「えっと、どっちの手が良いのかな? 利き手? それとも逆の左手?」
「あ、えっと、出来れば、左手のく、薬指にお願いします!」
「うん。分かった。左手の薬指だね」
んと、こっちの世界でも、指輪を薬指に着けるって意味は一緒かな? 今更どうこう思う所はないけどさ、なんか緊張するね。この瞬間? ミラも、なんか息を呑んでガン見してるし。
「ん。…………はい。これでよし。どう? 似合ってると思うけど?」
流石、魔法の在る世界の指輪だよね。サイズの自動調整機能付き。着ける時にもたつく事もないし、サプライズ演出してもサイズを気にする必要もない。なんて便利な機能ざましょうか。
あっ。〈エフェクト〉入れるの忘れてた。感動的にピカッと、こうねぇ? 何かやれば良かったな。うん。俺とした事が。いや、俺だからか? やれやれだ。
「はい! 凄く良いです! タビトさんに指輪をはめてもらえました! えーん。嬉しいです。これで私も、正式に『2番目』って事になれました! えへへ。えーん」
「おお。そうじゃの。これでアリーは、正式に『2番目』という事になるのじゃな。
と言う事は、あれじゃな。わしにも1度、指輪をはめてもらわんといかんのじゃ。どうせ邪魔になるから、すぐに返すからの。形だけでもやっておくのじゃ。これも必要な儀式なのじゃ」
え~。まさかの演出だけ希望きましたよ。邪魔になってすぐ返すから、指輪を1度だけはめてくれってさ。それで良いならやるけどさ。別に普段着ける分には着けとけば良いのにね。戦う時だけ外すとか? そこは武闘家としての拘りがあるのかな?
まあ、パンチが繰り出し難くなる気持ちも分かるかな? メリケンサック式の指輪? 逆に指にダメージ入っちゃうのかな? そんなのずっと着けときたくはないからな。あはは。
ここは、ミラのお気に召すままに?
「はい。ミラ。手を出して。
…………はい。これでよし。どう? やっぱりミラには『赤』が似合ってると思うけどね?」
「おお! 確かにこれは嬉しいものなのじゃ! タビトに指輪をはめてもらえる日が、こんなに早く来るとはの…………。
わしも涙が出てきたのじゃ。……ありがとう。タビト。これでわしも、正式に『正妻』になれたのじゃ」
流石に、ミラにだけ〈エフェクト〉入れる訳にはいかないしね。今回は堪えました? 演出したいだけ星人?
2人とも、これで正式に『正妻』とか『2番目』とかって言ってるけどさ、そう言うもんなの? ただ、指輪を直接左手の薬指にはめちゃうと、そう言う事になっちゃうの? アルシンドになっちゃうの?
「はい。良かったですね。ミラさん。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくなのじゃ。アリー。同じ『妻』として、これからもよろしく頼むのじゃ。
よし! 今日は盛大に乾杯するのじゃ! その為にも、肉を沢山狩ってくるのじゃ! ふんっ! いつもより気合いが入るのじゃ!」
「はい! 今日は盛大に乾杯です! いただいたアイテムボックスいっぱいに、お肉を収納して来ます!」
え~。やっぱり、そう言う事なんだね。それが常識って事なんだね。気を付けよう。軽い気持ちで指輪を着けてあげたらダメなんだ。まあ、そんな機会はそうそう無いとは思うけどね。
「うん。2人とも、程々にね? 喜んでもらえるのは俺も嬉しいけど、だからと言って無理しちゃダメだからね。ちゃんと笑顔で、無事に帰って来てよ?」
「あい、分かっておるのじゃ旦那様。子供ではないからの。そんなに心配せんでも、できる範囲で狩ってくるだけなのじゃ」
「はい。旦那様。心配してくれるのは嬉しいですけど、できる範囲でしか狩りませんし、無理もしません。私は、ジャンボシイタケの採取の方を頑張りますから」
「う、うん。それなら大丈夫かな?
でも、旦那様って? 何かちょっと、いきなりそれってどうなの?」
「何を言っておるのじゃ、旦那様。旦那様は旦那様なのじゃ。これもそのうち慣れるのじゃ。気にするでないのじゃ。ふふふ」
「はい。旦那様。旦那様は旦那様です。早く慣れて下さいね。えへへ」
う、うん。慣れるのか? 様付けってのはどうなの? へい旦那とか、そうですぜダンナ。とかって呼ばれるよりは良いのかな?
まあ、それで2人が納得してくれてるなら良いのかな? こっちの常識なら、慣れるしかないのかな? あはは。
でも、嬉しいぞ? 今日のお仕事は頑張れそうですね? いつもの3割り増しでいけるかも?
アリーには、特大麻袋を10枚渡しておいた。『ジャメン』からの押収品ね。またまた役に立ちました。俺の物は、ミラとアリーの物。ジャメンの物は俺の物。ありがとう?
あると便利だからね。1つずつ収納するよりは、纏められる物なら、1袋にしちゃった方が沢山収納出来るから。当たり前だけど、結構ばかにならないこの方法。収納数に制限があるんだから、出来る範囲で有効活用しないとね。
「うん。じゃあ、俺もお仕事に行ってくるから、ミラとアリーも気を付けて行ってきてね」
「あい、分かったのじゃ。旦那様も気を付けて行って来るのじゃ」
「はい。旦那様。旦那様も気を付けて行って来て下さいね」
さあ、お仕事だ! 幾らでも掛かって来いやぁ!




