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脱出鬼ごっこ。  作者: 桜餅葉 杏
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帰還…?

一面、光るように地面が白い。

ふわふわしている。もしかして浮いているのかもしれない。

雲の上に立てたらこんな感じなのだろうか。

景色はモヤがかかっているように霞んでいた。


眩しい、そう思っているとひときわ目立つ白い仮面をつけた男がどこからともなく現れた。そして優雅にお辞儀をした。


『どうでしたか、今回の脱出鬼ごっこは?

楽しむことが出来ましたでしょうか。

それとも楽しむ要素がゼロでしたかね?

自分勝手ですが、私が楽しめたのでそろそろお帰りになって頂きます。

次の生徒がお待ちしておりますからね。


実は何事もなく帰られた方はあなた方が初めてなのです。

過去に来た方たちは皆、3回捕まってしまったり悪戯を仕掛けたり……。

そうそう、中には校舎が5階まである私立の学校さんもありましてね。最上階から飛び降りた子もおりましたよ。

秀才が集まっているようでしたから、自分の将来を潰されることに不安があったのでしょうかね』


何か反応を見せなければならない。

そう思っても口は開かないし、開けない。

白い仮面男はその事をわかっているかのように、1人で話し続けた。


『いいですか、ここは夢の中です。

でも、鬼ごっこをしたのは現実です。

あのフィールドから出れたことも現実です。


元の世界に戻ったら、少し混乱するかもしれません。記憶だけではなく、日付や時間の流れ、また先生のことを信頼できるかどうか、もです。


あと何か言うことあったっけなぁ』


白い光に照らされ、眩しいはずなのに睡魔が襲う。

白い仮面男は私のその様子に気づき、少し話しすぎましたねと咳払いをした。


『これが最初で最後ではありません。

また一緒に遊んでください。

意図的にそちらの学校を引き当てます。

今度こそは元の世界に返さないように企画しておきますから』


白い仮面男は光に遮られるように消えた、いや私の意識が無くなっただけか。

最後になにか一言、口が動いているのが見えたがもう覚えていないどころか記憶が定かではない。




けたたましく鳴り響く目覚まし時計に手を伸ばす。

何度かベッドの中で寝返りを打つ。

それでも何だか落ち着かなくて、体を起こす。


何だか長い夢を見ていた気がする。

内容なんてわからない。覚えていない。

それほど深い睡眠が得られたのか?

夢を見ていたのに?


使い慣れたベッド、見慣れた部屋の内装。

浮かんだ疑問を払うように頭を振った。

ベッドから降り、カーテンを開くと曇り空が広がっていた。

雨が降るかもしれない。念のために折りたたみ傘を持っていこう。


ベッドに腰掛け、時計を手に取って日付を見る。

何日かすごく疲れて、とても大変なことをしていた気がする。

それでも日付は変わらない。


時計を凝視して、顎に手を当てる。

この感じる違和感は、何なのだろうか。


「何か忘れている気がする」


1階から母が学校行く時間だと叫ぶ。

小さく分かってると返事をする。


忘れているのではない、寝すぎたと思うだけか?

考えても仕方が無い。


私は振り切れない、黒い何かを心にあるのを感じながら制服を手に取った。


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