喧嘩?
制服の下からもわかる、マットレス。
身体には毛布が掛けられている。
教室ではない独特の匂いを感じ、目を覚ました。
起き上がると、窓の向こうに目の前には位置が変わっていない月と漆黒の闇。
書類やファイルが乱雑に乗っている上にパソコンがデスクに置かれていた。
左に目を移すと薬棚や身体測定に使われる物品があった。
ここは保健室か、と把握する。
時計を探すがどこにもかかってはいなかった。
学校生活であまり利用することもなかったので、普段どの場所にあるのか、時計すらあるのか知らない。
保健室には確か4床ベッドがあったはずだ。
左がカーテンで仕切られていたので開けた。
そこには驚いた顔でこちらを見る紅葉ちゃんがいた。それからすぐに顔をくしゃくしゃにした。
「どうしたの」
焦って声をかけると、紅葉ちゃんは私のベッドに飛び乗った。
ベッドが大きく軋む音がする。壊れてはいないようだから安心した。
「怖かったよ〜っ!!あれから宮沢にめっちゃ追いかけられてさ、でもなんか眠くなってさ。ここで止まったら死ぬって思って気がついたらここ!」
あれから紅葉ちゃんは宮沢先生に追いかけられたのか、ご苦労だなぁ、と思う。
「いい休憩になったじゃん」
「そうだけどさぁ」
紅葉ちゃんがその後も鬼ごっこで溜まったガス抜きをしていると、紅葉ちゃんの向こうのベッドからうめき声が聞こえた。
起き上がったのが、ベッドが軋む音がするとカーテンを開いた。
「あ、さっくん」
「お前ら一緒のベッドでイチャイチャしてんじゃねーよ」
「ふざけないでよ!」
紅葉ちゃんは夏川くんが言い終わるかどうかのところで落書きだらけの上履きを顔面目掛けて投げつけた。
夏川くんはギリギリのところで上履きをキャッチすると、こちら側に投げつけた。
「わっ」
「キャッ」
紅葉ちゃんは悲鳴をあげると上履きは右側にあった写真掛けに当たった。
すぐにベッド上に落ちた上履きを拾い上げると紅葉ちゃんは履いた。
そして夏川くんをキッと睨みつける。
「おーおー恐い恐い。さすがヤンキーだね」
へっ、と挑発するように夏川くんは嘲笑った。
「煩いわよ!何?どこにあたしがヤンキーだっていう証拠があるの?見せてみなさいよ」
「すぐ証拠を求めて自分の性格見直さねぇあたりがクズだよなぁ。男もとっかえひっかえで?俺のほうがまだまともだな」
「それは昔の話でしょ」
このまま放置しておくと本気で殴り合いの喧嘩になりかねないので仲裁に入ることにした。
私も巻き込まれるのではないかと気が気でない。




