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ゲームの世界じゃないの?

病弱系ろれびっちって単語が頭にうかんだから書こうとしたら何かちがうのができた。何かの間違いで感想きたらテンションあがる

 


「何度、君に救われたかわかんないけどさ、もう私手遅れみたいなんだよね」



 首を振りながらニコニコと笑う病衣を着た高校生に見えず小学生のように見える童顔の少女。

 彼女の名前は関岡千歳。ベットの上でトランポリンのごとく体重をかけギシギシと揺らしながら、見舞いに来てくれた幼馴染の少年に話しかける。


 退院の時期が近づいて、また一緒に学校に行くことを楽しみにしていたある日。

 千歳に大事な話があると電話で伝えられ、小さな頃から秘めた恋心がついに実るのか、どこに遊びに行こうか。

 早まってデートはどこにいくべきかという、雑誌まで買っていた。

 自惚れで無ければ千歳は俺の事が好きで、俺も彼女の事が好き、両思いは自分の中では間違いなしであり、千歳の元へと向かう足は軽かった。


 千歳は幼馴染の少年を病室に呼び出すと何時もの憂鬱さを見せず、とても楽しそうであった。

 子供の頃からの病気がやっと落ち着き、つい最近主治医に退院を告げられ映画館や海や山、ショッピングといった場所に一緒に行くと約束していた、薬のおかげで成長が止まり小学生に見える身体は、本当の小学生が楽しそうにしているように見えたのだ。

 そんな千歳の姿を見て笑顔になる少年、そんな少年をおいでおいでと手招きし、抱きついた。


 最高の気分だった。

 幸せだった。

 心が躍るようだった。

 ロリコンと同級生に罵られていた記憶が嘘のように塗り替えられて無くなる。

 初めて抱きつかれた感触は、柔らかく、暖かく、消毒薬の匂いがした。



「今まで本当にありがとね!」



 お礼から始まった彼女の言葉は、少年の言葉を待たず一方的だった。

 黙っていたがもう既に身体はボロボロだという事、退院は余命が少ないから好きなようにしてくれという温情だということ。

 貴方の事が大好きだから付き合って欲しいということ。余命はほとんど無いけど、もしよければ一緒に歩んで欲しいということ。

 少年は心が爆発しそうになり、満たされ天国と地獄を味わっていた。


 両思いだったのだ。

 自分の妄想で無く、千歳と自分は両思いだったのだ。

 だけど、終わっていたのだ。


 病院生活にうんざりし、自分と雑談をし、たまに外出し、時折曇った笑顔を見せてくれた千歳はいなくなり。

 残っていたのは終わってしまった、関岡千歳というただ意味も無く笑う少女であったのだ。





「……えっ?」


「秋ちゃん今までのお礼にさ、何でもしていいよ」


 千歳の言葉が理解出来ず聞き返した瞬間、彼女は抱きつくのを止めベットに戻った。

 小さな身体とぱっちりとした目でこちらを見つめる千歳は足をパタパタと振り、何かを待っているかの見える。

 何かでは無い、俺も初心な馬鹿では無い、千歳が何を言っているかは理解出来る。



「なあ」


「私みたいな死人が嫌なら嫌って言って、秋ちゃんはモテるからもう彼女とかいるんだよね」



 千歳の幼馴染である少年の実家は父親が実業家でお金持ちであり、本人も小さな頃からの教育のおかげで秀才。

 運動神経はそこそこで、整い冷酷そうに見える顔も話しかけてみると人懐っこい表情になり、人の警戒心をすぐ解けるイケメンであった。ただし、幼馴染の千歳が小学生にしか見えず、日々見舞いに通ってるため同級生にロリコンと思われていて人気はさほどないが、男の友人は多い。



「いや…俺は…」


 どうやら幼馴染はモテて彼女がいると思われていた事実に驚き、動揺する。

 俺が好きなのは関岡千歳、お前しかいないというのに。

 昔のように遊び周り、最近は将来のことさえ考えていたというのに。



「図星でしょ、だからね私の事は遊び程度にてきとーに遊んで、見捨てていいよ。どうせすぐいなくなるから」



 悪意も感じさせず、ただ無邪気に笑う千歳。

 そんな幼馴染を見て、溜息を付く少年。



「千歳」


「なーに、口や後ろ、コスプレでも外でもどんな所でもしてあげるよ」



 少年はベットの横に転がる女性週刊誌や、少女漫画で手に入れたであろか知識を口にする千歳の頭に軽くチョップする。

「ムキャッ」

 子供の頃にプレゼントした汚れが目立つ赤いリボンが取れ、突然のことで反応出来ず叩かれてから頭を抑える千歳。

 傍から見ると小学生を苛めてる高校生として逮捕でもされそうな構図である。


(そのジト目の睨みつけ可愛い…可愛すぎる…が、違うそうじゃない)



「千歳…いや関岡千歳、俺はな、初めて会った時からお前の事が大好きだったんだよ。

 一目惚れだったんだ、じゃなきゃ幼馴染だからといって毎日見舞いになんて来ない。

 子供の時からほとんど変わらない顔も身体も、性格もどこが嫌いかわからないぐらい愛してるんだ」



 何時もの呼び捨てでは無く、フルネームで語り少年は千歳を睨むかのように、告白を殴りつける。

 病院に来るまでの浮ついた気分はどこかに行ってしまった。

 明鏡止水の境地とまでは言わないが、心は落ち着いている。



「そっか、ごめんね」


 千歳は心底謝り、いつもの憂鬱そうな表情に戻る。


「私はわかんないの、秋ちゃんを愛してるか」


「わかってる」


「幼馴染としては大好きだよ、でも愛してるかはわかんない」



 幼馴染ではある。

 友人として好かれている自信もある。

 しかし愛情は今まで感じたことは無いし、それを不満に思ったことは無い。

 まだまだ人生は長いし、いくらでもチャンスはある、そう思っていた。



「これからどうしようか、秋ちゃんに全部任せるよ、もう私はどうしたらいいかわかんないの」



 そういうと千歳はベットに身体を投げ出し、力無く寝転がる。

 きっと今なら散々妄想したことを実行に移したとしても千歳は何も言わないだろうし、そのまま全てを墓場まで持っていくのだろう。

 しかし違うのだ。

 そうじゃないのだ。

 少年が千歳に持った感情はそんなことで解決しないのだ。



「なあ千歳、本当に俺に全て任せてくれるか」


「当たり前だよ、私は貴方の隊長さんなんだから、部下の言うことをきちんと聞かないとね。あーあ、ゲームみたいにこの世界でも魔法が使えたら良いのに、そうしたらこんな病気なんて治しせるのにね」



 子供時代よく遊んだ世界の関係を今になって持ち出す千歳。

 彼女が身体を悪くし、入院してからは少年もあの世界に行くことも無くなり。



「あの世界?」


「セレスくん、どうしてるのかなー…」


「ああああああああああ!」



 魔法。

 あの世界。

 何でこんなことを忘れていたのだろうか。

 自分の記憶力の無さに呆れ、千歳の勘違いぶりにも呆れる。



「うわぁ、何、いきなり大声だして何があったの」



 少年の大声に驚きベットから起き上がり、心拍数が乱れたのか胸を押さえる千歳。

 心臓が悪いのに驚かせて悪いとは思いつつも、驚いた拍子で酸素を使い果たしたため、呼吸を整える。



「魔法のチケットだよ、魔法のチケット、覚えてないか千歳。

 子供の頃、公園で爺さんに貰ったチケットだよ、俺達あのチケットがあったからあの世界にいけたんだよな」


「知ってるよ、今更何言ってるの?」



 頬に指を当て、首を傾げる千歳。

 その動作を見て可愛いとか、抱きしめたいとか少年は思うが、今はそういう事じゃない。

 千歳の頬をつねり、痛みを感じたのか顔を歪ませる。



「痛いか、痛いよな、今のこれは現実だよな、俺の夢じゃないよな」


「夢か確かめるなら、自分の頬つねってよ、何で私なのっ!」



 あの時とほとんど変わらない身体で頬を膨らませる千歳。

 一時退院した千歳に連れられて少年は、魔法のチケットを使い異世界に行き遊んだ。






 異世界で遊んだのである。

 千歳は世間知らずなのか、現実を理解していなかったのか、ゲームの世界と思っていたようだが少年は違う。

 ゲームの中に入れるゲームなんて未だかつて、存在していない。

 それがわかる程度の知識が少年にはあった、というか何故千歳には知識が無かったのかがわからない。

 魔法のチケットとやらをかざしたら、別の世界に移動したなんて考えになるほうがおかしいのかも知れないが。


 とにかく、異世界に行った俺達が見たものは視界全てに広がる草原に、花と植物の匂い。

 青すぎて怖くなる空の色に、見たことも無いような高さの山脈。


 住宅地が立ち並ぶ公園どころか、日本で見ることは絶対に無い。

 そんな光景を見た少年は自棄で笑い、千歳は喜んでいた。




 結局、その日は現状を認識せず冒険隊長を名乗る千歳に連れまわされ、へとへとになり家に帰った。

何時間も居た筈だというのに、こちらの世界では数分も立っていないまま。








「なあ、千歳知ってるか、お前は知らないんだろうけどな、あれはゲームの世界じゃないんだ」


「ゲームじゃなかったらいきなり別の場所に行ったりする訳無いよ、あれ最新のゲームだよ魔法も使えたし」



 先ほどまでは暗く感じた部屋も、状況が変わり窓から差し込んだ光に照らされる千歳がはっきり見える程になった。

 なにしろ先ほどまでは、自分の目が自分の物では無いかのように、視界が歪んでいたのだ。

 少年の視線の先の千歳は、一体何を言ってるのとばかりに、不思議な表情をしている。



「あんなゲームは未だに発売されていない」


「えーでも、秋ちゃんが持ってきた本だといっぱいあったよ」



 千歳の反論に少年は呆れ、頭にデコピンを入れる。

 痛がる千歳を見ながら少年は深く溜息を付き、首を振った。




「あの本は皆、フィクションだ、ゲームの中の世界なんてゲームや本の中でしかない」



 へっと一言洩らし、動きが止まり、口が開く千歳。

 放心状態なのだろう、何しろゲームだと思っていた世界が異世界だったのだから。



「じゃああれ、夢だったの?」



 少年の心に沸々とした何かが広がる。

 あまりの馬鹿さに怒鳴りたくなったが、仕方が無い。

 何しろほとんど入院してたせいか、千歳には常識がまったく無いのだ。


 白い壁と、開かない窓とベット。

 それが彼女の世界なのだ、外の世界なんてそれこそあの時の異世界での出来事しかないのだ。



「いや、夢じゃないよね、あれまだ持ってるし…」



 千歳の話す言葉から、気になる単語が出てくる。

 一体何のことを言っているのか、異世界にはあの一度しか行っていないはずだというのに。



「なあ千歳、あれって何だ」


「えっ、アイテム袋だよ、秋ちゃんも知ってるでしょ?」



 そういうと千歳はテレビの近くに置かれていた、少し汚れた手の平程度の巾着袋を持ち。

 中に手をいれ、袋の何倍もの大きさのスイカを取り出した瞬間、少年は固まった。


 固まる少年を見ながら、照れくさそうな表情をする千歳。



「セレスくんから、貰ったの、初めてのプレゼントだからまだ持って使ってたの」



 セレスって誰だよ。

 今更ながら少年は口に出さずに突っ込んだ。



「なあ、千歳。あの日俺達しかいなかったよな、なのに何で他人と…」


「そーいえば秋ちゃん、最初の一回しか来てないよね、あれから私何回もゲームしてさ、あっちだと妙に身体が軽いから遊んでたの、入院する時家に置いてきちゃったから出来なくなったんだけどね」


 朗らかに笑いながら説明する千歳を見て

 少年はもう一度頭を叩き、怒鳴ることにした。







少年は千歳に聞きたい事、言いたい事はヤマのようにあったが、疲れが見えてきたため一度休ませることにした。

余命僅かで身体がぼろぼろな事には変わりが無いのだ、無理をさせたらいけない。


魔法があり、千歳の身体が治せる可能性が出てきたのだ。

その前に身体を壊し寿命を縮めたらいけない、そう思い病院の待合室へ移動する。


平日だが診察時間は終わったためか、椅子には見舞いと思われる客や病衣や診察衣を着たこの病院に入院する人間しかおらず、少年の近くにはスーツを着た男性と女性が一人の還暦が近そうな立派な髭の持ち主の男性と会話している。



(落ち着いて、さっきの話を考えよう)



腕を組み、目を瞑り、辺りの会話から耳を外し、精神を集中させる。



(千歳は嘘は何も言っていない、あのアイテム袋がその証拠だ)



あれから、何が入るか試させて貰った所、病室にあったパイス椅子でさえ簡単に入ることがわかった。

手の平程度の巾着袋をパイプ椅子に近づけたら少年の視界から消えてなくなったのだ。

そんな袋はこの世界には間違いなく存在していない。



(だからといって、異世界なんて存在、本当にあるのか?夢でも見ているか?)



答えはわからない。

何しろ少年は異世界に一度しか行ってないのだ。

その一度きりの機会は誰か他の人物に会う事無く、遊ぶだけで終わった。

だから魔法の存在なんて見ていないし、どんな世界なのかもわからない。



(未知の世界に行くなんて危険が多すぎる、しかし…)



千歳曰く自分の余命は一年も無いと医者に言われたと言っていた。

それも延命処置をしてだ、今回の退院はそれを断ってのもので処置をしないため余命は更に短くなる。


結局、座して死ぬより、行動に移すしか選択肢は無い。

そんなことはわかっている、わかっているのだが。



(俺に全部任せるってどういうことだよ)



全部任せる、行くのも行かないのも、死ぬも生きるも全部任せる。

千歳はそう言い決断したら聞かせて頂戴と言い、疲れて寝ている。



(そんなこと言われたら、やるしかねーだろがよ、男には意地があるんだよ)



幼馴染を救うために、未知の世界に飛び込む。

まさか自分がそんなゲームの主人公のような立場に立てるとは思っていなかった。

しかしチップは両者の命であり、報酬は幼馴染の命えるかも知れない何か。

綱渡りにも程がある。


やることは決まっている、あとは自分が覚悟を決めるだけだ。

しかしその決断が中々出来ない。



(テテの街しか知らないと千歳は言っていた、王国や帝国のことは知らないと)



テテの街とは魔法のチケットの入り口の一番近くにある街のことらしい。

この街ほどでは無いがそれなりに華やかで人がいて騒がしく、顔見知りになった人はいると千歳は言っていたが。

何年も前のことだ、もう覚えているはずが無い。

伝がまったく無いところで、病気を治せるかも知れない何かを探す、不可能に近いだろう。



(結局何も考えずに突撃して一か八かしか無いのか)



膝を叩き大きな音を鳴らす少年、周りの人間に少し注目を浴びるが気にせず魔法のチケットを持ってくるしかない。

千歳が言うには、家の財布の中に入れっぱなしといっていた。

財布を使うことが無く、親に頼むのも悪いかと思ったため、家に置きっぱなしらしい。



(待ってろ、千歳。すぐ戻るからな)




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