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白金の医術師 黄金の薬術師  作者: 木瓜
第五章 8年前 教都(後)
39/99

5-7

 結論から言うと、コズミさんは見つからなかった。


 コズミさんが言っていたモーンという街の末期患者を看取る施設にも、そこへ行く道中にもコズミさんは姿は現さなかった。

 コズミさんは教都の近くの山道を登る姿を最後に消え失せた。アルツは、人を雇って山の捜索もしたのだがコズミさんが山をさまよった痕跡さえ見つからず、雇った山に詳しい人も首をかしげていたそうだ。

 医療院を半月以上休んで、アルツはコズミさんを探し回ったが、見つけることは出来なかった。

 生きている姿も、亡くなってしまった姿も。




 それらをアルツから聞いて、わたしは思った。

 コズミさんはずるい。これで、アルツは死ぬまでコズミさんを探し続けるだろう。きっともう生きているはずはないのに、もしかして、と。



『アイツに忘れられるのが我慢ならなかった』



 この現状は、そう言ったコズミさんの思惑通りなのだろうか? 確かにアルツは一生コズミさんを忘れない。病気で亡くなってしまうよりずっと強いものを、コズミさんはアルツの心に刻み付けた。


 わたしはコズミさんが羨ましかった。アルツに忘れられないコズミさんが羨ましくてたまらなかった。


 だから思ってしまう、コズミさんはずるい、と。



 わたしはこれからずっと、コズミさんを想うアルツを想いつづけるのだろう、きっと。




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