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月夜

同題名の短編を、連載に作り替えました。骨格は同じですが、かなり印象は変わるかなと思います。

短編と合わせて、のんびり楽しんでいただけたら幸いです。

 ノルム商会。南部に位置する河川を中心に販路を広げつつある商会である。

 その最も上の立場にある男はそわそわとしながら物資の運び出しの指示を出していた。

 そこへ1人の少年が駆け込んでくる。


「旦那様!奥様が!」

「今行く!!」


 男は持っていた書類を放り投げて走り出し……木箱に足をぶつけた。

 まったくらしくない。

 あっけに取られた1人が手を止める。


「おい、旦那はどうしたんだ」

「なんでも奥方が産気づいたんだとよ」

「なるほどそれであの落ち着きのなさか」

「めでたいこった」


 周りの男たちが頷く。

 誰かがぽつりと呟いた。


「今日は、満月だもんなぁ」

「満月の日は、産気づく女が多いのはまったくなぜなんだろうな」

「不思議なこった」


 やがてざわめきは空に紛れ、男たちはまた作業を始めた。


 その夜、一人の少女が産声をあげた。

 名は、リゼット・ノルム。

 後に貴族社会に足を踏み入れ、常識に風穴を開ける一人の令嬢の誕生である。

読んでいただきありがとうございました!

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