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第1話 異なる命で、もう一度君のぬくもりへ 【改稿版】

どれほどの時間を、私は生きてきたのだろう。

世界は何度も形を変え、

街は崩れては再び築かれ、

言葉も文化も、静かに姿を変えていった。

それでも――

ただ一つだけ、決して変わらなかったものがある。

それは、

たった一人を待ち続けるという、この想い。

名前も、顔も、もうはっきりとは思い出せない。

それでも胸の奥に残っている、この温もりだけは――

どうしても、消えてくれなかった。

私は、ずっと――

たった一人の存在を探し続けている。

その日、私は見知らぬ街の、小さな通りを歩いていた。

夕暮れのやわらかな風が、頬をそっと撫でる。

知らない花の香りが、どこからともなく漂ってくる。

見慣れない人々が行き交う、ありふれた日常の中で――

私は、あなたを見つけた。

ほんの一瞬、視線が交わる。

それだけのはずなのに、

まるで世界のすべてが止まってしまったかのようだった。

音が消える。

風が止まる。

時間さえ、息をひそめる。

そして――

心臓が、痛いほど強く鼓動した。

知らないはずの顔。

知らないはずの声。

知らないはずの存在。

それなのに――

どうしてこんなにも、懐かしいのだろう。

胸の奥で、何かがほどけていく。

(ああ……やっと……見つけた)

足が、勝手に動き出していた。

一歩。

また一歩。

そして――私は、走り出していた。

「――あの!」

気づけば、あなたの目の前に立っていた。

驚いたように見開かれる瞳。

ほんの少しだけ、後ずさる足。

当然だ。

見知らぬ人間に、突然声をかけられたのだから。

それでも――

もう、止められなかった。

私は、そっと手を伸ばし――

そのまま、あなたを抱きしめた。

強く。

強く。

まるで離したら、もう二度と会えなくなるかのように。

あなたの身体が、一瞬だけこわばる。

そして、戸惑った声が耳元で揺れた。

「……すみません……」

小さく、遠慮がちに。

「私たち……どこかで会ったこと、ありますか?」

その言葉は、静かに胸を刺した。

――やっぱり、覚えていない。

それでも。

なぜか私は、ほんの少しだけ安心していた。

また、最初から始められる。

また、あなたと出会える。

私はゆっくりと息を吸い、

小さく、やさしく微笑んだ。

「……さあ、どうでしょう」

あなたの肩越しに、そっと囁く。

「もしかしたら……

あなたが忘れてしまった、どこかの時間で」

あなたは戸惑いながらも――

やがて、ゆっくりと。

私の背中に、手を回してくれた。

その瞬間。

二人の温もりが、重なった。

懐かしくて。

やさしくて。

そして、どうしようもなく愛おしい温もり。

あなたの身体が、かすかに震える。

「……どうしてだろう」

震える声。

「会ったことないはずなのに……

すごく……懐かしい……」

頬を伝う涙。

「私も、同じです」

そう答えながら、私はあなたの頬にそっと触れた。

「きっと私たちは……何度でも出会ってきた」

あなたの瞳が、静かに揺れる。

「そして――」

私は、そっと額をあなたの額に重ねる。

「これからも、きっと何度でも出会う」

止まっていた世界が、再び動き出す。

人々のざわめき。

風の音。

遠くの足音。

それでも――

この瞬間だけは、確かに永遠だった。

どれほどこの時間が続くのか、私には分からない。

またいつか、あなたを失うかもしれない。

次の人生で、また最初から探し直すことになるかもしれない。

それでも――

私は、もう迷わない。

時間が流れ続ける限り。

魂が消えない限り。

私は、必ずあなたを見つける。

たとえまた、すべてを忘れられてしまっても。

たとえまた、別れが待っていたとしても。

それでも私は――

あなたを、愛し続ける。

何度でも。

どんな世界でも。

どんな命でも。

もう一度、あなたに会うために。

そしてそのたびに――

私はまた、あなたに恋をする。

「※本話は物語の一貫性のために加筆・修正を行いました」

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